二人で一人?バローム!
毎朝自宅の最寄駅から二駅目で急行に乗り換える。
先頭から2両目あたりでいつものように欠伸をして
急行電車を待っていると、
『その男』はやって来た。
坊主頭で大きなグラサンをかけて黒いリュックをしょって
ホームの淵の黄色い線に沿ってゆっくりとまっすぐに。
なかなかに迫力がお在りだ。年齢的には22か23才というところ。
でもよく見ると華奢だ。腕も細い。
多分グラサン取ると結構優しい顔なんだろうな。
毎日同じ時間、きっかり朝8時半に彼は歩いてくる。
私はそれを急行を待つ大勢の一人として毎日見る
ようになった。
彼を見かけるということは私にとっては時間的に
会社に遅れないということを意味する。いつしか
グラサン青年を眺めるのは私の朝の通過儀礼となった。
しかしある日を境にぱったり彼を見かけなくなった。
そしてそんな朝のささやかな日課があったことなど
すっかり忘れかけたある日のこと。。
スキンヘッド青年と同じ体格で同じ時刻に同じ歩調で
ホームの淵を歩いてくる一人の『男』がいた。
しかしその男はスーツ姿だった。
しかもメガネをかけて明らかに私よりも年上だ。
口元には皺があって表情もどこか疲れている感じで
髪にも白いものが確実に混じっていてどう考えても
40才以上で表情もどこか寂しげだ。
しかし
体格や顔の形はスキンヘッドの男に酷似する。
ホームの淵を歩く時刻も歩調も姿勢も同じ。
ただしオーラが全く異なる。
何よりも見た目の年齢と服装が大きく異なる。
私は衝撃を受けた。
彼は十数年も一気に老けたのか。。
それとも私がトリップしてしまったのか。。
親子か兄弟か。。はたまた単なる偶然か。
あれからそのスーツ姿の中年男は見かけるが
スキンヘッド青年は決して見ることはなかった。
何よりも私の出勤時刻はすっかり乱れてしまい
"彼ら"の出現する時刻に私が急行に接続する駅に
間に合うこと自体が少なくなってしまった。
それにしてもスーツ姿の中年の寂しげな遠くを
見つめる表情の"理由"が気になった。
『彼ら』に何か重大な事があったに違いない。
というかやはり『彼』一人なのに違いない。
私はくたびれたスーツ姿でアタッシュケースを
片手に歩く『その男』を見る度に疑問を聞いてみたい
衝動にかられる。
貴方はスキンヘッドの青年ですよね。
何があったのですか。
その白髪は一体どうしたのですか。
黒いリュックの中には一体何が入っていたのですか。
よかったらワケを教えて頂けませんか。。
今でも早起きできた時はスーツの男はたまに見かける。
朝8時半にどこか悲しい表情でホームの淵を歩いている。
しかし歩き方はやはりスキンヘッド青年のそれだ。
この間は珍しくリュックを背負っていた。
グラサン青年のしていたあの黒いリュックだ。。。。
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バロ~ムというのは「超人バロム1」という
70年代に放映された特撮ヒーロー物の主人公達の変身時の掛け声です。
少年二人が友情パワーで合体して一人のヒーローに変身するという
斬新な設定の番組でした。超人の造型もなかなか素晴らしかったなー
↓正確には「バロローム」らしいっすね。私の記憶では「バローム」です。
http://www.youtube.com/watch?v=Ltc2EAANrfc
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コメント
精神的な力で若々しさが保たれる
精神的なダメージで年老いる
ということはほんとうにあるみたいですからねぇ・・・
投稿: 万物創造房店主 | 2008年4月23日 (水) 15時05分
>ほんとうにあるみたい
ですね。
これは本当に本人に聞いてみたいんですよね。
どうもマジで同一人物っぽい。
今さらながらに世の中にはいろんな人がいる
もんです(@@)
アメリカ大統領選とか本当に人種が違う
とかしみじみ思いますね。あの騒ぎを観ている
と。。
投稿: kuroneko | 2008年4月23日 (水) 22時30分
>アメリカ大統領選
討論の内容とか
批判CMとか
とてつもなくレベル低い喧嘩みたいですよね・・・
あれが大統領選だという国には今後もあまり期待できないと思いました・・・
投稿: 万物創造房店主 | 2008年4月29日 (火) 20時19分