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2008年4月10日 (木)

映画「キリング・フィールド」

「キリング・フィールド」
The Killing Fields

原作: シドニー・シャンバーグ
監督: ローランド・ジョフィ
脚本: ブルース・ロビンソン
撮影: クリス・メンゲス
音楽: マイク・オールドフィールド
編集: ジム・クラーク
出演: サム・ウォーターストン,ハイン・S・ニョール,ジョン・マルコヴィッチ

時間: 2時間20分(140分)
製作年: 1984年/イギリス

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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カンボジアの内戦に巻き込まれたアメリカ人記者と、カンボジア人記者の友情と、
それぞれの運命に焦点を当てながら戦争に人生と命を翻弄される人々を
ダイナミックな映像とストーリ展開に鋭い政治的な告発を込めた大作。

傑作。

これまで観てきた戦争映画の中でもかなり上位に入る。

前半は内戦が突如始まり国外退去に迫られた人々の焦りと絶望を
緊迫感の満ちたダイナミックな映像で完璧に描きだしていて映画として
完成度が高く実に素晴らしい。

後半は命からがら帰国した主人公シドニー(サム・ウォーターストン)の
ジャーナリストとして名声を得ていく静かな葛藤を描く一方で激しい
思想の波に洗われる祖国を命懸けで脱出しようと試みるカンボジア人記者
プラン(ハイン・S・ニョール)の逃避行を極めてスリリングに描き出している。

全体主義の思想に確実に染まっていく少年・少女達を"自由主義社会の側"
から安易に対岸の出来事としてだけで捉えるのではなくその行動を正面から
描くことで観る者はただ単に体制の批判に終わるのではなく人間の心の
暗部の深さについて考えさせられることになる。

戦争映画は興味はあるけど"ドンパチ"はチョット。。という人に私はよく
秀作「グッドモーニング・ベトナム」(1987)を紹介するがこれからは
この映画もきっと勧めることだろう。

"キリング・フィールド"という言葉はポル・ポト政権下のカンボジアで大量虐殺が
行われた「処刑場跡地」を指す俗称だそうだが、本作では米軍の誤爆の現場と
その隠蔽疑惑をきっちり描く一方で凝り固まった固定観念を植え付け思考する
ことを許さない集団が作られていく様もまた確実に描き出すことで果たして

"KILING FIELDS"

とは特定の殺戮現場"だけ"を指すのかという大きな問いかけを
「映画」という総合芸術として訴えることに成功していると思う。

何より映像が素晴らしい。ジョン・マルコヴィッチもさすがに上手い。
安定感のある演技で戦場カメラマン役を軽妙に演じていて楽しめる。

製作を手掛けているのはデヴィッド・パットナムで私の大好きな映画で
何度かブログにも断片だけ書いている「メンフィス・ベル」(1990)
のプロデゥーサーでもある。

本作のようなただ儲ければいいということだけでは『ない』"大作映画"
ってもう作れないのかもしれないという喪失感に近いことも何となく
観ていて考えた。

「映画を観た」という満足感に浸れること受けあい。

 
 
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