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2008年6月22日 (日)

漫画「龍宮殿」

漫画(1)「龍宮殿」

いつも覗いて楽しんでいるサイトの一つである
漫棚通信さん(ブログ版)の記事で
松永豊和氏という漫画家がいることを知り
彼の壮絶なまでの"マンガ道"を自身が小説家した
「邪宗マンガ道」を読んだ。
(web小説なので氏のサイトに行けば読めます。下を参照のこと)

氏は人間関係も作品もナアナアで受け流して済ますことがなかなか出来ない。
そして、どうしても遅筆で且つ編集者のささいな一言や仕草、
特に自分の作品を踏み台のようにして成り上がろうとすることには
寸毫も我慢がならず口にも態度にも出す。
そのことが自分の首を絞めることだと判り切っていながら。。

わかっちゃいるけど止められないところが
ものごっつー共感。
作品としても一人の男の生き様としても楽しんで読んだ。

これを言ったら、これをやったら自分は御仕舞いだ。
しかし、いつものように「血」がドクドクと体内に流れるのを感じ、
最早どうにも止めることは出来ない。

相手の最もダメージを受けるでろう言葉を厳選し。。
撃つべし!撃つべし、撃つべし!!

相手の撃沈したその表情を確認し、同時にそれは
今後恐るべき陰湿で周到な報復を受けることを意味しまた
相手との信頼関係が崩壊したことを意味し呆然とする。

自分は、、終わった。

----

小説を読了後、彼の作品を読もうとネットで探したが
最も読みたいと思った「バクネヤング」は入手できず
「龍宮殿」を買って読んだ。

素晴らしい。

「浦島太郎」をベースに見事に舞台を現代社会に
構築したその壮大なストーリーとファンタジー溢れる描画
にまず拍手。

そして小説「邪宗マンガ道」同様に人間というエゴの塊の生き物の
「業」がしだいに緻密なストーリーと共に描かれていきその業を
正面から受け止めようとする主人公の兄弟二人に涙、涙、涙。

コマの背景の絵は敢えて書き込まなかったのかそれとも
小説に書かれているような常に何事かマイナス要因を抱えた
作業のなかでの苦しみながらの執筆の結果なのかとてもシンプルだけど

テーマはとても深く・重いのでそれほど気にはならない。

エロスと暴力がきちんと描けていてしかも
善悪を超えた哀しい展開はとてつもなく胸に迫る。

これアニメ化出来るのじゃなかろうか(勿論映画化の話しでR指定)
そしてメガヒットを飛ばせるんじゃなかろうか。

一つ不満があるとすれば"博"を倒す為に博と同じ罪を犯し
変態する"兄"の姿には正直不満だ。
博同様に醜悪な容でなくてはならない。
兄の変態後の姿には作者松永は不本意では
ないのかと推測するがどうだろう。

兄のある種ヒロイックな姿には重すぎる本作のテーマを
減退させる作用が確実に働く。これは編集者の意向
がかなり強く働いているのではないだろうか。

それともグロテスクな描写が随所にある本作への読者の反響
に配慮してのものだろうか。

この点も踏まえて作者自身のこの作品全体の感想を是非
聞いてみたいものだ。

すでに熱狂的な支持がある作家のようだが、
今後評価はますます上がることだろう。

ここ数年、氏は20代~30代の壮絶な自身のマンガ道で
受けた傷をじっとして癒されてきて何かをまた始めようと
しているようだ。

そしてどうやら氏はもうじき東京を去るようだ。
不愉快なこともそうでないことも数限りなく体験されたようだが
氏のいなくなった街で氏とその作品を今後支持し続けよう。

新作と出会えるまでこの作品をまだまだ
繰り返して楽しんでいよう。
「バクネヤング」も何としても入手して読もう。

松永豊和氏のサイト
http://book.geocities.jp/monene39/index.html

漫画棚通信さん(ブログ版)のサイト
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/

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「龍宮殿」1~3巻
松永豊和(まつながとよかず)著
小学館

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コメント

「もう紙の時代は終わった」っていう一言がかっこいいですね!

投稿: 理想 | 2008年6月25日 (水) 20時46分

いろいろとこの人はカッコイーっすね(^-^)
文章もインテリジェンスが感じられます。

(それではもう、あの、紙の手触りの良さ、
 書籍を手にしたときに感じる「実存感」の良さを
味わえなくなってしまうのか)

とか、表現が惹かれるものがあります。
今後大ブレーク間違いないっす。
「龍宮殿」の絵柄は多分女性の方がハマルと
思います。第一巻の最初の数ページだけでも
読む価値ありですよ!
 
知らん。文句あるなら~しろや。

は今年の暫定my流行語大賞!(^^)

投稿: kuroneko | 2008年6月26日 (木) 00時19分

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