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2008年7月 8日 (火)

映画「イースタン・プロミス」

「イースタン・プロミス」

原題名: EASTERN PROMISES
監督: デヴィッド・クローネンバーグ
脚本: スティーヴ・ナイト
撮影: ピーター・サシツキー
音楽: ハワード・ショア
編集: ロナルド・サンダース 
出演: ヴィゴ・モーテンセン,ナオミ・ワッツ,アーミン・ミューラー=スタール

時間: 100分
製作年: 2007年/イギリス・カナダ

2008年7月鑑賞 (満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)
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デヴィッド・クローネンバーグとヴィゴ・モーテンセンが組んでスマッシュヒットと
なったバイオレンスアクション映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005)が
面白かったので本作で再び二人が組んだというので無条件に観に行った。

 

期待した以上に面白かった。

「ヒストリー~」ではアメリカの田舎街を舞台にヴィゴ・モーテンセン
演じる主人公が平凡な家庭を持つ男から"謎の過去を持つ別人格の男"に
還っていく様が美しく落ち着いた映像とスタイリッシュな暴力シーンと共に展開していくが
なにせ
主人公が最初から相当腕が立ちそうなオーラでまくりが痛いところだった。
よって残念なことに後半のアクションシーンの盛り上がりに欠けた。

本作は全体的に上記の反省が充分に活かされているように見えて楽しめた。
バージョンアップといっていいだろう。ある意味「ヒストリー・オブ・バイオレンス2」
といっても差し支えなし。

舞台はロンドン。重体となった未成年の妊婦が助産婦として働く
アンナ(ナオミ・ワッツ)の勤務する病院に運ばれ女児を出産して死亡する。
死んだ少女はロシア語でかかれた日記を遺していた。少女はロンドンの
裏の世界で暗躍するロシア系のマフィア"法の泥棒"で売春婦をしていたのだ。
ロシア語の読めないアンナは日記を手がかりに訪れたロシア系レストランの
オーナー(アーミン・ミューラー=スタール)に日記と少女のことを話す。
オーナーが"法の泥棒"のドンその人であることも知らずに。。

さらにアンナの伯父がロシア語を解し日記を読んで組織と少女の関係を知って
しまうところから小さな一家は否応無く巨大な恐るべき闇の組織と対峙しなくては
ならなくなる。

ロシア語で書かれた日記がヒロインのアンナには読めずに
組織のドンと自分の伯父には読めるという展開が物語として
とても上手い。元KGBだと言い張るだけで何ら力のない小市民の
伯父の無茶な頑張りに合わせ誠実さと勇気を兼ね揃えたヒロインの
行動に観客はもうハラハラドキドキ。

ヴィゴが演じるのは組織の運転手を務める有能で寡黙な男ニコライ。
ただそこにいるだけで強力に"暴力"オーラを漂わせながらなかなか
物語に絡んでこないのがとてもいい。

ニコライがアンナの伯父に唾を吐かれた時に見せる僅かな笑み
の不気味さは半端ね。オヤジ絶対にスゲー殺られ方するよこりゃ。。

組織の親玉セミオンを演じるアーミン・ミューラー=スタールも
決して堅気ではない人間であることをセリフでなく雰囲気と顔で
堂々演じていて素晴らしい。彼は実人生では東ベルリン生まれでドイツの東西統一
以前には反政府組織のブラックリストに載って舞台を追われ一度は役者生命を
絶たれている過去を持つ。その気合の入ったキャリアが本作では
隠し味として演技のバックボーンとしてキラリと光る。

さて、
本作はヴィゴ・モーテンセンが全裸で大格闘を演じてくれるのも
大変な見所の一つです。本当にスッポンポンのポンです。
一糸纏わぬ姿です。えー本当ですとも。

上映終了後に劇場を後にした仕事帰りのOL風の二人組女性の満足そうな
笑顔ったらなかったっす。

OL風女性A  「ヴィゴ、カッコよかったわね」
OL風女性B  「そうね、映画もよかったわ」
二人           「..フフフ」(~ー~) (~ー~)

ただマジで血みどろの格闘ですから"そっち系"は大好きでも
"こっち系"がダメな人にはお勧めしません。

だってデヴィッド・クローネンバーグが監督ですからね。

そりゃ
オープニングから男の喉は掻っ切るわ
未成年の妊婦は血まみれになるわ
死体の指は平気で切断するわ
全身に刺青は入れるわ
全裸で血まみれで格闘してナイフで目を抉るわ
。。大変です。

個人的には終盤にもうひと暴れの展開が欲しかったところだけど
全体的に重厚な作りで凄惨なシーンも多いので本作の幕切れ具合は
調度いいのかもしれない。

タイトルの"イースタン・プロミス"は東欧組織による人身売買契約
を指す言葉とのこと。

一切の拒否権なく男に従属するだけの哀しい女達が描かれる本作で
女産婦として直向に働き、薬漬けにされた上に妊娠して死んだ未成年
の少女を思い憤りを隠さないアンナの普通さがとても眩しい。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」が良かった方は本作は必見。
本作を観て気に入った方は「ヒストリー~」も是非どうぞ。

デヴィッド・クローネンバーグとヴィゴ・モーテンセン、
お互いにプロとして楽しんで撮っているのが伝わってくる。
この二人はもう一度くらいは組みそうだ。
 
 
 
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