人生は一度きりだから。
「時をかける少女」(2006年)テレビでやっていたので
途中からだったけど観た。
基本的にテレビで放映される映画は観ない(特にポリシーがあるわけではない)。
しかしこの作品は劇場でも楽しんで観たけどついつい見入って
しまった(特に後半)。
個人的には前半は主人公の真琴の鈍感さとか男友達の間宮と津田との
三人の関係の微妙さがかったるくてかなりどうでもいいけど
後半は何回でも観たい。
ラストの夕焼けの堤防でのシーンはものすごく胸に迫るものがあり泣ける。
何回観ても感動する映画というのはいくつかあるけど、
本当に文字通り涙が出そうになるのはそうはない。
この作品は個人的にマジで泣ける。
*** WARNNING ***
以下はそこそこネタばれしていますのでご注意ください。
(良作ですので未見の方は作品をご覧になってからお読みください)
クライマックスの堤防のシーンでのカメラ割りが多分この手の
作品としては有り得ない構図で且つそれが功奏しているように思う。
二人をずっと真横から捉えて、やがてフレームアウトさせること
により「(未来に)帰っていくシーン」そのものを見せない!
もしずばり消えていくシーンそのものを見せていたら
どんな素晴らしい設定と作画にしたことろで全体が嘘臭くなって
しまい多分興行収入も下がったと思う。
どうやっても最大多数を納得させることなど不可能なシーンは
諦めよく見せないことによって間宮が消え去る瞬間は観客の想像にまかせて
真琴が夕焼け空を見上げることで、間宮がいなくなってしまったこと
を印象付けて音楽が最高潮に達する。
泣ける。今、思い出しても泣ける。
間宮がどこの世界に行ってしまったのかは実は全く問題では
なく二人はもう会えないというところが最重要ポイントだと
いうことを作り手がきちんと考え抜いているから画面構成に
それを活かせているのだと思う。
いなくなってしまった世界で真琴がなぜ元気なのか、
これから先何を思って生きていくのかストーリー的に
明確なのも素晴らしい。
ただコクれた。とかお互い好きだったとかそんな表面的なこと
だけではない。
真琴本人にとって何が一番大事なのか、二人にとっては何が
大切なのか。意識を「共有」できたことが大事なのだとセリフ
ではなくてストーリーと映像で二時間かけて見せること
が出来ている。
で「二度と会えなくなる」ところが青春映画の王道していていい。
『時を駆ける』ことが本当に出来ようと出来まいと結局
人生は一期一会であることに変わりはないことを教えてくれる
点もとても良い。
最後の最後で出てくるタイトル「時をかける少女」(縦書き)
もデザインが美しくタイミングも素晴らしい。
往年の角川映画を思わせる。
(最盛期の角川映画はタイトルのロゴデザインの遊びの上手さと
予告編の上手さで若者を劇場まで招き入れて儲けていた(^^))
公開当時も充分評価された良作だけど、今後何度も再評価
されていくだろう。
---------------------------------------------------------------
映画感想一覧>>
| 固定リンク
「独り言」カテゴリの記事
- 2021年10月14日木曜日(2021.10.14)
- 2021年8月2日の風景「Kia kaha」(2021.08.02)
- 2021年6月26日の風景「終わりの始まり」(2021.06.26)
- 2020年3月22日の風景(2020.03.22)
- 2019年11月30日の風景(2019.11.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
時をかける少女(アニメ版)なかなかおもしろいですよね
僕は公開時はまったく興味なくて、テレビで見たんですけど
それから
僕、最盛期の角川映画はめちゃ好きです
特に市川金田一シリーズと深作SF時代劇シリーズが好きですね
投稿: 万物創造房店主 | 2008年8月 1日 (金) 18時28分
>時をかける少女(アニメ版)
傑作ですよね。後半の寸止め具合が
かなりツボで大好きです。前半たるいけど。
>最盛期の角川映画
「予告編」大好きです。私。今でも萌え萌えっす。
「幻魔大戦」・「少年ケニヤ」はトラウマです。
予告編が(^^)
http://blog.goo.ne.jp/kuroneko_2007/e/0d9634580e88eff0874290191520791b
投稿: kuroneko | 2008年8月 2日 (土) 00時48分
その予告編DVDおもしろそーっすねー
んー角川配ってくれんかな
僕にも
投稿: 万物創造房店主 | 2008年8月 6日 (水) 17時18分
このオマケは本当に凄い!!
商品として立派に成り立つ充実度\(^^)/
「復活の日」(1980)何て何回見てもワクワク
します。本編観たことないけど(笑)
平成に入ると同時に憑き物が落ちるように
本編も予告編も駄目になっていくのも何やら
とても興味深いっす。
投稿: kuroneko | 2008年8月 7日 (木) 00時16分
僕、予告編の解説の声の人がほとんど同じ人なのがひじょーにやです
投稿: 万物創造房店主 | 2008年8月12日 (火) 18時14分
"予告編の声"ってありますね。
邦画でも洋画でも。
昔はテレビのモノマネ大会とかで
ネタにしている人いましたよね。
私は昨今のポッと出のタレントが絶叫している
ような予告よりはよっぽどいいと思います。
まあ好き好きすね。
投稿: kuroneko | 2008年8月12日 (火) 23時42分
最近、無難な予告編多いんで
もっと冒険した予告編が見たいなーなんて
投稿: 万物創造房店主 | 2008年9月 1日 (月) 19時40分
>無難な予告編
というより「何もない」予告編ばかりすよね。
マジで俺でも作れそうな。。。
制作費安そう。
試写会か公開初日の満員の観客席(or桜)を撮って、
劇場から出てくる人(or桜)にインタビューして、
てきとーに「最高!」とか叫んでもらって(ーー;)
後は本編の派手なシーンをてきとーに
並べて、、
出来上がり(ーー;;)
投稿: kuroneko | 2008年9月 1日 (月) 23時45分
>インタビューして、てきとーに「最高!」とか叫んでもらって
僕は予告編にこれがあった時点で駄作と判断して、まず見に行きません
投稿: 万物創造房店主 | 2008年9月11日 (木) 18時14分
>てきとーに「最高!」とか叫んでもらって
いろいろな意味で悲しいCMです。
映画も映画ファンも一般人も貶められてる
気がします。今という時代には非常にマッチした
CMではあります。他人を貶めろ!!
投稿: kuroneko | 2008年9月12日 (金) 00時59分