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2008年7月11日 (金)

The thing

「遊星からの物体X」(1982年)という傑作SF映画がある。
自分に"吸収"した生き物の外見に姿を変えてしまう地球外生物が
最初は犬の姿で南極基地に入りこみ、やがて基地の人間に
なりすまし、残された人間達は互いに疑心暗鬼になっていく、、

後半、気がフレテしまい離れの小屋に軟禁された老科学者は
実は物体Xで軟禁状態を利用して小屋の地下で密かに小型のUFOを
作っていた。

物語の終盤で老科学者は行方不明になりUFOだけが見つかる。
そのUFOはまだ作りかけで全然飛びそうもないところに逆に
奇妙なリアリティがあって、作った"何か"(映画の原題名は"The thing")
はそれに乗り込んで南極を脱出して文明圏に降り立ち人類を
侵略しようとしたのか、10万年間地下で眠っていた記憶からただ造っただけ
なのかよくわからないところが映画を上手い具合に盛り上げていた。

形もよくわからない"何か"のくせに工業製品をも思わせる
洗練されたデザインの空飛ぶ円盤を作っていたという展開も
人間を超えるインテリジェンスの存在を確かに感じさせて
人類滅亡の予感といったダークなイメージを匂わせていて見事だった。

この「地下でこっそりUFOを造る」というイメージが初めて観た
時にとても強烈だった。

外見は見事にUFO(空飛ぶ円盤)だけど、本当に飛ぶのかどうか、
そもそもUFOなのかどうか、何のために作ったのか、
本人以外の誰にも判らない。その本人にはコンタクトを取れない。

ただ、ある日その男が忽然といなくなって作っていた『何か』
も消えていて、初めてその男が何者だったのかを周囲は悟る。

ずっと経過を見ていたはずなのに実際に使用されるまで何も判らない。
使用されても何が何だかさっぱり判らない。

ただ凄いことが起こったのかもしれないという畏怖だけが起こる。

そんなイメージに昔も今も惹かれる。

物事の核心は日夜人目を避けこっそりと作られ、ある日いきなり
『それ』は完成する。 
 
 
 
 
 

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