映画「鴛鴦歌合戦」
2008年に見た映画(三十一) 「鴛鴦歌合戦」
原題名: 鴛鴦歌合戦
監督: マキノ正博
出演: 片岡千恵蔵,ディック・ミネ,志村喬
時間: 69分 [モノクロ]
製作年: 1939年/日本
(池袋 新文芸座にて鑑賞)
2008年11月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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骨董を唯一の趣味にして傘屋を生業にして生計を立てる親(志村喬)と娘。
そして隣りで暮らす素浪人(片岡千恵蔵)。娘に惚れる大名と裕福な
商人の娘を巻き込んでの大騒動。
オープニングからエンディングまで歌・歌・歌。
お約束のチャンバラシーンもしっかり入って楽しい一編。
こういうのを"オペレッタ"というのかなるほどー。
池袋の新文芸座で現在催されて連日大盛況なマキノ雅弘誕生百年
記念上映。
まるで教典のように「中原昌也作業日誌」を毎週末バッグに入れ持ち
歩きつつ(つい昨日読了)嬉々として新文芸座に通い始めたところ
「次は何を観ようかのー」( ̄ー+ ̄)と思っていると
作業日誌に次の"路"が明示されているではないか。
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1月1日
...
年の初めにマキノの『鴛鴦歌合戦』
を観ることが出来るなんて、何という幸
せな気分なんだろうか。
...
まだ観ていない人がいるの
なら、いま手にしているものを放り出し
てでも即刻観るべきだ。
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「中原昌也 作業日誌 2004→2007」2006年1月1日
この本をネットで注文して取り消しになるギリの日まで
放置しておいて読み出して本作の「鴛鴦歌合戦」が全日程の中で
ただ唯一1日だけ公開される11月24日(月)の僅か数日前に
この2006年1月1日のページにピタリと辿り着く凄さ!
自分は総じて運の悪い人生を送っているけどこういった
神の見えざる手に誘われたとしか思えないジャストミートな
タイミングもまた何度も経験してるったいね。
そして日誌のなかで絶賛されている通りの傘を並べるシーンの
構図のバランスの美しさ。短い上映時間でも凝縮してきっちり
描かれている人間賛歌。名優志村喬の演技の抜群の安定感。
最後の最後でのどんでん返しの連続は単なるストーリー展開上の
どんでん返しではなくて欲に目が眩んでしまう父親と一瞬は
父親と一緒に浮かれ騒ぐがそれによってお金に替えられない
『全て』を失いそうになる娘と浪人役の片岡千恵蔵の娘への
一転して厳しい眼差しと人間の心の模様の変遷を細やかに
描いていて単純だけどとても深いことを訴えていて心に染みた。
映画はかつて庶民の夢そのものであって最高の娯楽であって
糧であって心の羅針盤でもあったのだ。
本作を見つけたら、是非ご覧ください。
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