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2008年11月24日 (月)

映画「我輩はカモである」

2008年に見た映画(二十八) 「我輩はカモである」

原題名: Duck Soup
監督: レオ・マッケリー
出演: グルーチョ・マルクス,チコ・マルクス,ハーポ・マルクス
時間: 80分 (1時間20分)
製作年: 1933年/アメリカ
(渋谷 シネマヴェーラにて鑑賞)

2008年11月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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その名をエンターティメントの歴史に燦然と刻んでいるマルクス三兄弟の
伝説の作品。架空の国の盟主と国家の上層部や上流社会の人間達を
そして人間の表面的な取り繕いを痛烈にオチョクリまくった逸品。

作品は噂通りの傑作であったが、この珠玉の作品であっても自分に
とっては長く感じた。コメディーって本当に本当に難しいと改めて実感。
そして自分にとってはこの優れた本作をも長く感じたことでコメディー映画に
今後思い入れを持つことはないだろうことも悟らされた。

国家指導者達の滑稽極まりない見栄の張り合いの末にやがて戦争が
勃発していく本作が1933年に作られたことはきっとこれまで検証されつくした
であろうが今後も幾度と無く深く考察されていいだろう。

1933年は日本が国際連盟を脱退した年でありドイツでナチスが
決定的な権力を握った年でもある。この先何千万という命が10年ちょっと
で失われその影響は今もって続いているわけだけどこの作品の
馬鹿馬鹿しいまでの乱稚気騒ぎは作品を作っていた諸氏達はやはり
何かを強く予感していたのだろうか。

戦後のテレビや映画のコメディのほとんどが本作の模倣に過ぎないこと
を噂にはかねがね聞いていたけどそのネタから笑いの呼吸のタイミング
からセットから何から何までこれほど本作から何のアレンジもしていない
ことは創造を遥かに超えていて驚いた。
まあこのマルクス兄弟主演の映画
だって元ネタに近いものはきっとあって芸人達の至芸が年月をかけて積み重ねられた
果ての次の一歩だったのだろうが。

マルクス兄弟の躍動感溢れるドタバタ騒ぎを堪能しつつ(お約束の鏡の芸の洗練さ!!)
驚きつつまるで遥か古代から電話もテレビも実は存在してそれをちゃっかりした
方々に長年隠されてきたような寂しさも少し味わってしまった。

「俺たちはゼロから歩んできた」といって憚らない某世代の方々やそういった人間への
疑惑の眼差しはいよいよもって確信に変わってしまった。

それでもパクッてパクッてパクッてパクッてきた無数の人間達でも
クライマックスの数十人(50人くらい?)のマルクス兄弟を中心として
踊り狂う様は恐らくは、いや絶対に真似出来ないだろう。

本作が作られたすぐ後当時の先進国が挙って戦争に明け暮れることを
数十秒のシーンで全てを余すことなく体現したかのような
何だか凄いとしか言いようが無いクライマックスだ。

見てしまった。ついに見てしまった。
もう一回観に行こう。癖になるわーこれ。

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コメント

 初めまして。

 ワシもこの上映に行こうと考えております。参考にしたいのですが、フィルムの状態はどうだったでしょうか?

 お客さんと楽しみたいので、行きたいと思います。

 また、覗きにきますね。

 では。

投稿: | 2008年11月24日 (月) 23時46分

初めまして熊様。ようこそ!!\(^^)/
「我輩はカモである」まだ二回ほど
上映予定ありますね。(11/25(火),11/28(金))
私はこの手の古典作品の上映に足を運ぶのは今回
がほとんど初めてなのですがフィルムの状態は
良いとは言えませんがまずまず気にはならず
観れました。クライマックスの大勢での狂乱の
踊りがあまりに良かった&衝撃だったのでもう
一度観に行こうと思っています。池袋の新文芸座
でやっているマキノ雅弘誕生百年記念上映も
連日素晴らしい作品が公開されてますね。

またの書き込みお待ちしております!

投稿: kuroneko | 2008年11月25日 (火) 00時10分

 ありがとうございます。

 28の方に行こうかなって思います。

 フィルムの状態は気にならないですか、まぁ、関係なく観たいんですけどね。

 新文芸坐もいくつか顔出したいと思います。

 では。

投稿: | 2008年11月25日 (火) 17時33分

マルクス兄弟っすか
僕は
ホイ兄弟好きだったんで
そっからたどってマルクス兄弟に行きましたが
まぁやっぱコメディ映像作品の元祖ですよね
個人的にはホイ兄弟の方が好きですけど

投稿: 万物創造房店主 | 2008年11月25日 (火) 17時52分

>熊様
お役にたてたかどうか。。(^^;)
またのお越しをお待ちしております。

>マルクス兄弟
キートンがまだ手付かずですが
これを機にみたくなりました。

投稿: kuroneko | 2008年11月26日 (水) 00時54分

 本日、シネマヴェーラにて見てきました。

 どのシーンもデタラメでよかったんですけど、あの鏡のシーンはやっぱり伝説的なシーンですね。客席の笑いが違う気がしました。

 字幕も古い翻訳だったんですけど、ところどころ味のある翻訳になってましたね。

 キートンですか・・・キートンもやっぱりナンセンス・コメディって印象が強いですね。
『セブンチャンス』『大列車追跡』『蒸気船』あたりがおすすめですね。

投稿: | 2008年11月29日 (土) 02時10分

>鏡のシーン
あまりの完成度の高さにびっくりしました。
この作品の公開当時に観た人達は死ぬほど笑い
転げたでしょうね。私も笑いつつ身体の動きの
滑らかさにかなり感動しました。

>字幕
字幕まで気が回らなかったのですが
また今度観る機会があれば注目して観たいですね。

>キートン
お勧め作品ありがとうございます!
チャップリンは一通り観ているのですが
ナンセンスなコメディの古典はこれまで
食指が湧かなかったのですが最近は古典的作品
を多く観たこともありストーリーとか細かい
場面展開がある現代的なものよりも無駄な枝葉を
削り落とした人間の本質的な存在だけに
焦点を当てたような作品もどんどん観たい
衝動に駆られています。
挙げて頂いたキートンの諸作品はレンタル屋でも
見かけた気がしますので観てみようと思います。

シネマヴェーラはこの週末を含めて
私もまだ何回か行こうと思っています。
またいろいろとご教授頂ければ幸いです。
書き込みお待ちしております。

投稿: kuroneko | 2008年11月29日 (土) 10時57分

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