映画「恐怖の報酬」
「恐怖の報酬」
原題名: La Salaire de la Peur
原作: ジョルジュ・アルノー
監督: アンリ=ジョルジョ・クルーゾー
脚本: アンリ=ジョルジュ・クルーゾー,ジェローム・ジェロミニ
撮影: アルマン・ティラール
音楽: ジョルジュ・オーリック
出演: イヴ・モンタン,シャルル・ヴァネル,ファルコ・ルリ
時間: 135分 [モノクロ]
製作年: 1952年/フランス
(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)
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石油採掘現場まで爆破用のニトログリセンリンをトラックで運ぶことに成功した
者に2000ドル払うという話しに命知らずの男達が名乗りを上げる。採用となった
マリオ(イヴ・モンタン)とマリオの伯父等4人は二台のトラックにニトログリセリンを
満載して採掘現場に向けて出発する。しかしそれは恐るべき恐怖の道程だった。。
前半のろくな仕事もなく気だるい暑さの中で時間と精力を持て余す
男達と後半の次々と道中の4人に襲いかかる"恐怖"の連続の展開の対比が
とても鮮やかだ。
進路を変更する為に崖に突き出した稚拙な仮設台にニトロを満載した
トラックを乗せて転回しなければならないシーンを始めどのシーンも
とても丁寧に撮られていて嬉しく終始ニヤついたり溜息をついたりの
2時間弱。
何十億も製作費をかけているくせに適当にCG処理と細かいカットで
誤魔化してしまう昨今のアクション映画のあざとさは一体何なんだと
見ていて変な怒りを感じてしまった。
中盤の最高の見せ場、崖崩れで道を塞いでしまった巨大な岩をニトロ
を使って爆破するシーンはじっくり仕掛けを作るシーンと4人のリアク
ションから爆破までが描かれていてまるでドキュメンタリーを観ている
ようだ。
そのスタイリッシュな極めて洗練された映像と抑揚のある展開の
完成度の高さに「この作品も戦前のものだったら俺はもう戦後の作品
は観ない!!」と奇妙な逆切れ気分でチラシを確認したら戦後の作品
だったのでホッとした。もしもこの作品まで戦前のものだったら
戦争によって本当に失われたものが余りに大きすぎると思ったからだ。
仲違いしつつ、仲直りし、ついに最後に現場に辿り着くマリオの
無常の表情と燃え狂う石油の火。。無常観漂う素晴らしいクライ
マックスの映像。作品自体は現場に辿り着いた後いましばらく続くが
個人的にはこの業火のような凄まじい炎のシーンで終わってくれても
良かったと思う。
「映画」って"本当は"凄い娯楽なんだということがこの作品を観ると
判る。生涯この映画を忘れることはないだろう。
観なきゃ損。
アクション映画製作に関る者は全てこの映画を必ず観るべし!義務!!
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