映画「フランケンシュタイン」
「フランケンシュタイン」
原題名: Frankenstein
原作: メアリー・シェリー
監督: ジェームズ・ホエール
脚本: ギャレット・フォート,フランシス・エドワード・ファラゴー,ロバート・フローリー
撮影: アーサー・エディソン
出演: コリン・クライヴ,メエ・クラーク,ボリス・カーロフ
時間: 70分 [モノクロ]
製作年: 1931年/アメリカ
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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才能溢れる若き天才フランケンシュタイン博士は使用人を使って葬儀の
終わった後に墓を暴き死体を掘り返していた。甦らせる実験の為に。そして
形状が破壊されていない脳みそを手に入れるように使用人に命じるが使用人が
大学から盗み出したのは凶悪な罪人の脳みそだった。果たして狂気の実験に
より甦った『怪物』はフランケンシュタイン博士の師を殺害し脱走する。
村ではフランケンシュタイン博士の結婚式が華やかに行われていた。。
人は何歳で「フランケンシュタイン」という言葉とあの巨体と青ざめた四角い
顔とボルトのついた首を知るのであろうか(^^)自分の個人史としてのフランケン
シュタインといえば藤子不二夫の傑作漫画「怪物君」が鮮明である。
さて、『フランケンシュタイン』という名称は死体から甦った怪物を造った
博士の名前なのですねー。本作は元祖だけあって全体的になかなかいい出来です。
死体から甦った怪物はオープニングクレジットには
The Monster ・・・?
とあって(つまり演者は秘密ということ)なかなか洒落ていて良いです。
演じているのはボリス・カーロフという俳優さんらしいけど背が高えー(@_@)
オープニングもなかなか怪しくて素敵。多分夜中観たらかなり怖い。
ここ最近は名作の呼び声が高い作品ばかりを観てきたので本作の
人間ドラマと登場人物の掘り下げの浅さには正直言うと欠伸が出た。
ただし本作を貶して言っているのではない。オープニングの墓場のシーンの
妖しい映像美やフランケンシュタイン博士の館のセットの豪華さ、
驚嘆に値するクライマックスの風車の塔のシーンの素晴らしさなど
怪物映画としては充分及第点以上の優れた出来である。
つまり人間に細かく演出するだけの予算が無いだけの単純な話しなのだ(^^;)
それでも今でもこれからも永久に?続いてく「フランケンシュタイン」
という名を冠した怪物の造型は本作で100%余すことなく完成しているし
婚礼のシーンや少女と怪物が心を通わすシーン、上述の各シーンと
人々が怪物狩りに繰り出す群集シーンなどどれも素晴らしい。
とりわけクライマックスの風車の炎上シーンはもう絵画のように美しく
極めて禍々しく世紀末的で一見の価値はある。クライマックスはもう一回観たい。
作品の展開とテーマは簡単で普遍的だ。"怪物"そのものに焦点があるのではなく
"異端の者"を一切受け付けない、且つすぐに抹殺しようとする人間社会のエゴ
と恐怖そのものである。そして本作はその焦点の定まり具合は元祖ゆえになかなか
いい線行ってはいるがすでに「怪物映画」という狭いジャンルの枠に自らを貶めて
いる点が観ていて残念であり悲しくもあった(登場人物達の人物造型の浅さ!)。
怪物が少女にたいして笑みを浮かべるシーン(妖しく美しい名シーン!)が
それ以上一切の掘り下げはなくただひたすら"凶暴な怪物"としてしか
描いていないのがそれを端的に物語っている。
そしてこのジャンルが元祖からあまり映画としての進化を遂げていない気がした。
勿論名作傑作はいくつも挙げられるだろうけども。
人間達の描写が温いので途中から集中出来なくなったけど
少女とのつかの間の交流のシーンと最後の風車炎上シーンがとても
素晴らしくて作品が引き締まって良かった。
怪物映画・パニック映画はまだまだやり尽くしていないと思う。
星の数ほどの駄作を観るよりは本作はお勧め。
以外と今の腐った社会の中で虐げられていると感じている人は
"怪物"に同情して結構泣けるかもしれない。
繰り返しになってしまうけどクライマックスの映像は素晴らしい。
ここだけなら☆五個。
まあ色々な意味で永久保存すべき作品ではある。
とりあえず観て良かった。
ちなみに紫外線の中の一成分"超紫外線"を浴びせると死体が甦る
のだそうな。人為的に超紫外線を浴びせるには多量の電力が必要
なようだぞ!家でやる場合はアンペア数をよく確認してね(^0^)/
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