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2009年2月21日 (土)

映画「ザ・ムーン」

2009年に見た映画(十) 「ザ・ムーン」

原題名: IN THE SHADOW OF THE MOON
監督: デイヴィッド・シントン
出演: バズ・オルドリン,マイク・コリンズ,アラン・ビーン,ジム・ラヴェル
時間: 100分 (1時間40分)
製作年: 2007年/イギリス
(池袋 シネマサンシャインにて鑑賞)

2009年 2月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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1967年のアポロ1号(打ち上げ失敗)からアポロ17号(1972年)までの
所謂「アポロ計画」の全貌を歴代宇宙飛行士のインタビューと
貴重な月面での撮影シーンや多くの内部映像と当時のニュースを
織り込みながら描く壮大な『ドキュメント』。

アポロ計画の年譜

1961年   5月 25日  ジョン・F・ケネディ、月へ人類を送る国会演説
1967年   1月 27日  アポロ 1号打ち上げ(失敗)。
1968年 10月 11日  アポロ 7号打ち上げ。初の有人飛行。
           12月 21日  アポロ 8号打ち上げ。初の有人による月周回成功。
1969年   3月  3日  アポロ 9号打ち上げ。月着陸船初飛行。
            5月 18日  アポロ10号打ち上げ。月面まで10マイル(16km)に迫る。
            7月 21日  アポロ11号打ち上げ。人類、月に立つ。
          11月 14日  アポロ12号打ち上げ。より正確な月面着陸成功。
1970年  4月 11日  アポロ13号打ち上げ。事故に合うが全員無事生還。
1971年  1月 31日  アポロ14号打ち上げ。3度目の月面着陸成功。
            7月 26日  アポロ15号打ち上げ。初の長期滞在。月面車初投入(※)。
1972年  4月 16日  アポロ16号打ち上げ。高地の月面に着陸成功。
            2月  7日  アポロ17号打ち上げ。月面に約3日間の長期滞在。

見終わって、興奮も冷めやらぬままに帰宅してネットでアポロ計画に
関する記事を検索したりニコ動で画像を思いつくまま検索して
見たりしていてある一つの記述に目が止まった。

さてここで問題です。

問題: アポロ計画当時のアメリカ合衆国大統領は誰でしょう?

答え: ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ (^0^)/

ブー(-_-)

正解: リチャード・ミルハウス・ニクソン

そうあのウォーターゲート事件(1972)で失脚し現時点(2009年2月)での
歴代の合衆国大統領の中で唯一辞任したニクソンがアポロ計画当時の
大統領だ。したがって人類が"公式"的に初めて月面に着陸した当時の
アメリカの大統領は当然ニクソンであった。

目に留まった記事には1行こう書いてあった。

アポロ計画当時の合衆国大統領が"ジョン・F・ケネディ"ではなく
"ニクソン"であったということを一体どれほどの人間が意識しているだろうか。

本作の劇中にジョン・F・ケネディは何度も繰り返し出てきたような
印象があるがニクソンはただの一回でも出てきたっけ。。

そう言えば月面に人類が着陸を成功した時の大統領(ニクソン)のコメント
なんて見たことない。ウォーターゲート事件で失脚する前では
あったが。

本作を観る以前にロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演の
「アポロ13」(1995)は飽きるほど見たのに、本作もたっぷり堪能
したというのに、ニクソンがその当時の大統領ということは完璧
なまでに忘れていた。

本作を"しっかり"見た人のうち果たして何人が"ニクソン"と
正解を答えることが出来るだろう。

『アポロ計画』

そのインパクトにおいて未だ史上最大規模の科学的大プロジェクト
であり同時に史上最大規模の政治的なショーでもあった。

また問題です。

問題: 人類史上初めて月面に車を走行させた国はどこでしょうか?

答え: アメリカ合衆国 (・∀・)Y

ブー(`□´)

正解: ソビエト連邦

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ソビエト連邦はルナ計画の一環として、アメリカに先駆けて月面車を
月面へ投入した。1970年11月10日にルナ17号がルノホート1号を
「雨の海」へ、1973年1月8日にルナ21号がルノホート2号を「晴れの海」へ
運んでいる。
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ウィキペディア "月面車"の項より

残念なことに本作の構成そのものも結局はアポロ計画同様に壮大な
冷戦構造という『箱』の中の政治的ショーの延長にしか過ぎない。

本邦初公開のものを含めた貴重な貴重なフィルムを下手な映画よりも
よほど劇的にそれこそドラマチックに繋いでNASAとアメリカがが挑んだ
月までの工程をダイナミックに描いてはみせているが、当時の合衆国大統領も
他国の月への挑戦も当然のようにまるで判らないようになっている。
そんな発言をしたら事宇宙へ放出するぞと言われそうな勢いすら感じる。

なぜ
あれから科学技術は超絶に進歩し続けているのに
ファミコン程度のメモリ容量しか持てなかった宇宙船しか作れ
なかった当時以降ただの一度も人類は月に行っていないのか。

なぜ
ベトナム戦争の終結と見事すぎるほど機を一にしてアポロ計画も
終了したのか。

そして
宇宙飛行士達は月面で一体何を見たのか。。

映像として幾ら見せられても目新しいことは本作を見ても
残念ながら何一つ判らない。

エンドクレジットでのアポロ計画に関った歴代飛行士達の
「月面着陸捏造論」への反論の嵐が何だか逆切れのようにも
見えて悲しいものがある。

NASAとアメリカは間違いなく人類を月へ送り込んだであろう。
そして
ニール・アームストロング

バズ・オルドリン

1969年7月21日未明にきっと月面に立ったであろう。

しかし今後も決して真実を明かせない多くの隠し事があることも
また間違いないのではないか。

アポロ計画を含む公表されている当時の「歴史的事実」が現代社会が
続く限り永久に"線"にはならない細切れの杜撰なディレクターズ
カット版であるように本作もまた大変遺憾ながらミッシング・リングの
非常に多い作品であることも。

さらに言えば
嘘だろうが本当だろがはっきり言ってどうでもいい。
人類が月に立ったことが多分本当だとして、
原爆投下だとか
東京大空襲だとか
ベトナム戦争だとか
世界中で起こった大量虐殺が無く『月』まで
辿り着けたらどんなに良かったろうと観ていて思った。

残念ながら
幾つかの大量虐殺がなければ多分
人類はまだ今でも月まで行っていない。

人類は恐ろしい。映画も恐ろしい。
どちらも平気で嘘をつく。
しかし全部が嘘とは限らない。
極上の嘘は常に事実と混ぜて語られる。

○ アポロ計画の年譜(+補足事項)

1961年   1月          ジョン・F・ケネディ第35代合衆国大統領に就任。
1961年   5月 25日  ジョン・F・ケネディ、月へ人類を送る国会演説
1962年                ベトナム戦争本格化
1963年 11月 22日  ジョン・F・ケネディ暗殺される。
1964年  8月         トンキン湾事件勃発。ベトナム戦争泥沼化へ。
1965年  2月         「北爆」開始。
1966年  2月  3日  ルナ 9号(ソ連)打ち上げ。史上初の月面着陸成功。
            4月  3日  ルナ10号(ソ連)打ち上げ。史上初の月の人工衛星になる。
1967年  1月 27日  アポロ 1号打ち上げ失敗。
1968年 10月 11日  アポロ 7号打ち上げ。初の有人飛行。
           12月 21日  アポロ 8号打ち上げ。初の有人による月周回成功。
            1月 20日  リチャード・ニクソン第37代合衆国大統領に就任。
            3月   3日  アポロ 9号打ち上げ。月着陸船初飛行。
            5月 18日  アポロ10号打ち上げ。月面まで10マイル(16km)に迫る。
            4月   3日  ルナ10号(ソ連)打ち上げ。史上初の月の人工衛星になる。
            7月 13日  ルナ15号(ソ連)打ち上げ。7月20日に月面に着陸(失敗)。
            7月 21日  アポロ11号打ち上げ。人類、月に立つ。
          11月 14日  アポロ12号打ち上げ。より正確な月面着陸成功。
1970年  4月 11日  アポロ13号打ち上げ。事故に合うが全員無事生還。
          11月 10日  ルナ17号(ソ連)打ち上げ。初の月面での走行成功(※)
1971年  1月 31日  アポロ14号打ち上げ。3度目の月面着陸成功。
            7月 26日  アポロ15号打ち上げ。初の長期滞在。月面車初投入(※)。
1972年  4月 16日  アポロ16号打ち上げ。高地の月面に着陸成功。
          12月  7日  アポロ17号打ち上げ。月面に約3日間の長期滞在。
1973年  1月         パリ協定締結。アメリカ軍、ベトナムから撤兵完了
1974年  8月         リチャード・ニクソン辞任。
1975年  4月         サイゴン陥落。ベトナム戦争終結。

1972年以後、アメリカとNASAは決して『月』へ向かうことはなかった。。
(アポロ18号から20号まで計画はあったが中止されている)

なぜ月に行かなくなって30数年も経過しているのか、
個人的見解としては人類は月に"ゴミ"(着陸船や旗や月面車)を何回も
放置したのであちらの住民にキツイお断りを喰らったのだと思うす。
野口健氏の偉大なるエベレスト清掃登山よろしくお片づけするのは
やはり。。

人類はこれからも月を利用し尽くすのだろうか?

映画「アポロ13」よりアポロ13号船長ジム・ラヴェルの言葉

「私は月を見上げ思う。一体いつ誰があそこに"還る"のだろうかと」

"I look up at the moon and wonder
when will be going back and who will that be?"

まずは最低限ゴミは持ち帰りましょう。

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