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2009年3月29日 (日)

映画「アレクサンダー大王」

2009年に見た映画(二十六) 「アレクサンダー大王」

原題名: Μεγαλέξανδρος
監督: テオ・アンゲロプロス
出演: オメロ・アントヌッティ,エヴァ・コタマニドゥ,ミハリス・ヤナトゥス
時間: 208分 (3時間28分)
製作年: 1980年/ギリシア・イタリア・西ドイツ
(渋谷 シネマヴェーラにて鑑賞)

2009年 3月鑑賞
(満足度:☆☆☆+)(5個で満点)

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20世紀初頭、アレクサンダー大王と名乗り英国貴族を拉致・監禁した
ギリシアの義賊の男とその協力者達の勃興と衰退を描く。

テオ・アンゲロプロスの監督作品はこれまで観た順に

・エレニの旅(2004)
・旅芸人の記録(1975)
・アレクサンダー大王(1980)

となるが、この中では「旅芸人の記録」が一番好きかな。
本作は上記の他の作品と共通するように
他国の人間に蹂躙される人々の苦悩とその行動の奇跡を
ダイナミック且つ詩的な映像描いているわけだが
「人間を描く」という視点では
「旅芸人の記録」の方が本作より迫真的であるように思った。

救世主として崇められたアレクサンダー大王を名乗る男は武力によって
国内の難局に立ち向かおうとしその同胞達共々やがて
共同体の中で疎んじられていき最後には否定されるわけだけど

テオ・アンゲロプロスのテクニック的な手腕は「旅芸人の記録」の時より
洗練されて映像作品としての面白さの方が際立つ。

丘の上を川の辺を人々は漂うように歩き群れ叫ぶ。
その描写の全ては劇であり舞台であり
人々は時に上手から下手からあるいは中央の奥から現れて
台詞を言ってそのどれかに消えていく。

画面構成が練りに練られたワンテイクでの登場人物が多い群集劇なのでミスもある。
後半に求心力を最早失ったアレクサンダー大王一味に
処刑されたはずの男が無造作に広場に転がされるシーンで
顔が地面にぶつかりそうになったのか僅かに受身を取ろうとする
シーンがあったりする。何十人という人間が芝居をしてしかも
基本的に長回しがだから仕方ないだろう。

私有財産を否定して共産主義を誓い合った人々は
やがて大王を含めて何処ともなく消える。

終始、郷愁の念を誘う渓谷や丘陵や簡素極まりない村を舞台に
描かれた人間模様と最後に登場する現在のギリシアの街の
近代的ではあるが無秩序そのものの模様は著しいまでの対比を成す。

作中で描かれたシーンそのままに
アレクサンダー大王は時空の彼方に消え
その居場所は最早この世界には無い。

テオ・アンゲロプロスは1935年生まれでもうすぐ74才か(4月27日生まれ)。
彼の描くキャンパスは広大で4次元的で自分は全然味わえていない。
星の☆☆☆+なのは作品の方ではなくて自分の力量不足でこれくらいしか
味わえていないということ。今後観る度に評価はきっと上がっていくような気がする。

まだまだ気を吐いて頑張って欲しいところだ。
新作が公開されたら必ず観に行こう。

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コメント

知り合いが、アレクサンダー大王が好きという人がおり、気になりました。
巨匠テオ・アンゲロプロスを覚えておきます。
教えてもらい、ありがとうございます。

投稿: yoshiki | 2009年4月16日 (木) 14時32分

yoshiki様ようこそ!(^0^)
ご丁寧なコメントありがとうございます。
この作品は全体の映像の雰囲気が格調高くて
登場人物も皆品格があって秀作です。
テオ・アンゲロプロスは覚えておいて
決して損の無い監督だと思いますよ。
上記の三作品も全てお勧めでので
機会がしましたら是非ご覧ください(^-^)

投稿: kuroneko | 2009年4月16日 (木) 22時37分

どうもkuroneko様。


Seeing is believing.ぜひ見てみようと思います。

ありがとうございます。

投稿: yoshiki | 2009年4月17日 (金) 13時47分

yoshiki様
こちらこそ、ありがとうございます!
テオ・アンゲロプロスの映画は結構
感想が大きく分かれるタイプの作品だと
思うので感想をお聞きしたいですね。
またの書き込みをお待ちしております(^-^)

投稿: kuroneko | 2009年4月18日 (土) 00時46分

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