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2009年3月20日 (金)

映画「家宝」

「家宝」
Le Principe de l'incertitude

監督: マノエル・ド・オリヴェイラ
出演: レオノール・バルダック,レオノール・シルヴェイラ,

時間: 132分 (2時間12分)
製作年: 2002年/ポルトガル・フランス

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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小さな教会でたった独りで日々祈りを捧げることを日課とする美しき娘
カミーラ(レオノール・バルダック)。何ら財産の無い貧しい家に育った彼女は
裕福な若手事業家と"愛無き結婚"を選ぶ。美しくしかし何を考えているか
判らないカミーラに夫も含めて周囲は時に辛辣に当った。しかしそんな周囲に
対しても実体の無い夫婦生活にもカミーラは全く動じずにひたすら"妻"を
演じ続け生きる。カミーラが祈りを捧げ続けいた信仰の対象それは不思議な
魅力で絶大な影響力を多くの人に与え最後には火炙りの刑になった
ジャンヌ・ダルクだった。やがて夫の事業が危機に瀕していく中でカミーラは。。

 大掛かりなロケもセットも特に無い。

 古めかしい家と代々受け継いできたであろう家具や高価な調度品の数々と
その中で蠢く人々。

 立場の違い、育ちの違い、目的・思惑の違い、、

 妻となろうとも家族となろうとも親戚となろうとも人はそれぞれの見解で勝手に
動いていく。

 レオノール・バルダック演じる一見大人しいカミーラの周囲の人々の誠実さの
欠けた自分達の富を守るための日々の行動の中でカミーラの落ち着きすぎた
行動が全然埋没することがない。登場人物達の細かな気持ちの変化まで捉えて
注意を払った繊細な演出が心地いい。

 感情を露わにし、やがて金銭の呪縛に囚われていく人々の中で一向に気持ちを
表現しようとしないカミーラの異質さがしだいにクローズアップされて最後は物語の
中心に彼女が居る。

 美しいカミーラが夫の操り人形なのか、それとも操られているのは周囲なのか。

 いつも誰かが良くも悪くもカミーラを思い奔走し状況が日々変化し彼女はその中心で
ただ笑みを浮かべるだけ。そう、その構造力学的立ち位置はまるでジャンヌ・ダルク
その人のよう。。

 難解な台詞がやや多いせいか主人公のレオノール・バルダックを始め台詞が
言い終わるまで棒立ちのようになっているシーンが一部あるが演出なのかどうなのか
わからない。あまり気にもならないけど。

 それでも作中のどんなシーンでもつい見入ってしまう画面のクオリティは立派の一言。

 何かといえば作品の質の低さを制作費の少なさやセットの規模の小ささに
責任転嫁して憚らない者は皆この作品を観よ

 「面白い映画とな何か」という問いへの正解に至るためのヒントが本作には詰まって
いる。
 

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