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2009年4月 6日 (月)

映画「戦艦大和」

「戦艦大和」


原作: 吉田満
監督: 阿部豊
脚本: 八住利雄
音楽: 芥川也寸志
美術: 新藤誠吾
特殊技術: 上村貞夫,黒田武一郎,天羽四郎

出演: 高田稔,小川虎之助,佐々木孝丸,藤田進,見明凡太朗,関千恵子,
滝花久子,久我美子,伊沢一郎,有田稔,片桐余四郎,    舟橋元,三津田健,
中村伸郎,宮口精二

時間: 101分 (1時間41分)
製作年: 1953年/日本 新東宝

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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戦艦大和の沖縄に向かう最期の作戦「菊水作戦」における出撃から沈没までを
搭乗員達の奮戦振りに焦点を当てて描く大作。原作は実際に大和に搭乗していた
吉田満の「戦艦大和ノ最期」。主人公も吉田その人をモデルにしている模様。

 

 艦内における人間模様が丁寧に描写されていて、最後まで見せる。実際に大和に
搭乗していた方の書いたものが原作だけあって、変に美化することもなく、妖しげな
イデオローグで染めることもなくお国の為に信念の為に精一杯闘おうとする

『普通の人間達』

をきちんと捉えていて好感が持てた。

 に比べて、、何たる特撮シーンの貧弱さよ(予算が潤沢でないので仕方ないけど)。
ストーリー上で大和が沈没する前に撮影用の"大和"が沈没するんじゃねーかと
マジでハラハラドキドキした(^^;)

 というか、多分途中で2回くらいは木っ端微塵になっている気がする。
「カット!カット!火薬多すぎ多すぎ!模型を守れ!火消せ!!」

という撮影現場のスタッフの叫びが聞こえる気がして仕方がない。

 まあこれは技術が稚拙だと言うよりも東宝や東映のような直営館をただの一つも
持たずに奮戦してやがて消えていった"新東宝"という会社により製作・配給された
事情が大きい。

 特撮シーンがひどく物足りないといって嗤うのは容易いがその余りに足りない資金力
としての結果の映像の寂しさは各自脳内で補完して実際の戦艦大和の建造された
背景の日本の台所事情の無茶苦茶さとリンクさせて愉しむのが大人の鑑賞方法って
ものだろう。

 沖縄を守るだとか、岸に突っ込んで永久砲台になるだとか威勢のいいことを一方
では言いつつも上官から一兵卒に至るまで誰一人として本当に辿り着けるなどと
欠片も思ってなく人生最後の宴会で雄叫びを上げ泣き叫び宴の後、粛々と遺書を
書くシーンはどうしても「なんだかなー」と思ってしまう。

 映画としてどうこうではなく「戦争」という国家間の争いと戦略・戦術とは最早すっかり
離れてしまって忠臣蔵とかそっち系の内向きな精神世界に"全員"が行ってしまって
いることに同情と言いしれない怒りを感じる。主人公が最初から最後まで冷静で理性的
な人間であることが状況が悲惨になればなるほど本作の輝きとドラマ性を増している。

 大和沈没後の敵機による洋上の生き残りの者達への容赦ない銃撃をきちんと描いて
いるのは大変評価したい。それはまさに戦闘能力を失った人間達への"虐殺"以外の
なにものでもなかったわけだ。

 「男たちの大和/YAMATO」(2005)は全体的になかなか良くやったなーと本作を観ていて
思ったが何としてもこの沈没後の機銃掃射シーンは絶対に欲しかったところであり
「男たち~」が永久に減点を免れない点なのでありとても残念だ。嘘を描いてることになる
もんな。

 人間ドラマは本作で堪能して戦闘シーンは「男たち~」を観て楽しんだら良いかと思う。

 大和そのものではなく大和を護衛して沈没した戦艦郡に焦点を当てるとか「菊水作戦」を
テーマにした戦争映画とか今でも充分作れる余地があるように思う。右だろうが左だろうが
浅墓なイデオロギーによらない戦争の時代をとにかく必死で生きて死んでいった人々を
今こそ描けると思うけど、今は今で製作プロセスの現場は変ちくりんな思考の人々で埋まって
いるから難しいだろう。

 自分が億万長者になったら一人一人有能なスタッフを集めて作るとしよう。面白くて
最低限の事実を抑えていて泣けて未来への教訓にもなり現在への警鐘にもなる戦争
映画を。

 本作公開の4年後に新東宝が送り出した大作「明治天皇と日露大戦争」では格段に
特撮シーンの「見せ方」は向上している。

 戦後僅か8年後の作品だと思えば充分及第点の作品と言えるだろう。乗組員達の
描写の偏見の無さと『彼らも普通の人間だった』という当たり前の人としての温かさを
持った視点を維持していることを思えば2009年の現在でも戦艦大和を描いた映画としては
ベスト1の作品なのかもしれない。

 甲板での総員による君が代斉唱のシーンは、素直に胸を打つ。

 

[大和(戦艦)]
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大和(やまと/ヤマト)は、日本海軍が建造した史上最大の戦艦。
軍艦 大和は、大和型戦艦の1番艦[6]。大和の艦名は奈良県の旧国名の大和国に
由来する。艦名は、明治・大正時代の海防艦/特務艦大和に続いて二代目。

計画      第三次海軍軍備補充計画
起工     1937年11月4日
進水     1940年8月8日
就役     1941年12月16日
その後   1945年4月7日沈没
位置     北緯30度43分17秒 東経128度04分00秒
建造費   約137,802,000円(1936年3月 艦政本部試算)

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(ウィキペディア日本語版)[2017年6月11日 (日) 18:13 UTC] 

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