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2009年5月17日 (日)

映画「鍵」

2009年に見た映画(四十七) 「鍵」

原題名: 鍵
監督: 市川崑
撮影: 宮川一夫
音楽: 芥川也寸志
出演: 仲代達矢,中村鴈治郎,京マチ子,叶順子,北林谷栄
時間: 107分 (1時間47分)
製作年: 1959年/日本 大映
(渋谷 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞)

2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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精力の衰えを自覚する初老の大学教授(中村鴈治郎)の剣持は
妻(京マチ子)を失神させてその裸体を写真に撮りさらに
その写真を娘と交際中の医者の卵の木村(仲代達矢)に見せる。
木村は利用されていると自覚した上で剣持の娘と交際しつつ
剣持の妻にも接近する。。

 

これは市川崑版「スイミングプール」(2003)か。

フランソワ・オゾン監督の佳作「スイミングプール」では舞台となる
南フランスの別荘そのものが[媒体]となって人々の行動を操る
装置の一種として機能していたが、本作では登場人物それぞれが
適時[媒体]となりその役割をリレーしながら物語が巧に進んで
いくのが上手く描かれていてなかなか面白く観れた。

肉体的に性欲を満たせない老人は若い男に
美しい妻の裸体の写真を見せる。且つ風呂場で
失神した妻の衣服を着させる作業をわざと手伝わせる。

妻と若者は当然のように惹かれあい密会を
するようになる。老人はその二人を覗き見ることで
精神的な高揚を覚える。

妻と若者は監視されていることを知りながら、
彼ら自身もその状況により燃え上がる。

若者を慕う老人の娘はそんな状況に苛立ち
父を蔑みながらも正面からの抵抗は出来ずに若者に
ますます情念を募らせる。

性欲の満たされどの加算だけで言えば
嫉妬の念に苛まれ続ける叶順子演じる娘が
一番損ではある。しかし怒りのエネルギーを
増幅し続けいずれ爆発する準備を
"父のおかげで"出来ているともいえる。

そして
彼らの狸合戦を傍観し続けた(よう見えたに)使用人の
北林谷栄も最後にはこのループの中に入っていく。

お互いを気遣う"振り"をしながらも最終的には
命が日々衰えやがては尽きることを知っていて
己のことしか頭にないエゴイスト達の内面を
描いているわけで内容的には長くも短くも深くも浅くも
監督の手腕で出来るテーマだ。

物語としては弛緩している箇所が幾つかあるが天才
宮川一夫撮影監督の素晴らしい手腕による映像美が
常に星飛雄馬を支え続ける伴宙太のごとく見事に
フォローし続ける。

邦画を"映像美"の観点から楽しみたい人には
確実にお勧めな一品。

すっかり大御所となった今とは全く趣き異なる
軽妙で妖しい男を演じる仲代達也(この時25才位)も
実に楽しい。

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コメント

これ何回かリメイクされてますけど
市川崑版が一番面白そうですね

投稿: 万物創造房店主 | 2009年5月21日 (木) 20時17分

コンセプトの輪郭がクッキリしているから
リメイクしやすいかもしれませんね。
個人的にはもっともっと踏み込んで欲しかったけど
市川崑と宮川一夫のチームワークは素晴らしい
です。

投稿: kuroneko | 2009年5月21日 (木) 23時26分

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