映画「麦秋」
「麦秋」
監督: 小津安二郎
撮影: 厚田雄春
出演: 原節子,淡島千景,佐野周二,笠智衆,三宅邦子
時間: 124分 (2時間4分) [モノクロ]
製作年: 1951年/日本 (松竹)
2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
---------------------------------------------------------------
原節子演じる結婚適齢期の娘と彼女を温かく見守る一家を描く。
物語としては地味な展開だけど実力ある俳優達の地に足の着いた演技と
名匠小津の落ち着いた演出とスタッフワークの相乗効果がじっくり楽しめる。
原節子と淡島千景の二大スター女優の競演も楽しい。
笠智衆と宮口精二の中年男達の将棋を指すシーンが何だか
とても輝いていていいなあ。
小さなエピソードが細かく繋がれてやがて女は周囲の心配を他所に
自分の道を歩いていく。その過程の様は春が終り夏が来てそして
実り豊かな秋がやってくるまさにタイトルの麦秋(ばくしゅう)そのまま
の大団円を迎えるラストはお見事の一言。
小津や溝口や成瀬といった完成度も高くともすれば形式美も重んじる
50年代の映画黄金期の時代はやがて終りを告げ日本は50年代後半
から資本の大波に上から下まで溺れていき映画界もまた良くも悪くも
新しい血がどんどん流入して暴走していくのだなあと観ていてしみじみ
思ってしまった。
原節子が出演した作品でこれまで観た作品の中では
個人的には成瀬巳喜男監督の「山の音」(1954)が好きだ。
---------------------------------------------------------------
映画感想一覧>>
| 固定リンク
« 映画「早春」 | トップページ | 映画「土と兵隊」 »
「映画」カテゴリの記事
- 映画と賞を取ることについて関係性における独り言(2021.05.02)
- 映画「ジョーカー」(2020.12.09)
- 映画「魂のゆくえ」(2020.07.24)
- 映画「愛の渇き」(2020.05.01)
- 特撮映画における或る命題について(2020.04.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント