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2009年6月20日 (土)

映画「忘八武士道」

2009年に見た映画(六十三) 「ポルノ時代劇 忘八武士道」

原題名: ポルノ時代劇 忘八武士道
監督: 石井輝男
脚本: 佐治乾
撮影: 鈴木重平
出演: 丹波哲郎,伊吹吾郎,遠藤辰雄,内田良平
時間: 90分 (1時間30分)
製作年: 1973年/日本 (東映)
(池袋 新文芸座にて鑑賞)

2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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時は江戸。遊郭を取り仕切るドンに雇われた腕は滅法立つが
天涯孤独の浪人(丹波哲郎)の修羅道と幕府を揺るがすほどの
力を持った遊郭VS幕府の仁義無き闇の闘いを性の道具として
利用され尽くされる女郎達の美しき肢体と共に鬼才石井輝男抉る!

忘八(忘八者)とは何ぞ?
それは、八つの徳を忘れる(忘れるた者の)こと。
転じて遊郭の主人を意味するそうな。なるほど。

八つの徳とは何ぞ?
それは のこと。

ではせっかくの機会ですからWEB上を彷徨って
八つの徳をかき集めてみまそ。

「仁」・・・すべての人に対して思いやり、慈しみをもつこと。
「義」・・・道理を持って人道に従うこと。
「礼」・・・節度を持つこと。
「智」・・・物事を知り、その知識を正しく行使すること。
「信」・・・約束を守り、嘘をつかないこと。
「忠」・・・主君に対して臣が尽くすこと。
「孝」・・・親に対して子が尽くすこと。
「悌」・・・自分より優れている者を認め尊敬すること。

一個でも"きちんと"持たんとすれば自ずと他も持たざるをえない。
なんて素晴らしく完璧なループ。
現代人のほとんどは忘八者になってしまうのではなかろか。。

因みに私kuronekoの場合はと言えば、、
「仁」「礼」「智」「悌」は割と持っていると思う
(「仁」はたまに人様からもご指摘&お褒めの言葉を頂く)。
「孝」は時と場合による。「義」「信」「忠」は時と場合と相手による。
特に「信」「忠」はこちらで相手を厳選させて行使させて頂く。

よって忘四者か。
中途半端に日々会社勤めを続けるリーマンとしてはまあこんなものか。

さて作品の方は、
実に完成度の高い由緒正しいポルノ映画と言える。
豪奢な映像美と息つかせぬ女の裸体の嵐(皆さん綺麗!)と血しぶき!

!血しぶき!!血しぶき!火達磨!!血しぶき!血しぶき!裸!

エログロをこれでもかと投げつけながらもどこまでもどこまでも
男の慰みものでしかない短命な女達の哀しさと彼女達を蔑みながらも
保護し利用しなければ維持することの出来ない古来より不変の社会構造
の底辺を見せつける。

遊郭の存在そのものの如何わしさ・哀しさ・豪華絢爛さの全てを
バランスよくきちんと「映像」として作りこんだ映画で本作に
匹敵する作品は実はそうは存在しないように思う(あれば観たい)。

本作よりエロになればただの興味本位のアダルト作品だし
本作より浅くなればミスリードしまくりの胡散臭くて説教臭い
教条主義とてでも呼ぶべき有象無象に埋没する駄作になりかねない。

きっちり仕事をこなせばこなすほど血に飢えた野獣として
幕府に睨まれクライアントである遊郭からも蜥蜴の尻尾としてしか
扱われない浪人を演じる丹波哲郎の孤独の陰が何だか
彼の実人生をダブらせて涙を誘った。

しかしその大柄な体躯に相応しい豪快な殺陣マジで素晴らしい。
最後の雪振る闇の中での四面楚歌の中での奮迅は
妖しいまでに美しい。

脚本・撮影も共になかなかよく頑張っておられる。
脚本は佐治乾。撮影は鈴木重平。どちらのフィルモグラフィーもなかなか
興味深いタイトルが並ぶ。彼らの手掛けた作品だけを二・三日見まくりたいもんだ。

ポルノを「大人の童話」と喝破したのはかの開高健だが
本作は紛れもない大傑作の大人の童話だ。

~佐治乾・鈴木重平 「 女・子供はお断り!禁断の大人の童話大特集 」~
シネマヴェーラさんか、新文芸座さんご検討のほどどうぞよろしく!!

丹波哲郎主演の暫定最高傑作!

石井輝男はつくづく天才だ。

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コメント

僕は冒頭ですでにやられましたね
丹波さんのカッコイイ殺陣と
丹波さんが切るたびに血しぶきから出てくるキャストの赤文字
水平にヒューって飛んでく体の部品
すげぇー
ツカミうまいなーって
しかしあれですね
全編に渡ってひたすら女性は裸でしか出てこないんですが
不思議とやらしくないというか
エロいんだけど=SEXじゃないんですよね
煩悩の方向性が違うというか
「血・暴力・裸」の揃った芸術というか
んーなんと言ったらいいのでしょうか
なんにしろ
こういうSEXだけじゃないポルノ映画ってもうなくなっちゃったんでしょうかねぇ・・・

投稿: 万物創造房店主 | 2009年6月22日 (月) 19時15分

連続石井輝男コンボ
次は徳川系ですか・・・

ところで
仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌
で思い出すのは
やっぱり里見八犬伝ですね
角川映画のヤツはめちゃ好きで何回も見ましたよ

投稿: 万物創造房店主 | 2009年6月22日 (月) 19時29分

>冒頭ですでにやられましたね
確かにオープニングは奇蹟的といって
いい素晴らしさですね。"悟り"といっても
過言ではない出来です。肩の力の抜け加減
が神業です。私は最後の斬り込みまで
気を抜かずに映像の美しさが保たれて
いたのに心打たれました。
 
>エロいんだけど=SEXじゃないんですよね
心なしか演じている女優さん達に
"誇り"のようなものを感じますね。
「脱がされている」という感じではなく
監督と信頼関係が成立していているように
思えます。女優さん達にとって肉体的に
本当に過酷なシーンが沢山ありますが
スタッフとの一体感も感じられます。
 
>やっぱり里見八犬伝ですね
いやー今見ても心打たれます。
『青春』としか言いようがないすなー
このテンション。この音楽。
http://video.aol.jp/video-detail/-/731333102
ある意味深作欣二の最高傑作では?(^^)
撮影めちゃくちゃ上手いですよね。
この作品。見せ方が抜群に上手い。
改めて検索したら撮影は仙元誠三という
人で私の大好き&大傑作な松田勇作の
「遊戯シリーズ」とかも手掛けているようです。
予告編今観ても本当に素晴らしい!!
映画はハード的な技術ではなくて
あくまでソフト的な"見せかた"次第だと
しみじみ思います。

投稿: kuroneko | 2009年6月22日 (月) 23時21分

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