映画「吸血鬼ゴケミドロ」
2009年に見た映画(六十八) 「吸血鬼ゴケミドロ」
原題名: 吸血鬼ゴケミドロ
監督: 佐藤肇
撮影: 平瀬静雄
脚本: 高久進,小林久三
美術: 芳野尹孝
出演: 吉田輝男,佐藤知美,高英男,金子信雄
時間: 84分 (1時間24分)
製作年: 1968年/日本 松竹
(東京 東京国立近代美術館フィルムセンターにて鑑賞)
2009年 5月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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禍々しい赤い空の下を一機の旅客機が飛んでいた。
旅客機はUFOとニアミスを起こした後に不時着。
客を装って搭乗していた国際テロリストの男にアメーバ上の
宇宙生物が肉体を乗っ取り。。
日本のB級特撮映画の大ファンであるクエンティン・タランティーノが
本作の血の滴るような空の中を飛行機が進むオープニングを
絶賛したのは今や有名な話だ。タラちゃんは確か迷作?「メカゴジラの逆襲」
(1975)のチタノザウルスか何かの出現シーンも絶賛していた気が
するが定かではない。
さて本作はオープニングだけでなく全体にタイトな予算を感じさせるがその
限られた枠を感じさせながらなかなかどうして良く出来ている。
確かにタラちゃんが絶賛するだけあってオープニングの妖し空は異空間へと
観客を誘う効果をとても良く果たしているがそれ以上に自分は飛行機の窓に
激突してくる鳥の効果がシンプルだけど素晴らしくて感心してしまった。
磁場が狂っているせいで次々に激突してくる鳥と血しぶきに濡れる窓。
そして断末魔の鳥の血みどろの羽ばたき!
猛スピードで近づく未確認飛行物体!
今となっては学生でもそれなりに技術的には真似できるであろう
特撮シーンの数々だが見せ方は全てプロの技と意地と予算が少ない中で
何とかしようという根性も感じられ楽しめた。
公開年の1968年はベトナム戦争が最激化していたい時期であり
反戦・反核を物語の構成の基盤に置く東宝怪奇映画・怪獣映画の
系譜に連なる本作(って松竹映画だけど)は当然のようにストーリー
の中に戦争や核への否定的なセリフや映像が強引極まりなく
散りばめられるのも今となってはご愛嬌。
それにしても飛行機が不時着した後生き残った数名のうちの
白人女性の英語はほとんど字幕無しなのに(叫んだり慟哭したり
してばかりだから別に訳さんでもいい台詞ばかりだけど)
たった一回字幕が出る台詞は
「戦争は絶対にいけない。なぜなら皆が不幸になるから。。」
には観客一同失笑せずにはいられなかったのは間違いないところ
だろう。
戦争をやったり煽ったり兵器を作って売ったりしてばかりいるのは
誰あろう貴方達ですから(゚д゚メ)、、残念!!
ゴケミドロに侵された怪人の動きがノロイのが目茶怖い。
クライマックスはお約束もいいところ(王道でもある)の結末で撮影も
日本全国どこでも撮れそうな山間部の高速インターでのお気軽ロケ撮影だけど
撮り方が上手いのでそれなりにシュールな雰囲気は良く出ていて充分に"乗れ"た。
何十億円・何百億円も費やした凡百のVFX映画なんて観た後
どころじゃく観たその瞬間から全てのシーンは忘れていくだろうが
本作の幾つかのシーンは軽く10年くらいは脳の隅っちょに潜伏し続けるだろう。
作品の底の浅さを予算のせいにして憚らない才能の欠片も無い
傲岸不遜なだけの映画製作者達は本作を観て出直せ。
映画を撮っている学生さんや将来映画製作を志す若者は映画とは
必ずしも『金』が全てではないことを本作を観てしっかり学ぶべし。
B級映画としても普通以上に良く出来てる。
本作が輝きを放っていることのエッセンスのある程度は
見せ方のプロ的な腕の確かさでありそれは撮影監督の平瀬静雄
の功績に帰していいのでは。。
と思って調べてみたら
監督の佐藤肇、撮影担当の平瀬静雄、脚本担当の 高久進と小林久三、
美術の芳野尹孝、皆さん本作以外でもとてもいい仕事をされて60年代後半~80年代
という『時代』を作ることに貢献しておられる。
映画の面白さの構築は偶然ではなくお金のお陰でもなく
才能の結集による必然と努力の結果なのだなあ。
今はたとえ百億円出したって本作の醸し出すセンスオブワンダーな
匂いを真似するのは容易なことではない。というか残念ながら不可能だ。
こズルイ奴ならパロディくらいは作れそうだが最近の才能の無い
人々は平気でオリジナルを主張しそうで怖い。
映画好き仲間でビールをカパカパ飲みながらお喋りしながら
観るとまた楽しい作品かもしれない。オモロー。
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