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2009年7月

2009年7月31日 (金)

映画「吸血鬼ゴケミドロ」

2009年に見た映画(六十八) 「吸血鬼ゴケミドロ」

原題名: 吸血鬼ゴケミドロ
監督: 佐藤肇
撮影: 平瀬静雄
脚本: 高久進,小林久三
美術: 芳野尹孝
出演: 吉田輝男,佐藤知美,高英男,金子信雄
時間: 84分 (1時間24分)
製作年: 1968年/日本 松竹
(東京 東京国立近代美術館フィルムセンターにて鑑賞)

2009年 5月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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禍々しい赤い空の下を一機の旅客機が飛んでいた。
旅客機はUFOとニアミスを起こした後に不時着。
客を装って搭乗していた国際テロリストの男にアメーバ上の
宇宙生物が肉体を乗っ取り。。

日本のB級特撮映画の大ファンであるクエンティン・タランティーノが
本作の血の滴るような空の中を飛行機が進むオープニングを
絶賛したのは今や有名な話だ。タラちゃんは確か迷作?「メカゴジラの逆襲」
(1975)のチタノザウルスか何かの出現シーンも絶賛していた気が
するが定かではない。

さて本作はオープニングだけでなく全体にタイトな予算を感じさせるがその
限られた枠を感じさせながらなかなかどうして良く出来ている。
確かにタラちゃんが絶賛するだけあってオープニングの妖し空は異空間へと
観客を誘う効果をとても良く果たしているがそれ以上に自分は飛行機の窓に
激突してくる鳥の効果がシンプルだけど素晴らしくて感心してしまった。

磁場が狂っているせいで次々に激突してくる血しぶきに濡れる窓。
そして断末魔の鳥血みどろの羽ばたき!
猛スピードで近づく未確認飛行物体!

今となっては学生でもそれなりに技術的には真似できるであろう
特撮シーンの数々だが見せ方は全てプロの意地と予算が少ない中で
何とかしようという根性も感じられ楽しめた。

公開年の1968年はベトナム戦争が最激化していたい時期であり
反戦・反核を物語の構成の基盤に置く東宝怪奇映画・怪獣映画の
系譜に連なる本作(って松竹映画だけど)は当然のようにストーリー
の中に戦争や核への否定的なセリフや映像が強引極まりなく
散りばめられるのも今となってはご愛嬌。

それにしても飛行機が不時着した後生き残った数名のうちの
白人女性の英語はほとんど字幕無しなのに(叫んだり慟哭したり
してばかりだから別に訳さんでもいい台詞ばかりだけど)
たった一回字幕が出る台詞は

「戦争は絶対にいけない。なぜなら皆が不幸になるから。。」
には観客一同失笑せずにはいられなかったのは間違いないところ
だろう。

戦争をやったり煽ったり兵器を作って売ったりしてばかりいるのは
誰あろう貴方達ですから
(゚д゚メ)、、残念!!

ゴケミドロに侵された怪人の動きがノロイのが目茶怖い。

クライマックスはお約束もいいところ(王道でもある)の結末で撮影も
日本全国どこでも撮れそうな山間部の高速インターでのお気軽ロケ撮影だけど
撮り方が上手いのでそれなりにシュールな雰囲気は良く出ていて充分に"乗れ"た。

何十億円・何百億円も費やした凡百のVFX映画なんて観た後
どころじゃく観たその瞬間から全てのシーンは忘れていくだろうが
本作の幾つかのシーンは軽く10年くらいは脳の隅っちょに潜伏し続けるだろう。

作品の底の浅さを予算のせいにして憚らない才能の欠片も無い
傲岸不遜なだけの映画製作者達は本作を観て出直せ。

映画を撮っている学生さんや将来映画製作を志す若者は映画とは
必ずしも『金』が全てではないことを本作を観てしっかり学ぶべし。

B級映画としても普通以上に良く出来てる。

本作が輝きを放っていることのエッセンスのある程度は
見せ方のプロ的な腕の確かさでありそれは撮影監督の平瀬静雄
の功績に帰していいのでは。。
と思って調べてみたら

監督の佐藤肇、撮影担当の平瀬静雄、脚本担当の 高久進小林久三
美術の芳野尹孝、皆さん本作以外でもとてもいい仕事をされて60年代後半~80年代
という『時代』を作ることに貢献しておられる。

映画の面白さの構築は
偶然ではなくお金のお陰でもなく
才能の結集による必然と努力の結果なのだなあ。

今はたとえ百億円出したって本作の醸し出すセンスオブワンダーな
匂いを真似するのは容易なことではない。というか残念ながら不可能だ。
こズルイ奴ならパロディくらいは作れそうだが最近の才能の無い
人々は平気でオリジナルを主張しそうで怖い。

映画好き仲間でビールをカパカパ飲みながらお喋りしながら
観るとまた楽しい作品かもしれない。オモロー。

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2009年7月29日 (水)

news「川村カオリ死去」

がん闘病の川村カオリさんが死去 ロック歌手
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 がんを告白し闘病生活を続けていたロック歌手の
川村カオリ(本名川村かおり)さんが28日午前11時1分、
東京都内の病院で死去した。38歳。モスクワ生まれ。
葬儀・告別式は近親者と友人のみで行う。
88年、17歳の時にシングル「ZOO」でデビュー。
90年代に発表した「神様が降りてくる夜」「翼をください」などが
ヒットしたほか、ラジオ番組のパーソナリティーや女優、
モデルとしても広く活躍した。
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[http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/entertainment/CO2009072801000819.html]
共同通信2009年7月28日(火)20:01

十代後半の最も多感で最もエネルギッシュで、でも毎日毎時毎分毎秒が
激しくメランコリーだった頃、彼女の歌を何曲かよく口ずさんでいた。
多くない自分の「口ずさみ曲」のレパートリーの中でも最もよく
口ずさみ且つ生涯の口ずさみ回数でも上位にいくであろう歌は
彼女の『みんな僕のせいさ』だった。
十代が終わって上京してからも無意識の内に一体何度
口ずさんだことだろう。


君のせいにしていたなら 
僕を責めていいよ
憂鬱なのも 
微笑むのも 
みんな僕のせいさ
みんな僕のせいさ

君のせいにしていた 
僕を責めていいよ
切ないのも 
うれしいのも 
みんな僕のせいさ
みんな僕のせいさ
僕のせいさ


引き締まった他者を寄せ付けないオーラ全開の歌詞も
そうだけど彼女の声のトーンとその眼差しから感じる
孤独の陰が曲全体と絶妙にマッチングして当時の自分
には一種の隠れ蓑の機能を果たしていたのだと今思う。

みんな僕のせいさ
みんな僕のせいさ

みんな僕のせいだから
僕に近づかないでくれ
こんな僕だから君にも近づけないんだと

徹底的な自己正当化にこの曲を利用していたような
気もするけど人を近づけず人に近づかないことにより
助かったことも確かにあったとも思う。

何よりも自分は今生きていて
明日も生きようと思っていることがその証で
卑怯な自分を相手にしないことで
その若さを別のことに振り向けることが
出来た人もいてその人は今も元気らしいという
こともまた。

彼女の曲はずっと頭の中のどこかにあって時折、
大抵は帰宅の途に着く途中の帰り道に自動再生されていたけど
彼女の事自体は忘れていた。

彼女は自分とそう変わらない年齢だったんだ。

ここ数日妙に「人の死」のことばかり考えていた。

河村カオリという人の死。
河村カオリという人はもうどこを捜してもいない。

彼女の思考は彼女の命の消失と共に消失した。
心臓の鼓動の停止と共に。

河村カオリという女性の生涯の終りとその存在の消失。

今日の今日までただひたすら自分のことばかり考えて
この曲を口ずさんできたわけだがこれから
38才で昇天した彼女の死とその生のこと
人の死とその生のこと
僕のせいだと僕が思うことで結局悲しい思いをした
少なくない人のこと
ベクトルを少しは外に向けてこれからも口ずさんでいこう。

切ないのも 
うれしいのも 
みんな僕のせいさ
みんな僕のせいさ

僕のせいさ

合掌。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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2009年7月20日 (月)

映画「アナタハン島の眞相はこれだ!!」

2009年に見た映画(六十七) 「アナタハン島の眞相はこれだ!!」

原題名: アナタハン島の眞相はこれだ!!
監督: 吉田とし子
出演: 比嘉和子,高野眞
時間: 53分
製作年: 1953年/日本 新大都映画
(東京国立近代美術館フィルムセンター にて鑑賞)

2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆)(5個で満点)

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昭和20年から同24年にかけてマリアナ諸島の島の一つ
アナタハン島で実際に起こった事件(アナタハン島事件)を
題材にして事件に直接関与し且つ事件の中心人物であった
比嘉和子その人を主役に迎えた異色作品。

この作品は書くのをスルーしようと思っていたのだけれど何と本作は
邦画における女性監督作品第一号作品ということで内容自体から
すれば膨大な諸作品の中に埋没して泡沫のごとく消えてしまうであろう
レベルの作品であると思うがその幸運な立ち位置と数奇な成立過程
によってほぼ確実に今後も消去を免れ且つ邦画の歴史に名を刻み
続け調査され続けていくであろう一編ということで書き記しておこうと思う。

日本における記録映画としての監督としては1936年(昭和11年)に
「初姿」を監督した坂根田鶴子が女性監督第一号らしい。
長編劇映画としては女優の田中絹代による初監督作品「恋文」
1953年(昭和28年)12月に公開されている。
本作「アナタハン島の~」は同1953年の4月に公開されているために
劇映画としては女性初監督作品となる。

本作を監督した吉田とし子についてはよくわかっていない点が多く
また本作の監督が盛野二郎とされている場合があるが実際のフィルム
には盛野二郎という名は無い。

以上は東京国立近代美術館編集によるNFCニューズレター第84号
の記述に寄った。

とりあえず作品としては特にいい出来ではない。元々女優であった
わけでもない(多分)被害女性本人が主演して自身を演じてしまって
いる時点で「良い・悪い」という評価を超越してしまっている。

上述のNFC84号には以下のようにあるが、、
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 『アナタハン島の眞相はこれだ!』は、当時の『キネマ旬報』の批評
(第63号)によって「戦後公開された日本映画中、最も非映画的な一遍」
と酷評されているが、(以下略)
================================================================

妥当な批評かと思う。
妥当だと思う根拠としては田中絹代の初監督作品「恋文」が先に公開
されていれば本作の今日までの扱いは全く異なっているものであったろうと
思える。さらに吉田とし子という女性が監督したのではなく男性が監督
したものであればさらに扱いは変わって2009年というこのタイミングで
自分が観る機会は無かった可能性が高いと思う。

事件そのものについては検索すると幾つものサイトがヒットするかと
思うので省略するが約30人の男性の中で一人の女性が残されその
状況下における男性達の争奪戦とそれが直接・間接の原因による
幾つかの不可解な死(殺人)は一種の密室劇として映画的な題材になり得る。

しかし本作は展開に特に工夫もなく思慮の浅い男達が一人しかいない
女を奪い合って相争う姿がそのまま描かれていく。特定のキャラの
人物像や心理描写が深まっていくということも特にない。

ぶっちゃけ
「そんなに獲り合うほどの女性でしょうか」
と観ていて思ってしまったけども渦中の女性を演じているのが
なにしろ御本人なのでそういった批判は作品の企画自体が封じ手
としてしまっている。

かと言って
「こんなに男共がいて女性が一人しかいなくて閉鎖された空間で
しかも戦時中(ある時期まで彼らは戦争終結を知らなかった)であれば
自分も他者を殺してでも争奪戦に参加するかもなー」という異常な状況下での
異常な集団心理が描けているかといえばお世辞にも描けていない。

よって「最も非映画的な一遍」という評は個人的には合点がいく。
そいうわけで上映時間53分というのは体感としては信じられない。
たっぷり1時間以上あったように感じた。

さらにオープニングで高級車で乗りつけて監督の吉田とし子と
握手してにこやかに談笑する比嘉和子には正直言ってなかなかの
抵抗感を感じる点を否めない。その抵抗感はオープニングシーンの
比嘉和子の演技の外での貫禄ありすぎる女優振り
エンディングでの「事件に関った人々へのご冥福を祈ります」という
紋きり型のテロップによって抵抗感は違和感へと昇華する。

このオープニングのシーンはなぜ挿入されたのか。。
本企画によって比嘉和子という事件の被害女性が女優として
報われたことを作品の中に明示しなくてはいけなかったからだろうか。

これからも幾つかの側面から部分的に解剖が続けられる
であろう作品。

「人間」も「映画」も歴史という壮大且つ最高最大の悲喜劇の前では
時としてそのものが持つ質や力量とは関係なく脚光を浴びたり
重要なポジションを保持し続ける場合がある。

むしろ時としてはでなく往々にしてそんなものかもしれない。
「人間」も「映画」も。

作品自体は☆二個だが上述の通り批判を超越する作品なので
その奇妙な存在過程に敬意を表して+☆1個。

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2009年7月18日 (土)

映画「酒と女と槍」

2009年に見た映画(六十六) 「酒と女と槍」

原題名: 酒と女と槍
監督: 内田吐夢
出演: 大友柳太朗,淡島千景,花園ひろみ,片岡千恵蔵
時間: 99分 (1時間39分)
製作年: 1960年/日本 東映
(池袋 新文芸座にて鑑賞)

2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)

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切腹をすることになりどうせなら賑やかに大勢に見送られながら
見事腹を斬って果てようと自ら時と場所を宣伝する豪胆な武士
富田蔵人(大友柳太朗)。しかし腹に刃を突きたてようとしたその瞬間に
達しにより切腹は強制的に中止にさせられる。富田は武士の世界に
嫌気がさし隠遁して女(花園ひろみ)と静かに暮らすが、やがて
天下分け目の関ヶ原合戦が迫り時局は日々切迫していった。
一騎当千の富田を周囲が放っておくわけはなかった。。

オープニングとクライマックスのダイナミズムに満ちた迫力の画を
味わうだけでも観る価値が充分にある作品。

特にクライマックスの大友柳太朗演じる富田蔵人の馬上の雄姿の
超ド迫力は僅か1分にも満たないシーンながら
「全てのCG映画よこの画に迫れるものなら迫ってみせろ」
とでも絶叫したい爽快感と素晴らしいスピード感がある。

丘を豪快に駆け下り槍を存分に振り回すその雄姿の演技と
撮影技術の高さと両者の融合の見事さは他の追随を許さず
恐らく世界的中の映画の中でも馬上の戦士のシーンとしては
確実にトップクラスの出来だと思う(個人的には暫定1位)

プロの技としかいいようがない本物のシーンは数十秒であろうとも
脳に鮮やかに刻印され脳波は満足信号を発信する。

「北斗の拳」「花の慶治」の作画担当として名高い原哲夫の
無数の戦闘シーンの大胆すぎるパースや人物の巨人化はデフォルメでは
なくて本作のクライマックスシーンをお手本にしてのことでは
なかろかと真剣に思った。

主人公の富田が自分の本性を偽って隠棲するも次第に
武士(もののふ)の血が抑えられなくなりやがて"覚醒"し愛する
女性も捨てて戦場に赴く様は、同じように抑制がすっかり効かなくなり
悲劇的最後を迎える主人公を同じく大友柳太朗が演じている
「仇討崇禅寺馬場」(1957)を思い起こして観るとなかなか楽しい。

物語の展開としては両作品ともに大友柳太朗が演じる男は
「不可抗力の運命によって人生が暗転していく男」なんだけど
大友柳太朗の演技はどちらかというと
「もう一人の裏の自分(人格)が表を侵食していく」というジキルと
ハイド的な精神のスイッチのON/OFFが効かなくなる危機をより
濃厚に表現しているようで興味深い。

この物語は主人公を
中村錦之助が演ったり
片岡千恵蔵が演ったり
長谷川一夫が演ったり。。
とすると同じストーリーで
同じように女を置いて戦場に返り咲く
にしても動機から女との別れのシーンやら
そのセリフの雰囲気やらがまるですっかり
変わるのは明らかで想像するのもまた
いとおかし。

いかに大金をかけてリメイクしようともCGを駆使
しようともクライマックスの短いけれど素晴らしい
戦場シーンがなぜ現在の映画界では作れないのか
真剣に考える価値はあるのではないだろうか。
個人的には当時の映画人(活動屋)にあって今の人々
に決定的にないのは大衆(観客)を驚かせ楽しませよう
とする、そのために"画"を工夫を凝らして撮ろうとする
『情熱』ではないだろうか。

職人監督「内田吐夢」による現場スタッフのセンスと技に
身を委ね恐らく各セクションにそれなりの裁量権を与えて
いるであろう製作手法の結果による人物造詣の甘さは
指摘しようと思えばできるけど美術・撮影技術・俳優陣・
あらゆる点でもう当時のレベルに近づくことは残念ながら
不可能なので相対的に作品への評価と賞賛も高くなる。

というわけで大満足な一本。

因みに本作はカラー作品だが「仇討崇禅寺馬場」はたった
3年前の作品だがモノクロなので随分昔の作品に感じる。
公式的な邦画初のカラー長編作品は「カルメン故郷に帰る」(1951)
だが50年代はまだまだモノクロが全盛の時代だった模様。
50年代末期から60年代に入るとカラー作品がグッと増えて
一気に主流となる。
これまで自分が観た映画で50年代のカラー邦画作品は
上記の「カルメン~」以外ではこちらもカラーとしては初のSF映画
「宇宙人東京に現る」(1956)しかなく逆に60年代でのモノクロ作品は
「雁の寺」(1962)しかないことでも明白なことが判る。また「雁の寺」では
一部にカラー映像がとても効果的且つ斬新な手法で使われている。

昔の邦画って何気に素晴らし過ぎる。

我々は逆立ちしても到底太刀打ちできない叡智と努力に
満ちた沢山の先人達を持ち、その遺産を持っている。
が、今そのそほとんど全てを捨てようとしている。 
あるいはもう捨ててしまった。
捜して拾いましょう。買い戻しましょう。
そして大切に遺していきましょう。

 

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2009年7月10日 (金)

映画「武蔵と小次郎」

2009年に見た映画(六十五) 「武蔵と小次郎」

原題名: 武蔵と小次郎
監督: マキノ雅弘
出演: 島田正吾,辰巳柳太郎,淡島千景,桂木洋子
時間: 96分 (1時間36分)
製作年: 1952年/日本 松竹
(池袋 新文芸座にて鑑賞)

2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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吉岡道場一門との一条寺での決闘から宿敵佐々木小次郎との
巌流島での決闘までをオリジナルの展開で描くマキノ版「宮本武蔵」。

佐々木小次郎が割と早い段階から登場。
吉岡道場一門と武蔵の壮絶な闘いをジーと傍観して眺めている
島田正吾演じる小次郎がとってもラブリー。

上映時間は1時間半と短いながら吉岡一門との壮絶な斬りあいから
宮本武蔵を慕う娘(桂木洋子)と佐々木小次郎等がそれぞれ異なる
理由で失踪した武蔵を追うロードムービーの流れの展開がきちんと
出来ていて、且つ今の邦画で決定的に滅んでしまった脇役のオッサン
達の堅実な演技とその群像シーンの楽しさ(役者の層のぶ厚さ)や
堅実な美術とカメラワークが気軽に楽しめる。

役者・監督・現場のスタッフが決められた予算と日程でプロとして
当たり前のように作った当時としては大衆食堂のカツレツ定食の
ような安価で美味しい作品なのであるが今となってはどんなに
大金を出そうが作れない幻の逸品となってしまった寂しさも観ていて
痛切に感じた。

映画の醍醐味である総合芸術作品に当然のように出来上がって
いる頼もしさと楽しさを味わいつつもそんな総合芸術がシステマチックに
作られた「豊かな時代」が遠い過去のことであることの空しさ。
戦争が終わってまだ10年も経っていないというのに!

レシピは残っているし食材も揃えることは21世紀の今でも
必ずしも不可能ではないが最終的にお客(観客)の前に
盛り付けてサプライすることは到底出来ない『何か』。。

武蔵と小次郎は唯一無二の"最強の存在であることを
証明するために闘うのでは"なく"、単にその腕を買ってもらって
仕官したいだけであり、それは限られたポストを相争う
とうことでありまたその騒ぎを最大限に己の器の大きさの
証明に利用したいだけの領主という今のリーマン社会と
全く微塵も変わらない構図がごく自然に描けていて
侍をストイックな求道者の存在であることなどナンセンス
といわんばかりのマキノの視点は常識を持った"大人"
の視点でありこの視点もまや今の日本には決定的に
存在しないものだ。

武蔵を慕う娘役の桂木洋子の美少女振りも萌え。
公開時には22才だけど画面では16,7才の可憐な
小娘にしか見えない。こげな美少女に剣の道を捨てろと
言われればオイラは即効捨てる!ええ捨てますとも。
魂の刀も柄もさっさと売り払いますとも。

クライマックスの巌流島での決闘も当然安心の揺らぐことのない
プロの演出で大満足。

島田正吾演じる小次郎が何をするにも背中に馬鹿長い
通称"物干し竿"と呼ばれる刀を背負いっ放しなのは
観ていて失笑ものだし淡島千景は相変わらずお美しいが
一人二役を演じたことに一体どれだけ意味があるのか
とかいったツッコミどころもあるがどこまでも
庶民を楽しませることに徹したその全体の作りは
お見事というしかない。

大人がいて子供がいて老人がいた時代に作られた『映画』。

マキノ映画はいつだって面白い。


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2009年7月 8日 (水)

news「オバマ論功人事?」

 
 

オバマ論功人事? 新大使候補 6割外交経験なし 大口献金者多く
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オバマ米大統領が各国への大使として指名した人物には
駐日大使候補をはじめ、選挙での大口献金者が異様に多いという
実態が米紙ウォールストリート・ジャーナル(3日付)の報道で明らかになった。

同紙は「献金者たちはオバマの大使職に居をみいだす」との
見出しの記事の中で、大統領がこれまでに指名した新大使候補55人のうち、
60%にあたる33人が外交経験のない政治任命だと指摘。
なかでも駐日大使に指名されたジョン・ルース氏など、
オバマ陣営への選挙資金の大口献金者が歴代政権よりずっと多いという。
(略)
報道によれば、政府人事を調査する民間団体「公共市民」代表の
クレグ・ホルマン氏は「大口献金者を優先する大使人事は相手側諸国への
侮辱であり、米国の外交活動を危機にさらすことになる」と批判した。
「公共市民」などの調査では、大使ポストの職業外交官以外の政治任命は
ブッシュ前政権が33%、ケネディ政権が30%で、オバマ政権の60%は
群を抜いているという。

オバマ氏は昨年の選挙戦中、ブッシュ大統領の外交を
「政治利用しすぎる」と非難し、「外交職務への任命基準は党派性や
イデオロギーではなく実力を優先する」と言明していた
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[http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/m20090706026.html]
2009年7月6日(月)08:05

白人だから何をしてもいいということは決してなく
黄色人種だから何をしてもいいということも決してなく
黒人だから何をしてもいいということも決してない。
マイノリティだから何をしてもいいということもない。
マジョリティだから何をしてもいいということもない。

オバマ氏がやった人事と全く同じことを前大統領
ジョージ・W・ブッシュがやったらどうだっただろう。
ケネディ大統領の後のリンドン・ジョンソン大統領が
やったらどうだっただろう。
ニクソン大統領がやったら?

同じことをやっているのだから民衆は全員に同じリアクションを
取らなくてはアンフェアだろう。

オバマ氏は大使ポストの10人中6人を選挙に協力してくれた
未経験の人々で固めた。

オバマ氏はブッシュ大統領を"「政治利用しすぎる」と非難し"
大使ポストの10人中6人を選挙に協力してくれた未経験の人々で
固めた。

黒人の大統領だから許されるのだろうか。
任期中に何がどこまで許されていくだろうか。
アメリカ国民は世界はどこまで許していくだろうか。

WASPだったら出来なかったであろう"思い切った政治"も
オバマ大統領だったら出来るかもしれない。
実行する内容は問われない。抑圧された側の出身だから。

日本ではさらに悲惨な状況が毎日起こっている。
タレント出身で知名度さえあれば憲法も社会も勝手に何もかも
壊していい。国民の審判も同意も得なくても問題なし。
人事も予算編成も思うがまま。
パンドラの箱はとっくの昔に空いている。

問題は常に同時多発的に起こっている。


 
 
 
 
 
 
 
 

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2009年7月 5日 (日)

映画「徳川いれずみ師 責め地獄」

2009年に見た映画(六十四) 「徳川いれずみ師 責め地獄」

原題名: 徳川いれずみ師 責め地獄
監督: 石井輝男
出演: 吉田輝男,小池朝雄
時間: 95分 (1時間35分)
製作年: 1969年/日本 東映
(池袋 新文芸座にて鑑賞)

2009年 4月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)

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天才刺青師の男と才能はあるがそれを嫉妬するもう一人の刺青師の男。
二人は極上の肌を持つ女にそれぞれ作品を彫り激しく競い合う。
やがて刺青を彫られた女達は外国に売られていくことになる。
刺青師達は葛藤しながらも金の為に彫り続けるが。。

ここまで観てきた吉田輝男監督のエロ系作品
江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」(1969)
ポルノ時代劇 忘八武士道」(1973)
と同様(「奇形人間」はエロ系とは違うが)に、、
登場する女の人の胸の形とても綺麗

刺青師達の"技"を競うために
背中を彫られた女達がズラーズラーズラズラーと半裸で
並べられるわけですよ。
画面に映る方々ことごとく一人残らず胸がお美しい。

石井輝男の拘りここに極まれり!

そして女達は半ば拉致されて彫り物をされて
犯されて売られていく。
逃げようとすれば目を潰される。
それでも逃げる。
別の組織に捕まり犯されて売り飛ばされる。。
売り飛ばされなかれば妾以下の性奴隷になる。。

女達の受難が延々と描かれ続ける。

最後は女達を買う外国商人の娘までも刺青を彫られる。

クライマックスでは火の手が上がった商館の中で
ガイジンの娘さんの全身に彫られた蛍光に彩られた
孔雀の刺青が浮かび上がる!

あらゆる意味で二度と作られない(作れない)であろう
超大作。

国籍を問わず全ての出演された女性陣の皆さん
お疲れ様でした。グッジョブでした。

石井輝男は天才だなあ。

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