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2009年7月31日 (金)

映画「吸血鬼ゴケミドロ」

「吸血鬼ゴケミドロ」

監督: 佐藤肇
脚本: 高久進,小林久三
撮影: 平瀬静雄
音楽: 菊池俊輔
美術: 芳野尹孝
編集: 寺田昭光   
出演: 吉田輝男,佐藤知美,高英男,金子信雄,楠侑子,加藤和夫,
キャッシィ・ホーラン,北村英三,山本紀彦,西本祐行

時間: 84分 (1時間24分)
製作年: 1968年/日本 松竹

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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禍々しい赤い空の下を一機の旅客機が飛んでいた。旅客機はUFOとニアミスを
起こした後に不時着。客を装って搭乗していた国際テロリストの男にアメーバ上の
宇宙生物が肉体を乗っ取り。。


 日本のB級特撮映画の大ファンであるクエンティン・タランティーノが本作の血の
滴るような空の中を飛行機が進むオープニングを絶賛したのは今や有名な話だ。
タラちゃんは昭和ゴジラシリーズの中における屈指の傑作「メカゴジラの逆襲」(1975)
のチタノザウルスか何かの出現シーンも絶賛していたが確かな"眼"を持っている
言ってよいだろう。

 さて本作はオープニングだけでなく全体にタイトな予算を感じさせるがその限られた
枠を感じさせながらなかなかどうして良く出来ている。確かにタラちゃんが絶賛する
だけあってオープニングの妖し空は異空間へと観客を誘う効果をとても良く果たして
いるがそれ以上に自分は飛行機の窓に激突してくる鳥の効果がシンプルだけど
素晴らしくて感心してしまった。

 磁場が狂っているせいで次々に激突してくる血しぶきに濡れる窓。そして、
断末魔の鳥血みどろの羽ばたき!猛スピードで近づく未確認飛行物体!

 今となっては学生の作品でもそれなりに技術的には真似できるであろう特撮シーン
の数々だが見せ方は全てプロのと、意地と、予算が少ない中で何とかしようという
根性
も感じられ楽しめた。

 公開年の1968年はベトナム戦争が最激化していたい時期であり反戦・反核を物語の
構成の基盤に置く東宝怪奇映画・怪獣映画の系譜に連なる本作(松竹映画だけど)
は当然のようにストーリーの中に戦争や核への否定的なセリフや映像が強引極まりなく
散りばめられるのも今となってはご愛嬌。

 それにしても飛行機が不時着した後生き残った数名のうちの白人女性の英語は
ほとんど字幕無しなのに(叫んだり慟哭したりしてばかりだから別に訳さんでもいい
台詞ばかりだけど)たった一回字幕が出る台詞は

 「戦争は絶対にいけない。なぜなら皆が不幸になるから。。」

 には観客一同失笑せずにはいられなかったのは間違いないところだろう。

 戦争をやったり煽ったり兵器を作って売ったりしてばかりいるのは誰あろう

 貴方達ですから
(゚д゚メ)、、残念!!

 ゴケミドロに侵された怪人の動きがノロイのが目茶怖い。

 クライマックスはお約束もいいところ(王道でもある)の結末で撮影も日本のどこでも
撮れそうな山間部の高速インターでのお気軽ロケ撮影だけど撮り方が上手いので
それなりにシュールな雰囲気は良く出ていて充分に"乗れ"た。

 何十億円・何百億円も費やした凡百のVFX映画なんて観た後どころじゃく観た
その瞬間から全てのシーンは忘れていくだろうが本作の幾つかのシーンは脳の
隅っちょに潜伏し続けるだろう。

 映画を撮っている学生さんや将来映画製作を志す若者は必ずしも『金』が全て
ではない
ことを本作を観てしっかり学ぶべし。

 予算が潤沢でなないB級的な作品としても普通以上に良く出来てる。

 本作が輝きを放っていることのエッセンスのある程度は見せ方のプロ的な腕の
確かさでありそれは撮影監督の平瀬静雄の功績に帰していいのでは。。
と思って調べてみたら

 監督の佐藤肇、撮影担当の平瀬静雄、脚本担当の 高久進小林久三
音楽担当の菊池俊輔、美術の芳野尹孝、皆さんとても優れた仕事をされていて
『時代』を作ることに貢献しておられる

 映画の面白さの構築は
偶然ではなくお金のお陰でもなく才能の結集による
必然と努力の結果なのだなあ。

 本作の醸し出すセンスオブワンダーな匂いを真似するのは容易なことではない。

 ビールをカパカパ飲みながらワイワイとお喋りしながら観るとまた楽しい作品かも
しれない。

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