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2009年8月 8日 (土)

映画「春秋一刀流」

「春秋一刀流」

原作: 丸根賛太郎
監督: 丸根賛太郎
脚本: 丸根賛太郎
撮影: 谷本精史
美術: 鈴木孝俊
音楽: 高橋半
出演: 片岡知恵蔵,沢村国太郎,志村喬,原建作,轟夕起子

時間: 74分 (1時間14分)
製作年: 1939年/日本 日活京都 [モノクロ]

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)
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腕に覚えのある浪人三人組の雇われ喧嘩稼業の日々を明朗に描く中編時代劇。
 
 
 1930年代の邦画はこれまでにまだ数えるほどしか観ていないけれど
共通に感じることはいずれも「世界が開かれている」ということだろうか。

 映画はフィクションであることは当然のことなのだけれどそれを逆手に取って

「フィクションですから」ヽ(´ー`)ノ

という『逃げ』がこの時代の作品にはほとんど感じられない。
撮影技法や演技がどうのこうのと思う以前にその逃げの無い姿勢に
なによりも安堵と感動と驚嘆を覚える。大衆娯楽の王道たろうという
使命感と自信に溢れている感じが当然のようにある。

 そして実際この時代、『映画』は他の追随を許さない娯楽の王道であったのであろう。

 本作もまた1時間弱の中編ではあるけれどその世界感の開かれ具合がとても楽しい。

 オープニングの二つの陣営が突進していくのを真横から捉えるシーンの躍動感。
片岡知恵蔵、志村喬等の実力確かな俳優達のお芝居の楽しさ。

 志村喬若いなー。公開時で34才!!でも演じている浪人は40才くらいに見える(笑)。

 戦後の黒澤明監督作品「七人の侍」(1954)や「野良犬」(1949)や「生きる」(1952)
などの諸作品でみられる「老成した大人」の雰囲気とは全然異なる口が軽くて
オッチョコチョイででも仲間を思う気持ちは誰にも負けない三枚目を素晴らしく軽やかに
演じている。

 本作のたった6年後に日本は敗戦するという事実がちょっと信じられない。
とりあえず作品からは「軍部が台頭して日本は軍国主義一色となった」
とはとても感じられない。

 小津安二郎の傑作サイレント映画(邦画としてのサイレント映画の最高峰との評価も
名高い)「生まれてはみたけれど」(1932年)でも"知の開放感"とでも呼ぶべき広がりが
素晴らしい。
 
 戦後も半世紀以上が過ぎて久しいけどもこの1930年代に日本が持ちえ同時に邦画
が持ちえていた圧倒的な「知的パワー」は全く回復されておらず失ったままといえる。

 作品が残されて今後も観ることが出来ることが唯一の救いといえる。
本作公開の翌年は当然1940年になるわけだがこれからのたった数年間の間に
とんでもない異常な力が働いて60年後の今もその力によって捩れたままの社会で
あることを思うと1930年後半から1945年まではまさに「昭和の失われた10年」と
言えるのではないだろうか。

これまで観てきた1930年代の邦画作品を上げてみると、、、

生まれてはみたけれど (1932)(☆☆☆☆☆)
鴛鴦歌合戦 (1939)(☆☆☆☆)
血煙高田馬場 (1937)(☆☆☆☆☆+)
土と兵隊 (1939)(☆☆☆☆+)
人情紙風船 (1937)(☆☆☆☆☆)
むかしの歌 (1939)(☆☆☆☆☆)
若い人 (1937)(☆☆☆☆)

 どれももう一度観たい作品ばかりだ。

 この時代について今後個人的に注視していこうと思う。
1930年代に日本と世界に一体何が起こっていたのだろうか。
世界の根幹を形成する何かが同時多発的に折れて(折られて)しまった。。
第二次世界大戦が始まるのはまさに本作が公開された1939年である。

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