映画「宇宙人東京に現る」
2009年に見た映画(九十七) 「宇宙人東京に現る」
原題名: 宇宙人東京に現る
監督: 島耕二
脚本: 小国英雄
出演: 刈田とよみ,川崎敬三,八木沢敏,見明凡太郎,山形勲
美術: 間野重雄
色彩設計: 岡本太郎
時間: 84分 (1時間24分)
製作年: 1956年/日本 大映
(渋谷 シネマヴェーラにて鑑賞)
2009年 6月鑑賞
(満足度:☆☆☆+)(5個で満点)
---------------------------------------------------------------
地球人に原子力の危険性を知らせに訪れたパイラ星人は
松田博士(山形勲)の進める研究を放棄させようと人間の姿になり近づく。
その頃地球には謎の天体が近づきつつあった。。
日本初のSFカラー作品。
かなり幼少の頃から知っていた作品であったがようやくにして鑑賞の機会を得た。
洪水(?)か何かで濁流に飲み込まれるビル郡の狭間にそびえるように立つ
巨大なパイラ星人。。。というワクワクするシュチュエーションの写真が
少年の頃持っていたポケットブックに載っていたがどうも宣伝用の
スチール写真だったらしく本編にはそんなシーンありゃしねー。
そもそもパイラ星人ちっちゃ!人間とそう変わらない。2mくらいか?
色彩設計に天才岡本太郎が参加しているだけあって、映像設計のクオリティ
は相当に高くパイラ星人のどうしようないぬいぐるみ感は仕方無いとして
美術もなかなかに素晴らしくそれなりに観ていてワクワクは出来る。
そのワクワク感はパイラ星人が出てくる度に打ち砕かれて萎えるえわけだが。
パイラ星人が絡むシーンを"除けば!"邦画の怪獣映画の中では屈指の映像
視覚的バランスの格調高い作品だと思う。後、役者さん達の二線級の
演技も我が国初のSFカラー作品だと思うともう少し何とかして欲しいところか。
後半は天体が地球に近づき世界は一致協力して核攻撃を仕掛ける訳だが
とりあえず画面に登場するキッズ(餓鬼共)達の命の危険は天体が近づく
ことによる異常気象なんぞではなく非難させる大人達の無知蒙昧にあることが
とても気になった。暴風が吹き荒れているのに窓が割れないようにするとか
土嚢を積むとか、汚染されている危険のある水にお子様達を近づけない
とか、、世の破滅とか何とかノタマウ前にやるべきことは沢山あるはずだが。
そんな配慮は一切無し。
絵空事だから脚本も芝居も決定的な矛盾を露呈したままでいいという
甘えはある意味仕方無いのだが、本作の後に連なる作品は延々と
この甘えから抜け出れないことに何だか寂しさと憤りろ覚えた。
勿論、その甘え(呪縛)から逃れようとした作品もまた幾つもあるわけだが。
二・二六事件を題材にとった大作にして傑作「叛乱」(1954年)で
磯部浅一をなかなか好演した山形勲が良くも悪くもごく普通の俳優として
博士役を演じている。
パイラ星人は今の眼で観れば男性は脱力ものであろうが女性が見ると
全然違う視点で楽しめるかもしれない。
とりあえず、本作の"逆"を行くだけでも相当に面白い怪獣映画(SF映画)が
出来るような気がする。固定客は得たであろうが一般客を永遠に失った
悪い意味での王道のエッセンスが詰まっているので本作を完全に
越えていくべきであろう。
岡本太郎の色彩設計による映像美(全部ではないが)は一見の価値あり。
---------------------------------------------------------------
映画感想一覧>>
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 映画と賞を取ることについて関係性における独り言(2021.05.02)
- 映画「ジョーカー」(2020.12.09)
- 映画「魂のゆくえ」(2020.07.24)
- 映画「愛の渇き」(2020.05.01)
- 特撮映画における或る命題について(2020.04.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
今、ディアゴスティーニで東宝の特撮映画DVDが順繰りに出てまして
特に第1巻の初代白黒ゴジラ(980円)はなかなかお買い得ですよ
ゴジラ、初代ですでにかなりクオリティ高かったです
お金さえあれば全部買いたいんですけど、ないんで、とりあえず次はラインナップにあがってる「エスパイ」が出るの待ってます
投稿: 万物創造房店主 | 2010年2月 6日 (土) 13時17分
>第1巻の初代白黒ゴジラ(980円)はなかなかお買い得ですよ
これは店頭で見つけて買おうかどうか迷ったのですが自分も
狙っている作品がありまして(下記参照)目的買いす(^^)
>ゴジラ、初代ですでにかなりクオリティ高かったです
ブログでは敢えて触れていないのですが(と言いつつちょいちょい
書いていますが)私の映画体験の"原点"は小学校の時に観た
「ゴジラ」(1954)です。というわけでそれなりに詳しい自負はあります。
まあゴジラに関しては何百冊と本が出ていますが
「初代」が他を大きく引き離して最高傑作であるという結論は
出ていますよね。
自分は1984年の「ゴジラ」がリアルタイム世代で且つ大好き
ですので1984年版がディアゴで出たら是非買いたいすね。
スーパーXの描写がカッコ良くて好きでした。中野昭慶の
特撮も綺麗だったし。
>「エスパイ」が出るの待ってます
流石いい線突きますね←?(^^)
私は
「世界大戦争」(1961)とか
「海底軍艦」(1963)とか
「宇宙大怪獣ドゴラ」(1964)とか
観たいすかね。
と言っても売っているの観ても買わない気がするけど(^^)
今の東京の名作(迷作)公開ブーム(?)の中にヌクヌク
居れば劇場で観れそうです。
東京都内の映画興行関係者諸氏の皆さん
私は心から応援しています!ヘソクリ貯めて
仕事を放り投げて駆けつける準備OKっす\(^0^)/
投稿: kuroneko | 2010年2月 7日 (日) 23時03分