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2010年1月 4日 (月)

映画「いれずみ突撃隊」

2009年に見た映画(九十三) 「いれずみ突撃隊」

原題名: いれずみ突撃隊
監督: 石井輝男
出演: 高倉健,杉浦直樹,朝丘雪路,安部徹
時間: 91分 (1時間31分)
製作年: 1964年/日本 東映
(池袋 新文芸座にて鑑賞)

2009年 6月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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高倉健、杉浦直樹が扮するヤクザ者が戦場の最前線で活躍する
天才石井輝男が手掛けるアクション映画。

戦場を馬で駆ける健さんがカッコイー。
「颯爽と馬で主人公が駆ける」なんてシーンも今や幾ら制作費を積んでも
まともに撮るのはなかなか難しい時代。

ストーリーはかなり荒唐無稽といっていいけども
先輩ヤクザ役の杉浦直樹と高倉健の闇夜の中での泥まみれの喧嘩や
慰安婦と兵士達の交流、お約束の組織のパワーバランスの均衡を
駆使して陰湿極まりなくのさばり悪事を働く安部徹演じるベテラン兵士
との確執と対決と後半の慰安婦達を逃がしつつの怒涛の撤退戦へと
一気に物語が流れていく。

一つ一つのシーン自体は予算もタイトなせいもあろうが以外にチープ
だけでも網走番外地シリーズ等でも見られるように石井輝男の視線は
映される画面全体を俯瞰しているのではなく限られた世界をカッコ悪くも
精一杯あがいて生きる"人間"に向けて凝視されているため下手に
セットが豪華な映画よりもよっぽど役者の芝居に見入ってしまう。

本作でも僅かな時間の快楽を求めて汗だくで慰安所に殺到して順番を
待ち、その数日後には何も判らないままただただ死んでいく若い兵士達の
滑稽さと哀れさには言いようの無い奇妙なリアリティがある。

他の石井作品同様にラストは尻すぼみといか唐突な感じに終わるけど
充分に言いたいことは言い尽くしたと断言されているような、こちらも
観たいものは充分観たので結構ですと頭を素直に下げたいような、
他の監督作品では味わえない充足感に満たされた。

石井輝男は天才だ。


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コメント

あ、いいなー
これ未DVD化なんで、昨今なかなか見れないっすよ
京都じゃこんなのやってくれる映画館ないです
やっぱ首都だなぁー
嗚呼、映画館経営してぇー

投稿: 万物創造房店主 | 2010年1月13日 (水) 18時02分

そうなんですか。
東京では一部で石井作品の上映盛んに
されているのでDVD化されそうですが(^^)
作品自体は中編ですが、
最後まで飽きさせない人間模様は
石井イズムが充分炸裂していて良い
作品だと思います。
 
>やっぱ首都だなぁー
( ̄ー+ ̄)v

>嗚呼、映画館経営してぇー
してぇー(-д-)


投稿: kuroneko | 2010年1月14日 (木) 00時01分

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