映画「トリコロール 白の愛」
2009年に見た映画(108) 「トリコロール 白の愛」
原題名: Trzy kolory:Bialy
監督: クシシュトフ・ケェシロフスキ
出演: ズビグニェフ・ザマホスキ,ジェリー・デルピー,ヤヌシュ・ガイヨス
時間: 92分 (1時間32分)
製作年: 1993年/フランス・ポーランド
(渋谷 ユーロスペースにて鑑賞)
2009年 6月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
---------------------------------------------------------------
性的不能を理由に一方的に離婚を言い渡されてしまった男カロル
(ズビグニェフ・ザマホスキ)は失意の内にパリから故郷のポーランドに帰る。
心気一転させて財を成した男は元妻が忘れられずにある大掛かりな
計画を実行に移した。。トリコロール三部作の第二作目。
主人公の故郷の白い雪の景色がいつまでも脳裏に残る印象深い一編。
冴えない男(後半はスーパーマンのように大活躍!)を演じるズビグニェフ・ザマホスキ
の快活な演技も楽しい。妻に去られてメソメソし金となると全くの別人のように
抜け目の無い男となる矛盾を抱える男を上手く演じている。
とんでもなく美しい妻(ジェリー・デルピー)に愛想をつかされて縁りを
戻すように懇願しメソメソ泣く姿に「何て情けない奴なんだろう」と心の底
から思って見ていたが同じくケェシロフスキ監督のデカローグ第10話(1988)では
ザマホスキは兄を慕う貧乏生活を厭わないロッカー兄ちゃん役を脚本に
従い全くもって無難に可笑しく演じている。上手い俳優だ。
ジェリー・デルピーは厳しいオーディションを経て本作の役を射止めた
とのことだがどんな男も絶対に放っておかないであろうある種の性的魅力が
あり過ぎてザマホスキ演じる男を"思い続ける女"には逆の意味で厳しいものが
あることはある。しかしカロルの後半の抜け目が無いどころか前半とは
同一人物とは思えない度胸満点の世渡りぶりに女の方も忘れることが
出来ずにいるという"男"としての魅力は充分描けているから別に問題はなし。
それにしてもケェシロフスキは女性を綺麗に撮るのが何とまあ上手いことであろうか。。
前半に男が働く美容室がボウボウと燃えてしまうのだが火の勢いが速くて
お芝居をしている俳優さんたちを観ていてハラハラドキドキ。
ケェシロフスキは水とか火とかいったコントロール出来ない物を結構平気で
映像の中に持ち込む。そして登場人物達にもアンコントロールな運命を
平気でいつ何時も与える。
白い壁,白い光、白い雪、白い彫刻、
死、無、サディスト、白い思い、、
---------------------------------------------------------------
映画感想一覧>>
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 映画と賞を取ることについて関係性における独り言(2021.05.02)
- 映画「ジョーカー」(2020.12.09)
- 映画「魂のゆくえ」(2020.07.24)
- 映画「愛の渇き」(2020.05.01)
- 特撮映画における或る命題について(2020.04.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント