映画「四畳半襖の裏張り」
2009年に見た映画(114) 「四畳半襖の裏張り」
原題名: 四畳半襖の裏張り
監督: 神代辰巳
撮影: 姫田真佐久
美術: 菊川芳江
出演: 宮下順子,江角英明,山谷初男,丘奈保美
時間: 72分 (1時間12分)
製作年: 1973年/日本 日活
(渋谷 シネマヴェーラにて鑑賞)
2009年 7月鑑賞
(満足度:☆☆☆+)(5個で満点)
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大正七年の東京を舞台にした男と女の色模様を描く。原作は永井荷風の
同名小説。
How to 芸者の口説き方及び買い方及び一夜を共にする方法。
美術と撮影がしっかりしていて思いのほか楽しんで観れた。
時代背景にシベリア出兵があり、主人公の金持ち道楽男と美人芸者の
虚飾に塗れたそれゆえに粋ともとれる豪奢な戯れのじゃれ合いと対を成して
描かれる入営を目前に控えた見るからに冴えない青年と同じく冴えない
三流芸者女の絡みが絶妙の対比を見せて何度も笑いを誘い、最後には
ペーソスも感じさせる。
世のほとんどの男は浮世離れした道楽に溺れ意中の女を溢れる資金力で
意のままにするなんて体験は一生に一度たりとも出来るはずもなく、
作中のメタボな青年君よろしく女であれば蔑まれようが何だろうがとにかく
突進して押し倒して同床異夢のままに何とか目的を遂げて残りの人生は
その代償を払ってトボトボと生きていかねばならない。皆負け組みなんだ。
どちらにも特別な感情移入もなく観たけども男の人生のA面・B面を
端的に描かれていて、こういった佳作の作品が傑作・駄作と"共に"日本の
どこかで次々と作られていただけ今の日本よりも豊かな時代であったのでは
なかろうかなどとも思いつつ鑑賞した。
機会があれば原作も読んでみたい。
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