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2010年5月22日 (土)

映画を楽しむ方法(1)~新作「猿の惑星」の場合~

  
  

「猿の惑星」(1968)の前章にあたる映画が製作される模様。

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 [シネマトゥデイ映画ニュース] 
映画『スパイダーマン』シリーズや映画『ミルク』での演技が高く評価
されている俳優ジェームズ・フランコが、 1968年に公開された映画
『猿の惑星』の前章となる映画『ライズ・オブ・ジ・エイプス / Rise of
the Apes』(原題)の主役を演じることになった。

 本作は、現代のサンフランシスコを舞台に、遺伝子操作で高い知能を
持つようになった猿が、人間の支配をたくらみ戦争を始める物語で、
ジェームズは科学者役を演じることになっている。

 監督は、イギリスの新鋭ルパート・ワイアットが務め、20世紀フォックス
のもとで製作されることになっている。撮影は7月5日から開始し、来年の
6月24日の公開を予定している。また、映画『キング・コング』や映画
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督が
設立した WETAデジタルが、猿の特殊メイクを手掛けることに決まっている。
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[http://www.cinematoday.jp/page/N0024518]

ジェームズ・フランコはトビー・マグワイア主演のスパイダーマンシリーズ
(2002,2004,2007)においてライバル役を手堅く演じていて若手俳優の中では
将来が楽しみな実力の確かな俳優の一人であると思う。映像も役者もまあ
まあだったが"something"が決定的に足りなった残念な作品「フライ・ボーイズ」
(2006)でも屈託の無い心優しい若きヤンキーを好演している。2001年にジェームズ・
ディーンを演じているのを今回の記事を書くにあたって初めて知ったが、なるほど
彼なら似ているかもしれない。今回製作される新作の製作布陣の詳細には実は
ほとんど興味はないが、もしかすれば「第9地区」(2009)のような素晴らしい傑作が
生まれるかもしれない。

 

現代社会の延長上のほんの少し先の世界において、遺伝子操作の失敗
(または成功)により猿が人間並みの知能を持ち、やがて社会に混乱がおきる、、

 

なかなかに魅力的なまさに映画的なシュチュエーションで、ここ数年の映像ツールの
劇的な進化とお仕事をゲットするための非情なまでの徹底的な競争入札によりコストも
充分に削減され、イマジネーションを忠実に映像化することについての視覚化としての
ハードルの低さはこれまでの映画史上において最も恵まれた時代であるといえる。
そして、ツールの獲得が優れた映画(=面白い映画)に即繋がるわけではないことは
映画ファンでなくとも最早、世界の誰もが知る事実である。

傑作になるかどうかは、人類に挑戦状を叩きつけるエープ(猿)の描写の方ではなく、
エテ公に喧嘩を売られて右往左往する人間達とその"過程"をいかにリアルに同時に
観客の溜飲が下がるように描くかにかかっており、これは全くもって容易ではない。

なぜであろうか。

まず、お猿さん達が知能を持ち、「人類を排除すべき存在」と決断するまでの物語上の
過程を描くのがやはりとても難しい。勿論、製作のごく初期の段階でその点に焦点を
"置かない"ことが確認されることは間違いなく、その後のパニックになる社会なり
戦闘描写なりがメインとなり、観客の主要ターゲット層も"その辺"を喜ぶ人々になる
わけであるからトリガーが引かれる理由なぞどうでもよく、それゆえ物語は

エテ吉共 VS エテ吉共と似たりよったり(かそれ以下)の人間共

というありがちな構図に陥り、多くの点で失敗作となることが今から予想されるわけだが。

そんなわけで、完成されるであろう作品はきっとよっぽどのことがない限りは観に
行かないと思うのでジェームズ・フランコ主演でピーター・ジャクソン肝いり(?)の映像
製作会社が関るという縛りだけで少し勝手に脳内でウダウダと遊んでみようと思う。
映画の楽しみ方の一つとしてキャスティングからストーリーまで勝手気ままに粘土細工の
ようにいじくってワクワクするのもとっても重要なファクターである(と思う)。

 

猿が"知"を持つことにより、状況を認識及び把握し、社会に対して解決作を自ら思考
する。そして『人間』は『自分達』と同じように状況を認識及び把握するものの物事を
解決する能力が無いか著しく欠けていることを彼等は"理解する"。一番最初に知を
もった猿はリーダーとなり仲間を集め人間達に一大蜂起する機会を密かに窺う。
当然のように猿達はネットも駆使して仲間を募るのだろう。可能な限り猿達に理解を
示して接してきたジェームズ・フランコ演じる若き科学者は猿達が本気で人類に喧嘩
(戦争)を仕掛けることを知り人間達に警告を発するが受け入れられない。やがて猿達は
宣戦布告し、、

 

ヒロインはもしかしたら、「アバター」(2009)のように人間ではないかもしれない。
何も考えないで上記のように字を打って遊んでみると、結局のところありがちな
「人間の心に宿る差別」の形態をそれらしくなぞっているに過ぎないことがすぐに判る。

『人間と同等かそれ以上の知能を持った何者かは人間に戦争を仕掛けるだろうか?』

SFのごく初期の頃から提示される古典的命題の一つである。「2001年宇宙の旅」の
共同脚本家にして原作者のアーサー・C・クラーク(故人)はかつてほぼ同様の問いである

『果たしてロボットは人間に対して蜂起するであろうか』

についてすでに明快な答えを自分は出しているといって穏やかに笑った。
より正確には

「ロボット(アンドロイド)が人間と同等以上の知能を持った場合に"戦争"を仕掛ける
 のはどっちが『先』なのか、私にはもう答えが出ている」

というものだ。実に多くの含蓄を示唆する言葉である。

先に戦争を仕掛けるのは知能が劣っている方に決まっているので、
[猿]の方に決まっている。そして先に仕掛けた方が"悪"である。

というのは真っ赤な嘘であることは私達自身の持つ『歴史』が証明している。
猿という言葉には実に沢山のキーワードを自由自在に入れることが出来るであろう。
"ロボット"でも"エープ"でも"ジャップ"でも[]内を完全に満足する。

しかし、

先に戦争を仕掛けた方が知能が劣っているに決まっている

については当っているかもしれない。これも『歴史』が証明している。
"本当に先に仕掛けた側"がどっちなのか永久に判らないように除去作業をした者が
その後に繁栄しているということも。知能が劣った者が生き残るのだから事実が
永久に判らないのもその後の平和が長く続かないのもまた道理であり『歴史』が
証明している。

自分達を脅かす"何か"を描く時には"自分達"を知らず、また知ることが困難なゆえに、
その何かも曖昧にならざるを得ず、最大公約数を満たすために借りたに過ぎない
SFという箱を"悪用して"荒唐無稽な存在に暴走せざるを得ない。そして、そこで
描かれる暴走した何者でもない"IT"に脅かされる人間もまた人間ではありえない。

この非常にハングアップしやすいシステム(ロジック)を2時間程度の物語の中で
安定して走らせるには間違いなく才能の結集が必要であり、成功例もまた多くない。

そして、例えハングアップしまくりで何もかも上手くいっていなかった作品であったと
してもその作品を愛して止まない人間がいるとすれば、その作品もまた成功と言えるのだ。

 
 
 
 

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追記(2010/5/27):

「容疑者」(2002)でのジェームズ・フランコは名優ロバート・デニーロと親子の役で
将来に希望を見出せない若者をとても上手く演じている。同作品はストーリーは
小振りだけど役者もスタッフも一流の隠れた?秀作。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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独り言」カテゴリの記事

コメント

絶対コケます・・・
ところでこないだ
20歳そこそこのモルモン教の長老が二人来て、店の前で宗教勧誘されたのだが
彼らは人間の先祖が猿だったとは信じてませんって断言してました
人間は泥から神さまが作ったとか・・・
しかも20歳ですでに真理を知りました、全て聖書に書いてありましたとか言ってるし
アホです
色々、説得を試み
神道もしくは仏教に改宗させようとしましたが、残念ながら失敗しました

投稿: 万物創造房店主 | 2010年5月29日 (土) 12時46分

>絶対コケます・・・
 
まあ、どっちてもいいす(^^;)
ジェームズ・フランコ頑張れ!
 
>色々、説得を試み
 
自分も学生の頃、勧誘に来た人とよく論戦しました。
モルモン教は流石に充分に理論武装しているから
手強いでしょうね。日本で超有名な某組織は
数個質問しただけで沈黙して余裕で引き上げた
経験はありますね。
 
>アホです
 
日本の学生さん達も滅茶苦茶らしいですよね。
"水には意識がある"とか"ない"とか。。
まあ先生方がいけないのですけどね。
上の世代は本当~~~~にさっさとあらゆる意味で
引退して欲しいです。戦争を経験している
80歳代以上の人々は全然OKなんですよね。
命のやり取りしているから思考が合理的だし
平和の尊さと胡散臭さも判っているし。
自分等の世代と祖父の世代でさっさと日本を
再構築したいと思う今日この頃です(^-^)

投稿: kuroneko | 2010年5月30日 (日) 00時38分

>モルモン教は流石に充分に理論武装しているから手強い
若いから全然手強くないんですけど
根本的に洗脳されちゃってるんで、どうにもならないですね
例えば
天国と地獄の両方が存在する部分は共通なんですが
「日本では地獄は地獄を管理する神さまがいて、天国には天国を管理する神さまがいるんやけど、あんたんとこの唯一神はひとりで全部やってるわけ?」
って聞いたら
悩んだ挙句
返って来た答えは「神は全能ですから」でした
それ言っちゃ何でもありになっちゃいますしね
まぁ何も考えなくても答えが出るよう、よく考えてありますな

投稿: 万物創造房店主 | 2010年5月30日 (日) 18時49分

>悩んだ挙句
>返って来た答えは「神は全能ですから」でした
 
そんなものでしょう。
彼等がどれくらいのサラリーでやっているのかと
その資金の出所とか日々の生活でどんな"優遇"
を受けているのかは日本人は知るべきかと
思いますね。彼等だけでなくあらゆる宗教組織
について。結局は"金"なんですよね。
日本人と同じだけの生活費や家賃を払っている
わけがないし、その差分は結局は日本国民
による税金でしょう。

宗教宗教って言うけど違いますよね。
神や仏を持ち出せば金が浮くだけの話しですね。

本物の宗教ならばそれはそれでいいわけですし。

投稿: kuroneko | 2010年5月31日 (月) 00時45分

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