映画「解散式」
2009年に見た映画(129) 「解散式」
原題名: 解散式
監督・脚本: 深作欣二
撮影: 星島一郎
出演: 鶴田浩二,丹波哲郎,渡辺美佐子,宮園純子,渡辺文雄,金子信雄
時間: 93分 (1時間33分) [カラー・シネスコ]
製作年: 1967年/日本 東映
2009年 7月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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自分の所属する組が解散した後に出所した男(鶴田浩二)の悲哀の物語を
深作欣二が描く。
深作欣二が37才の時に初めて手掛けた任侠映画。そのせいであろうか
オープニングの解散式の模様からド迫力で気合いに満ちた渾身の一本
となっている。全体的に撮影に安定感がありカッコイー。撮影担当の
星島一郎は深作欣二の作品を数多くてがけ任侠映画も多数手掛けている。
鶴田浩二は本作公開時43才の男盛り。丹波哲郎は同じく45才。
ベトナム戦争たけなわであると同時に日本は東京オリンピックを終えて
戦争の足跡は消え去りエコノミックアニマルとして猛進を開始した時期である。
日本中で昼夜を問わず稼動したであろう重機のノイズが画面から聞こえてきそうな
エネルギーを感じる。そんな時代の流れに全く乗り切れない男達は一宿一飯の恩や
義理人情に自らを縛りつけドスを握り命を張ることしか出来ない。
『組』が消滅しようと恩人が逝こうとも、他にやること無し。
貴様と俺の解散式は、まだ終わっちゃいねえ。
丹波哲郎のカッコ良さも半端ね。
個人的には「忘八武士道」(1973)での丹波が今のところ最高峰であるが
本作も相当にイケてる。
「下郎の首」(1955)でもそうだが、丹波哲郎は"道"から外れたヤクザ者を
演らせたら本当にカッコいい。本質的にアウトローのオーラを色濃く持って
いる。
自分は任侠映画というジャンルはどうも好きになれないが
本作は時代に容赦なく置いてかれる男達のやるせなさが良く描けていると思う。
またこういった映画を作る"サムシング"を日本全体がポテンシャルとして
現在では完全に失っているのが観ていて寂しくもあった。
任侠映画好き、鶴田浩二ファン、丹波哲郎ファンは必見。
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