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2010年9月19日 (日)

映画「マルクスの二艇拳銃」

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2009年に見た映画(137) 「マルクスの二艇拳銃」

原題名: GO WEST
監督: エドワード・バゼル
出演: グルーチョ・マルクス,チコ・マルクス,ハーポ・マルクス,ジョン・キャロル
時間: 81分 (1時間21分)
製作年: 1940年/アメリカ
 
2009年 8月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)

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時はゴールドラッシュに湧き荒くれどもが銃で殺戮を繰り返すアメリカ西部時代。
マルクス兄弟御一行もまた、一攫千金を夢見て『西』へ向かう。。

  

「面白いは面白いけれど、総合的に『我輩はカモである』が上だなー」

と思いながら中盤まで観ていたけど、クライマックスに向かうにつれて
相乗的にカオスの極に達していく滅茶苦茶振りはお見事の一言。

機関車がまるで生き物のようにレール無き荒野をマルクス達を主(あるじ)
として天空を舞う"龍"のように縦横無尽に走り回るその徹底した無軌道な
アナーキー振りには笑うよりも躍動感にただ感動。比較にならないほどの
莫大な制作費と時間をかけた「アバター」(2009)の複雑な空中戦のシーンも
多くの点で本作には及ばない。アメリカにまだ"心"がある人間達が沢山
残っていた時代の作品。

特に本作では「我輩~」に比べてチコ・マルクスとハーポ・マルクスの活躍に
多くフォーカスが与えられていてとても楽しい。
チコの抱腹絶倒且つ『神技』と言っていいピアノの演奏ハーポのインディアン
との美しい調べ。どちらも至芸と呼ぶに相応しい逸品中の逸品は必見。

彼らは今や絶滅してしまったも同然の『きちんと芸を持っているコメディアン』
なのだと本来は当たり前だったが今や風前の灯の事実に笑いながらも
悲しくて涙が出そうになった。

個人的にはコメディ映画というジャンルそのものは好きではないことも確実に
再認識した。映画の内容は別として「早く終わってくれ」と思う自分がいたことも
事実。80分強でも全然長い。しかし長く感じるのは私個人的の趣向が異なる
というだけであって名作であることは間違いない。逆にもっともっと自分が
オッサンになればゲタゲタ笑えるのかもしれない。

早く終わってくれと思いながらも「我輩~」にも全く負けない豪奢な大団円で
終わった後にはジワジワ幸せ感に包まれた。

マルクス達が観客を喜ばそう笑わそうと全力でひたすら馬鹿をやってくれた
ことの嬉しさ。今百億ドルかけたって千分の一も再現できない
であろう壮絶なお馬鹿アクションを観れたことの充実感。

『我輩はカモである』(1933)
『マルクスの二艇拳銃』

どちらもまた劇場で観てゲタゲタ笑いたい。

両方とも絶対にもう作れない『今』という時代は残念であり
人間の脳も社会も深刻に劣化して断裂状態にあることは間違いない。

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