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2010年9月17日 (金)

映画「惑星ソラリス」

「惑星ソラリス」
Солярис
SOLARIS

 
原作: スタニスワフ・レム
監督: アンドレイ・タルコフスキー
脚本: アンドレイ・タルコフスキー,フリードリッヒ・ガレンシュテイン
音楽: エドゥアルド・アルテミエフ
撮影: ワジーム・ユーソフ
出演: ナタリア・ボンダルチュク,ドナタス・バニオニス,ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー

時間: 165分 (2時間45分)
製作年: 1972年/ソビエト

(満足度:☆☆☆☆☆+)(5個で満点)
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未来の人類は"惑星ソラリス"を発見。その惑星の『海』は知能を有していた。
『海』は人の思考を読み取り、その"対象2を物質化することが可能だった。『海』に
ほど近く設置されていた研究所では人智を超える現象が次々と起きていた。
研究所に向かったクリス(ドナタス・バニオニス)がそこで観たものとは。。 

 作品の存在は随分前(中学生あたりの頃から)から知っていた。
果たして今回ソビエト製SF映画という以外の情報を一切持たずに
観れたのはとてつもない幸せだった。勝手にどんな失笑シーンが
出てくるかと期待と不安を持ちながら観たが、今さらで恥ずかしいが
「2001年宇宙の旅」(1968)と完全に双璧を成す大傑作

 シーンの一つ一つ、台詞の一つ一つに脳がダイレクトに刺激される快感を
味わえて愉快且つ心地いい。

 本来は特殊撮影が必要なところであるが技術的に不可能な箇所は上手く
台詞で語らせたり逆に美しい自然を背景にして逃げ方がまったく上手すぎる。

 そして、逃げているというよりも人間の知性と科学が発展・発達したことにより
人間の活動範囲がより地球以外に広がり、しかしその"発達"とは果たして
何なのかという「問いかけ」が根源的なテーマの一つだから稚拙な映像を一切
持ち込まない"逃げ"は戦略として、プロの作品として当然の行為であり作品を
成功させている。

 資本主義社会(=アメリカ)が生んだ物質至上主義の映画としての到達点の
一つである「2001~」と本作のアプローチの仕方が冷戦構造そのままに
シメントリーといえるほどに綺麗な対を成しているのが驚きを越えて何だか
笑えてしまう。

 絶対的に自分達の体制を信じきり、その結果としての地球圏外への膨張を
"正しいこと"として信じきり、その結果としての"知性との遭遇"もその事自体を
「信じて疑わない」ある意味楽観的な「2001~」に対して元々自分達の体制
(社会主義)に致命的な綻びがあることを心のどこかに常に感じながら、しかし、
そのことを表立って議論することは重大なタブー(というか禁止)として成立する
社会がその代償として優れた人間達が自分達を越える存在に出会ってしまった時、
やはり彼らはその対象も当然のように懐疑的にしか見ることが出来ずに、その
対象を調査すればするほど自分達人間に対して自分達の社会に対して懐疑的な
目を向けざるを得ない。

 ベクトルが正反対に向かいながらも「2001年」の科学者達も「ソラリス」の科学者達
も人間以外の『知の存在』を最初は"隠蔽"しようとし、それが無理だと判ると
"無視"しよう
とし、それも無理だと判ると葬りさろうとするのがとてつもなく面白く
彼らに今もって地球を分割されているかと思うととても考えさせられる。彼ら"地球人"
達は全くもって『共存しようとする』考えを持とうとしないし、そのような結論
には達する見込みも見ていて全くない

 一つ確実に言えるのは、ソラリスの海に我々日本人が設置した研究室があれば
きっと日本人科学者はその"海"をある程度まで理解し共存することも出来ただろう
そしてその研究室はきっと原因不明の事故により甚大な被害を受け生還者はゼロに
なったであろう。。

 後半の見せ場の一つ、研究所の図書館での無重力シーンはとても映画的で素敵だ。
撮影テクニック自体は決して高度なものではないだろうが、物語をきちんと観客に作って
見せたいと思うプロの手にかかればここまで素晴らしい安定したシーンになるという
お手本中のお手本。

 クライマックスは、個人的に最高の一言その映像美は至高と言える。

 撮影技術として総合得点では「2001」の方が上だろうし本作はその後に作られ、
研究所のセットとか宇宙服とかの細部については意地悪く見ればマネと取られても
仕方無いがそれでも

 宇宙という人智を超えた空間の前で人はどうなるか、どうあるべきか

 という問いかけとシュミレーションのレベルの高さは。

 本作には"我々"ヤポンスキーにはもう一つとてつもない嬉しい意外な見所が
あるけど、予備知識なく観て驚いて楽しんで欲しいところだ。傑作の絶対条件の一つ
「一切の予備知識無しで観るのが一番面白い」を本作も完全に満たす。

 『映画』とは、つまり『才能が豊かにある人間』が作るものなのだ。
というとても単純な命題を本作ほど簡潔明瞭にして明快に示している作品も
そうはないだろう。

 これからも機会があれば何回でも観たい。

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コメント

おっとー
リメイク「ソラリス」じゃなくて
オリジナル「ソラリス」ですねー
僕が「ソラリス」見てーと思ったときにはDVDがすでに廃盤になってて高値やったんですけど
(レンタルにはまずないですし)
2006年にKADOKAWA世界名作シネマ全集〈第6巻〉SF映画の傑作
として
「猿の惑星」とのカップリング雑誌が出まして、そっこー買いました
(↑ちょーオススメです¥ 3,480)
例によって
まだ見てないですけど・・・(;_;)

投稿: 万物創造房店主 | 2010年9月18日 (土) 13時43分

>「ソラリス」見てー

是非予備知識が入らないうちに
鑑賞することをお勧めします!\(^^)/
出来るだけ大画面且つ高画質で観た方が
より楽しめます。
 
>「猿の惑星」とのカップリング雑誌
 
凄いカップリングですね。
確かにお買い得だ。

自分は今年は「映画館派」であることを
再認識した年なのでDVDは今は
あまり購買意欲がないですね
どちらかというと来年はCDを買いまくりたい
ですね。

音楽の方が余りに無知・無教養な
ために映画鑑賞に支障が出始めています。
流れている音楽の曲名を知っていれば
監督の意図とかがより楽しめるのに。。
と悔しい思いをすることが多いですね。
最近(^^;)

投稿: kuroneko | 2010年9月19日 (日) 01時09分

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