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2010年9月13日 (月)

映画「永遠の子供達」

2009年に見た映画(135) 「永遠の子供達」

原題名: El Orfanato
監督: J.A.バヨナ
出演: ベレン・ルエナ,ヘルナンド・カヨ,ジェラルディン・チャップリン
時間: 108分 (1時間48分)
製作年: 2007年/スペイン・メキシコ
 
2009年 7月鑑賞
(満足度:☆☆☆+)(5個で満点)

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孤児院を経営するために古い屋敷に越してきた妻ラウラと夫と息子のシモン。
シモンはラウラ達には、その姿は決して見えない「子供達」の存在を訴える。
子供達を招待した仮装パーティーの日シモンは姿を消した。必死に探すラウラは
心霊を探知することの出来る妖しい組織にも調査を依頼するが。。

 

良く出来ているといえば,良く出来ている。とても惜しいといえば,とても惜しい。
オカルトをかなりそれらしく扱っているけど、「どのようにう扱う気でいる」のかが
今一不明瞭なまま、本気なのか冗談なのかよくわからないどっちつかずのまま、
最終的には映画の単なる主要な味付けのまま終わってしまったのはとても残念だ。

途中まではニコラス・ローグの傑作スリラー「赤い影」(1983)のような
"本気度"もかな~り感じていい展開だったが息子のシモンが疾走した理由が
ストーリー的には辻褄は合っているけど、ただそれだけでしかないのが残念だった

不慮の死を遂げるなどして肉体が消滅した人の"強い思念"だけが
その現場にいつまでも残り何十年・何百年後まで怪奇現象を引き起こす。
例えば、理不尽な理由で頭蓋骨を破損させて死んだ人(要は殺害された人)
がいた現場では同様の状況に陥って人が次々と死に至る。あるいは何らか
のメッセージのようなものを残すという。。

有形・無形の物、有機物であろうと無機物であろうと全ては
ゼロサムゲーム(全てはやがて『無』に帰する)の中で成り立っている
というのが私達の現代社会の基盤中の基盤で科学も人文学的な
学問も大雑把にいうとこのルールの上に成り立っている。
全体の総量が決まっていて何かが産まれる以上は同量の何かに
ご退場頂かないと、この宇宙は"ワヤ"になるわけでござぇますよ。旦那。

選挙で落選したくせに大臣の座に居残って人の命を弄んでいる
なんてぇのは要するにオカルトの極みってぇこった。そんな不逞の輩
命を奪われたら罪人とはいえ浮かばれねぇってもんだぜ。てやんでぃ

さて、、
このルールに当てはまらないものをオカルトと呼び上記の
残存思念の概念はゼロサムルールに反するのでオカルトである。

しかし、とりあえずは科学で説明できない現象を説明するのには
この残存思念ルールは結構有効であって自分はオカルトも嫌い
ではないのでこのルールは結構好きだ。

要は成仏出来ずに「たまし」が彷徨っているといえば判りやすい。
本作はこのルールを物語の骨としてきっちり貫徹すれば名作になって
さらに評価も上がったであろうけど物語を構築するパーツの
一つでしかない(正確にはパーツですらない)ので最後は盛り上がりに欠けた。

シモンの"母"を演じたベレン・ルエナは大人の女性としての魅力と
母親としての力強さを表現できていて素敵だった。
霊媒師を演じたジェラルディン・チャップリンも怪しくてよい。

結局のところ映画を「金儲けの道具」として"しか"見ないから
物語を自分の頭で考えて追って楽しむことが出来ない人のために
過剰なサウンドで幼稚なおどかしを入れたり不要なグロテスクな
描写を入れることで本当に映画を楽しむ人々の気持ちを
萎えさせるという悪循環に陥っている。

もっと本気で作って欲しかった。
しかし監督のJ.A.バヨナの才能は一応は本物だろう。
パトロンにも何も理解できない幼稚な客にも誰にも媚びないで
本当に撮りたいものを時間をかけて撮って欲しい。
他の俳優・スタッフも皆優秀であろうと思うので
やっぱりもう一度しっかり再結集して"媚びない作品"を
是非撮って欲しいものだ。

映画については詳しくないけど観るのは好き
でも何を観たらいいか判らない。シリアスっぽいのが好き
という"女性"にはお勧めの作品。

混みいってそうでオカルトチックそうだけど
結局のことろ言っているところはシンプルで謎かけっぽい
というところで珍しくもマーケティングリサーチから
逆算したにしては映画っぽく出来ている。

因みにジェラルディン・チャップリンは喜劇王チャーリー・チャップリンの
4番目の娘(8人兄弟の長女とのこと)である。その生い立ちと
全く関係なく本作ではなかなか印象深いいい演技をしている。
彼女の最初の登場シーンが怖い。

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コメント

一瞬、「闇の子供たち」かと思いました・・・
なんかありがちなストーリーですね
このような使い古したストーリーだと
他の部分の見せ方で相当オリジナル味を出さないと厳しいですよね

投稿: 万物創造房店主 | 2010年9月14日 (火) 13時56分

かなり健闘した方ではありますね。
書いたように一般ピーポーには
エンタメ感や謎解き感も充分にあって
ボーダーじゃないでしょうか。
映像はなかなか細部もしっかりしていて
良かったです。

投稿: kuroneko | 2010年9月15日 (水) 00時46分

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