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2010年10月 2日 (土)

映画「旅役者」

2009年に見た映画(140) 「旅役者」

原題名: 旅役者
監督: 成瀬巳喜男
脚本: 成瀬巳喜男
出演: 藤原鶏太,柳谷寛,高勢実乗,清川荘司
時間: 70分 (1時間10分)
製作年: 1940年/日本 モノクロ

2009年 8月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)

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巡業の舞台で馬の"足"を誇りを持って演じる男にスポットを当てた中編。
大切な馬の被り物を壊された挙句に本物の馬を代用された男の取った
行動は。。名匠成瀬巳喜男の上手さが随所に光る。

物語としてはとても地味だけど、プロ中のプロが作ると全てのシーンが
目を離せない、映画そのものが生き物のように躍動することが良く判る
教科書的作品。主人公の男と舎弟分の相方を含む脇役にいたるまでの
登場人物、風景、大道具、小道具全てに成瀬巳喜男の暖かい視線と
本物の人間賛歌を感じて涙腺が緩む。

細やかな演出と主人公の側に立ち続ける揺ぎ無い視点により
いつのまにか主人公が大切にする馬の被りものが自分にとっても
とても大切に思えてきて、その"馬脚"の演技もとても素晴らしいものに
見えてくる。だからこそ、最後の大疾走シーンは拍手喝采せずにはおれない。

打算に塗れた駄作が何十本束になってもこの一本には適わない。
何だかもう一回じっくり観たくて仕方のない作品。

成瀬巳喜男が黒澤並みかそれ以上に世界的に評価される日は
確実に来るだろう。そして、今のままでは我々日本人"だけ"がは
彼を知らないという恥ずかしいことにまたしてもなるのかもしれない。

成瀬巳喜男を観よ。何度も何度も。

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