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2010年11月 7日 (日)

映画「フランケンシュタインの花嫁」

2009年に見た映画(148) 「フランケンシュタインの花嫁」

原題名: Bride of Frankenstein
監督: ジェームズ・ホエール
撮影: ジョン・メスカル
出演: ボリス・カーロフ,コリン・クライヴ,ヴァレリー・ボブソン
時間: 75分 (1時間15分)
製作年: 1935年/アメリカ

2009年 8月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)

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ヘンリー・フランケンシュタイン博士の作った怪物(人造人間)は、
風車小屋の炎上により葬り去られたと村民は安堵したものの、実は
生き残っていた。一度は捕らえられた怪物だったが、その怪力により
あっけなく脱出する。怪物と盲目の老人との束の間の邂逅、フランケン
シュタイン博士の師プレトリアス博士の狂気と暴走。そして、とうとう誕生
してしまう怪物の"花嫁"。。古典ホラーの金字塔的作品の"衝撃の"続編。

 

前作は部分的には荒削りながらも、現在に至るまで脈々と続く怪物
『フランケン』を文字通り史上初めて「完全映像化」し、且つそのキャラクター
造詣をすでに120点満点に完成させている点において永遠に賞賛に値する
大傑作であり快作であった。クライマックスの炎上する風車小屋と、
それを囲む村民達の映像のこの世の終りのような黙示録的な妖しさと
暗さもまた「映画の教科書」と呼んでいい最高の出来だ。

そして、本作は全くもって驚くべきことにを全ての点において前作を
凌いでいる傑作である。映像のクオリティと物語の展開するテンポは
前作よりも遙かに洗練されている。最も賞賛されるべき点は、続編という
続編が陥ってしまう主人公の存在意義の劣化(本作では『怪物』
(The monster)の存在の意味)が"全くしていない"点だろう。

 

『怪物』とは、"それそのもの"ではなく人間の心にある

"異形の者を徹底的に、問答無用に排除しようとする姿勢"

であり、その集団真理と行動の集積である。ということが前作同様に
ぶれを感じさせずに徹底されている。

前作というエポックな作品を生んでいながら続編の公開までに
4年を経ているということでも製作者側のこのシリーズに対する
真摯な姿勢が窺える。

前作において、最もショッキングで最も美しく且つ象徴的だったシーン
といえば脱走した"怪物"と幼い少女が交感するシーンだったが、
今回は盲目の老人に言葉を習ったり、クライマックスでは悪意の
極めつけである"花嫁"を用意されるなど"異形の者"と"そうでない者"
との接触実験はよりスケールアップされる。しかもどのシーンも前作並か
それ以上のレベルの出来である点がつくづく凄いとしかいいようがない。

オープニングの"掴み"も抜群に上手い。
堅牢な城の中で嵐の夜の風情を楽しむ若い貴族達三人組。
この三人とマッドサイエンティストや怪物といった前作の物語がどう絡んで
いくのかと思えば、三人のうちの一人が「フランケンシュタイン」の
物語の作者であるという洒落た趣向。しかもその作者は容姿端麗の
美女であるという物語のグロテスクさとのギャップがまた上手い。

と褒めちぎったがツッコミどころも当然のように満載ではある。

"怪物"は死体を繋いだもので血も流れていないという理屈の上での
関節の動きの不恰好さ(手を前に出して膝を曲げない歩き方で
うめき声しか出せない等)が維持されているわけだかから

 

怪物は、階段を昇れない。

  

はずだったけどもここら辺はグダグダになっている。
序盤から勢い良く階段を昇り人々を突き落とし
動きはかなり俊敏で煙草は吸うわ物は美味そうに食うわ言葉は
学習するわ嫁は欲しがるわ(嫁じゃなくて友達=理解者が欲しいのだけど)
文字通り大暴れの怪物君だ。

しかし異形の者への無理解と嘲りと弾圧とさらに怪物の女性版
を(面白がって)作るという人間側の"超怪物振り"が極めて冷静な
タッチで描写されているので怪物の詳細設定がかなりの矛盾を
きたしていてもほとんど気にならない。

寧ろ、映像的な細部の描写(クライマックスの研究所のセットの素晴らしい
ことと言ったら!)のスケールアップ・レベルアップと続編でありながら
古今東西のほとんどの"映画"の続編が間違いなく陥る物語の焦点の
当てかたの劣化やピンボケに全くといっていいほどなっていないのは
奇蹟といっていいのかもしれない。

最初から本作の方を作りたかったのではというほど脚本も映像も
破綻がなく格調高い。

「クライマックスくらいはどうぜグダグダだろうよ」
と意地悪くみたが"花嫁"のスタイリッシュな演出とその結末も
お見事というしかない。

新しく誕生したジャンルは必ずごく初期の段階で全てをやりつくされて
しまうという法則があるが本作にも良い意味で当てはまる。

SF映画(怪奇映画)という枠組みを外してみたとしてもその
メッセージ性の高さと深さと作品としての完成度で相当レベルが高い作品。

これは前作と合わせてコレクションしておきたい逸品だ。
観るべし。

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コメント

「~花嫁」のDVDは手元にあるのですが(例によってまだ見てない・・・)
一作目はないんですよ
買っとかないとですね
版権切れ500円シリーズでも出てますし
 
>動きはかなり俊敏で
「ナイトメアシティー」以降のゾンビもめちゃすばやくなりましたからね
モンスターは常に進化するのデス

投稿: 万物創造房店主 | 2010年11月 9日 (火) 15時41分

>買っとかないとですね
 
そうですね。
どちらかだけ取るならやはり一作目ですね。
後に延々と連なる系譜のスタートなのに
その世界感の完成度は100点といえるのが
本当にゴイス!!
 
>モンスターは常に進化するのデス
 
「エイリアン5」はどうなるでしょねー(^-^)
リドリー・スコットは最近手を抜き気味の
感じが否めませんが。。

投稿: kuroneko | 2010年11月11日 (木) 00時32分

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