kuronekoトラウマ映画館(一)
「秋深き」池田敏春監督、入水自殺
-------------------------------------------------
「人魚伝説」「秋深き」の池田敏春監督が、三重・伊勢志摩で
入水自殺していたことがわかった。関係者が現地で身元確認を行った。
1974年に早稲田大学第一文学部を卒業。在学中から
石原プロモーションで助監督を務め、卒業後に日活へ入社。
同期入社には、「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の根岸吉太郎監督がいる。
80年に「スケバンマフィア・肉刑・リンチ」で監督デビュー。
「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」「人魚伝説」「ハサミ男」などのメガホンをとった。
直近では、織田作之助の小説を八嶋智人、佐藤江梨子主演で映画化した
「秋深き」の監督を務めた。
池田監督は長年にわたりうつ病を患っていた。
Twitterにアカウントをもっていたが、昨年9月24日に
「午前十時の映画祭、私のようなものには大変ありがたいです。
これからも続けてください」と書き込みをして以降、更新はなかった。
-------------------------------------------------
2011年1月25日 17時00分(eiga.com)
池田敏春氏についてはこれまで全く知らなかったのだが、ある種の
"予感"のようなものに引き寄せられて氏のフィルモグラフィーを見ていたら、、
「あった」がな。
少年の頃のある日、いつものように学校に行こうとしたところ
いつものように某番組の中で公開中か公開間近の映画の紹介コーナー
のようなものがありコメンテーターがいつものように笑顔で
作品を紹介していると、そこに映しだされた映像は
世にも恐ろしい光景だった。
血まみれ(返り血か?)の女が銛を持ってごく普通(と思われる)の人々を
情け容赦なく襲っていく、、、次々と銛で突き刺していく!!女も被害者達も
惨劇の現場も設定の全てが日本全国のどこにでもありそうなシュチュエーション
なのがリアルで怖すぎる。
。。。( ̄ロ ̄lll)絶句する少年の日の私
。。。( ̄ロ ̄lll)絶句するコメンテーター
カメラがスタジオに戻った時コメンテーターは確かに凍りついていた。
多分アシスタントの女性も凍りついていたと思う。がすぐに笑顔を
取り戻して何事もなかったようにコメント無しで次のコーナーに進めた
のだった。一人の少年のいつもの爽やかな?朝をズタズタにしたまま、、
一体何だったんだろうか。
思い出したくもないが思い出さずにはおれようか。
そして、放映されたたった数十秒のシーンを幾度となく思い出しては
物語の妄想と恐怖に浸る日々が流れに流れに流れた、、数十年も。
そう、その映画こそが池田敏春監督作品
「人魚伝説」(1984)
だったのだ。製作年からいっても間違いなし。とうとう見つけてしまった。
当時の新進の映画監督9人が自由に映画を創ろうと志して
設立したディレクターズ・カンパニーという製作会社の第一作目
となった記念すべき作品だったのだ。
私の少ない脳内メモリーを長年ロックし続けたのは貴方の作品でしたか、、
ディレクターズ・カンパニーは興行的不振と撮影中に起きた死亡事故
による負債の返済等のため10年経たずに倒産してしまったようだが
人魚伝説(1984)
逆噴射家族(1984)
台風クラブ(1985)
ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985)
スウィートホーム(1989)
など今に語り継がれる佳作を世に放っている。
会社の規模と活動期間からすればこのクオリティと数は
かなり立派なものであるといっていいだろう。
池田敏春追悼上映は都内のどこかで催されるのであろうか。
もしあるとすれば、当然の如くに問題作?「人魚伝説」は上映されるだろう。
私はそれを知った時、鑑賞するために足を向けるだろうか?
当然の如く足を向けるのだろう。またひとつ『人生ゲーム』の小さな
パズルのピースは埋める為に。
池田敏春、貴方の生き様と死に様は私という東京の片隅で
生きる市井の男の人生の"点"と"点"を繋いだのだ。
合掌。
---------------------------------------------------------------
映画感想一覧>>
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 映画と賞を取ることについて関係性における独り言(2021.05.02)
- 映画「ジョーカー」(2020.12.09)
- 映画「魂のゆくえ」(2020.07.24)
- 映画「愛の渇き」(2020.05.01)
- 特撮映画における或る命題について(2020.04.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
>人魚伝説
2004年にDVD出てるみたいですけど、廃盤高値になっておりますな
しかし
なかなか面白そうですね
投稿: 万物創造房店主 | 2011年2月 9日 (水) 16時38分
まったく幸運にもこの記事の数日後に
観ることが出来ました。
そして想像以上に素晴らしい作品でした。
個人的には80年代の映画の中でトップ10に
入れてもいいくらい。最晩年の宮口精二が
出演していてまたビックリ。勿論演技も◎。
全体的に大傑作です。
是非ご覧ください!!
因みにエロい演出もすげー"上手い"です。
(・∀・;)
池田敏春、天晴れ!
どうか安らかに、、
投稿: kuroneko | 2011年2月10日 (木) 00時12分
それにしても、
この作品は小学生の頃に"衝撃"を受けてから
本当に今年の2月まで20年近くも自分の頭の
隅にひたすら潜伏していて監督の死去という
傷ましい出来事がなければ一体どこまで
潜伏し続けたのか、もしかしたら一生潜った
ままだったかもしれないですね。
今だったら、ネットで「銛 血まみれ」とか
検索すれば一瞬で判るわけで。
そういう意味では我々の少年時代とは
今はまるで異なった世界なのですよね。
率直に言って、今の時代の方が少年・少女
にとっては生き難い時代のように思います。
内容自体は優れていますが、とてもじゃない
ですが小学生が記憶するような作品じゃ
ありませんでした。。(^^;)
中学生でも全然早い。
朝のワイドショーで紹介されたのは
ちょっとした事故か、内容をチェックしないで
放送したのか、邦画のレベル降下を
憂いた局内部の某氏の確信犯的なスルーの
結果なのか、、これについてもその内に
事実を知る運命のような気がします。
"映画の神様"は一体私に何をさせる気
なのか、、とか言って(^^)
投稿: kuroneko | 2011年2月11日 (金) 23時04分