「TAROの塔」第2話
NHK土曜ドラマ
岡本太郎 誕生100年企画「TAROの塔」第2話
やはりこのドラマは『傑作』だった。
kuroneko流[傑作ドラマ認定の法則]
というものがございまして、その第一法則に
「傑作ドラマは、オープニング(OP)とエンディング(ED)
のどちらかまたはその両方が秀逸である」
という法則がある。
「TAROの塔」はOP,EDの両方ともに秀逸である(特にEDが素晴らしい)。
∴傑作ドラマである。
q.e.d
ご自分の好きなテレビドラマや映画にこの法則を
当て嵌めてみて欲しい。かなり高い確率で適用できる
のではないだろうか我が第一法則は。
さてドラマの方であるが第2回の今回は岡本太郎の青年期に
おけるパリ滞在時代と万博開催が迫る現代とのオーバーラップで
展開する。多分今回か最終回のどちらかが"最高の回"と
なるのではなかろうか。
岡本太郎の青年時代の役を務めた濱田岳の熱演、
万博の会場施設デザイン全体を仕切る小日向文世演じる
丹下健三と岡本太郎の熱過ぎる"一騎打ち"、
何よりも松尾スズキ版岡本太郎が俄然乗ってきた。
濱田岳は私は今回初めて知ったが、現在まだ22才の若さで
キャリアを確実に積んでいてこれからがとても楽しみな役者だ。
小日向文はかなり前から好きで評価してきたけどとてつもない役者
になったもんだ。今回のクライマックス、丹下健三(丹下健三)と
岡本太郎(松尾スズキ)のいよいよ全容を現した太陽の塔の"大きさ"
を問題の発端とした電話での応酬のシーンを見て
「ドラマを見ている悦び」
で涙した人はきっと全国で多数いることでしょう。
製作者側は面白いものを作って提供し、
観客側は"それ"をしかと受けと止める。
当たり前のことであり近年の日本では秒間隔で失われていっている
(国と地方自治体が総力を挙げて日本の過去も現在も未来も
全てをぶち壊してゴミ屑にしようとしているから仕方が無いが)
稀有なことが成立している。
丹下健三については、山手線に乗るときはいつも車窓から
なぜか凝視し続けてしまう代々木第一体育館が彼の仕事で
あったことは何となく知っていたけど今回しっかりと再認識した。
電車から見える代々木第一体育館の屋根は見るほどに
その立体構造は複雑であるがとても有機的なデザインで、その
"雄姿#に龍を想像してみたりいつも異なる架空の物語を連想
させたりと何かを常に思い起こさせる。これからは、窓から見える
度に丹下健三という建築家と岡本太郎という芸術家であり思想家
そして太陽の塔の「時代」を思い起こすことだろう。言わずもがなでは
あるがせっかくなので言っておくと「広島平和記念公園」の中心に
位置する慰霊碑から原爆ドームが見えるように慰霊碑と公園全体を
設計したのも丹下である。さらに蛇足であるが自分は数年前に
広島市を事実上初めて訪れて原爆ドームと広島平和記念公園一帯を
丸一日歩き倒した。
確信犯的に社会全体に警鐘とも喧嘩とも取れる挑戦的な発言をする
岡本太郎を演じるときの松尾スズキは多分、他のシーンの時よりも
世の中に対する自分の思いもより篭めているのではなかろうか。
常盤貴子演じる秘書役の平野敏子(後に岡本太郎の"養女"となる)
の存在感も心地よいテンポで着実に高まってきて見所満載の回となった。
脚本の大森寿美男(おおもり すみお)の功績もまた大きいだろう。
やはりドラマや映画は何と言っても脚本が"要"である。
秀逸なドラマであれなあるほど、そのコンテンツに丸々寄りかかって
他のこと(報道ニュースの質と量の大幅な向上)を疎かにする局の
全体としての姿勢の悪さもまた浮かび上がるというものである。
お金を面白いことと社会正義のためにきちんと使いたまえ。
社会正義というのは巨悪を暴き人々の生活と心の安定に役立つ
情報を提供することではあるまいか。
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NHK土曜ドラマ
岡本太郎 誕生100年企画「TAROの塔」
2011年2月26日(土)より毎週土曜日夜9時
[全 4回]
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