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2011年4月 9日 (土)

映画「赤と黒」

2009年に見た映画(169) 「赤と黒」

原題名: LE ROUGE ET LE NOIR
監督: クロード・オータン=ララ
脚色・台詞:ジャン・オーランシュ,ピエール・ボスト
撮影: ミシェル・ケルベ
出演: ジェラール・フィリップ,ダニエル・ダリュー,アントネラ・ルアルディ
時間: 182分 (3時間2分)
製作年: 1954年/フランス [2009年 デジタルリマスター版]

2009年12月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)

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職人の息子として生まれた容姿に恵まれた青年ジュリヤン・ソレル
(ジェラール・フィリップ)の立身出世を図りつつも上流階級の夫人との
激しい愛に堕ちていく様を描く大作。原作はスタンダールの同名小説。

 

黒は司祭の衣装に表現されているような表面的な、
赤は人間の内に秘める激情と血と本心、ジュリヤン・ソレルはその内なる思い、
硬直化したヒエラルキーに安穏とする貴族達への軽蔑を隠そうとしない。
ジュリヤンの行動・思考(黒)のすぐ裏(赤)には常に自分の生い立ちという
アンコントロールで不条理とも思える理由による決定される人間関係、貧富の
差への憤怒のようなエネルギーそのものが脈々と流れている。恋や愛という
時に崇高な物にも見えるものも情念がほんの少しだけ変えたものに過ぎない。
あるいは流れの向きと量が変化しただけで何一つも変わることはない。
頭脳明晰なジュリヤンはその事を理解したうえでそのエネルギーと情熱を
己の立身出世の為だけにコントロールしようとするが、駆け上がろうとする
階段そのもの機能不全と化した階級社会そのものへの侮蔑と、自己の思考
そのものに呑まれていく。ジェラール・フィリップはその優れた容姿とある種の
表面的な冷たさと秘めた熱さを適確に演じていて、作品はジュリヤンの
行動と動機を終始描くことによってある時代におけるフランス社会を覗き見よう
とする試みに成功していると思う。

自分は「愛」という何事"だけ"を楽しむにはどうも向かない性格なので物語を
追いつつも衣装や舞台、小道具の細部に目を凝らして観た。

 

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