映画「無宿人別帳」
2010年に見た映画(二) 「無宿人別張」
原題名: 無宿人別張
監督: 井上和夫
脚色: 小国英雄
出演: 田村高廣,二本柳寛,長門裕之,三國連太郎,佐田啓二,津川雅彦
時間: 118分 (1時間58分)
製作年: 1963年/日本 松竹
2010年 1月鑑賞
(満足度:☆☆☆+)(5個で満点)
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佐渡に送られ、過酷な労働を強いられ続ける無宿人達の反乱をスケール感
大きく描く。原作は松本清張。
宮口精二、渥美清等ベテランも出演していて俳優陣がかなり豪華な作品
であるが、その為にそこそこ均等に露出するように気を使ったと思われる
撮り方が見られたが穿ち過ぎであろうか。製作された1960年代を過ぎた辺り
から、戦中戦後とそれなりに受け継がれてきた邦画の何事かが「盛大に
失われる」感じが強く見られ、本作もまた例外ではない。俳優も美術セットも
撮影もそれなりに及第レベルを保っているが、クライマックスの大掛かりな
殺陣シーンに向けての収束感、カタルシクが残念ながら弱い。
50年代の作品には余り見られない「漠然としさ散漫さ」のようなものが60年代
を過ぎると急速に感じられるようになる。映画作成手法の"産業的な分業化"と
"世代の断層"、"新人俳優の台頭"これらが残念ながら作品の質を下げる
悪い方向に向かっていって、「日本のアイデンティティー無き大国化」に邦画の
質的供給が追いついていくことがどんどん難しくなり、80年代には邦画は
「安っぽい」「暗い」「つまらない」というレッテルを貼られ厳冬の時代を迎える
ことになる。本作そのものにではなくその部分的な弛緩から邦画の斜陽を
見てしまった気がした。
出演した俳優達、監督・脚本の製作陣もそのことを濃厚に感じているのか
70年代、80年代を背負っていく若手俳優達に脚本以上に辛辣に当っている
としか思えない扱いも何となく可笑しい。
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