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2011年5月19日 (木)

映画「夜と霧」

2009年に見た映画(172) 「夜と霧」

原題名: Nuit et Brouillard
監督: アラン・レネ
音楽: ハンス・アイスラー
時間: 32分
製作年: 1955年/フランス [モノクロ]

2009年12月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)

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終戦後のアウシュビッツ強制収容所の跡とナチスにより運営されていた
当時の映像やニュース映像を交互に交えてユダヤ人の迫害を告発した
ドキュメンタリー。

 

一切の肯定すべき権利を奪われて、ただひたすら死を待つだけの
表情を失った少年・少女達の眼差し、骸骨と皮だけのようになって
呆然と路傍に座る幼い子、、ブルドーザーでなぎ倒されていく膨大な
死体の山。自然災害ではなく、食糧が不足した訳でもなく、「合法的に
作り出された死」をただひたすら見せ続ける。たった30分程度だが数時間も
見せられているような気になってくる。

独裁者と、狂信的且つ邪悪な集団によって作り出された悪夢というよりも
その一味が無際限に国民の力を行使できるまでに権力を与え続けた
人々の『無関心』の連鎖による"結果の記録"である。そして、その犠牲者が
いつ、どのように、なぜ、誰の手により、どうして、どうなったのか今もって、
恐らくは永遠に真実は闇の中という意味でも過去の映像ではなくて、常に
世界のどこかで今も絶え間なく続いている殺戮の断片に過ぎない。

『怪物』は今もいる。それは我々そのもの。瞬時に変身でき、何も躊躇すること
なく我々に襲いかかることが出来てしまう。恐らくは正義の名の下に。

細部を強烈に見せることで全体であると無言のままに観客に刷り込む
魔力もまたこの作品そのものにある。人間は人間であるがゆえに全ては
まやかしである。それでも自分達が作った何事からか判断していくしかない。

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