映画「去年マリエンバートで」
2010年に見た映画(二十八) 「去年マリエンバートで」
原題名: L'Année dernière à Marienbad
監督: アラン・レネ
脚本: アラン・ロブ=グリエ
撮影: サッシャ・ヴィエルニ
音楽: フランシス・セイリグ
出演: ジョルジョ・アルベルタッツィ,デルフィーヌ・セイリグ,サシャ・ピトエフ
時間: 94分 (1時間34分) [モノクロ]
製作年: 1961年/フランス・イタリア
2010年 3月鑑賞
(満足度:☆☆☆+)(5個で満点)
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ワンシーズンの男女の恋の駆け引きを絢爛豪華な映像美で描く。
どのシーンも化粧品か酒の宣伝広告のようにピカピカと光沢
があって完成された構図と美しいモノクロのトーンで「彩られて」いる。
上流階級の美男美女達。。徹底して主人公の"主観からの映像と音"
で構成されているのがなかなかお洒落だ。
自分は明らかに精神的・金銭的・物質的に下層階級の暮らしの日々
であるのでいまひとつ感情移入して鑑賞出来なかった。後、10歳くらい
歳をとって観ると今よりは楽しめて観れる気がする。そんなわけで少々
長く感じた。本作にどれくらい集中して観れるか、どれくらい興味が持て
るか、持てないかで、その人の人生の成熟度と精神年齢が判るかも。
撮影のサッシャ・ヴィエルニ(1919-2001)は本作と同じくアラン・レネと
組んで、アウシュビッツ強制収容所でのユダヤ人迫害に迫ったドキュメンタリー
「夜と霧」(1955)の撮影も手掛けている。アラン・レネは2011年現在89歳。
wikiによれば、1958年に来日したきりであるようだがちと寂しい。
アラン・レネは、20代にゴッホやピカソのゲルニカ、ゴーギャンをテーマ
にして作品を撮っている(いずれも短編作品)が観てみたい。本作の
よく冷えた端麗辛口の冷酒のような作品とフィルモグラフィーを見ると、
アラン・レネは、20世紀以前に生まれていたら画家になっていた運命
なのもしれない。
好きな人は大好きであろう作品。住まいを常に清潔に保って一点豪華
主義と孤独を愛するというタイプの女性がもしいたとしたら、こんな作品が
お勧めのような気がする。
美しく、孤高な女と、極上のワインが似合う。きっとそんな映画。
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