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2011年12月17日 (土)

映画「濡れた荒野を走れ」

2010年に見た映画(三十) 「濡れた荒野を走れ」

原題名: 濡れた荒野を走れ
監督: 沢田幸弘
脚本: 長谷川和彦
撮影: 山崎善弘
音楽: 多摩零
出演: 地意武男,山科ゆり,川崎真樹,井上博一,高橋明,久松浩介
時間: 73分 (1時間13分)
製作年: 1973年/日本 日活

2010年 3月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)

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 警察官でいながら悪事に手を染めて、最早引き下がれない男達と
実直過ぎるがゆえに警察官という仕事に悩み抜き、悪事を重ねる
人間達が同じ立場にいる事を知ったが記憶を無くし、あても無く
彷徨う元警官の男。"悪党"達は記憶の無い男を追跡し闇に葬らねば
ならない事情があった。。

  

 エロ・グロ、バイオレンス・アクション、ナンセンスがほどよく詰まって
いて、これらのエッセンスの絡み具合が実に巧な脚本も映像もとっても
Goodなかなりよく出来た秀作。

 聖職者や法を守る側にいるはずの職業の側に"あからさまに"
そうではない人間達で占められているとしたら?という"if(もしも)"で
あって欲しい"if"をベースにして、冒涜に次ぐ冒涜の描写がこれでもかと
小気味良く続いていくが、が裸だとか血とか内臓とかの安易な一般論的な
タブー映像ではなく

「"誰"に"何"をさせるか(させてしまうか)」という物語の構成で映像を見せて
いるのは大きな賞賛に値する。本作は相当な低予算の作品に見え実際に
そうあのであろうが(本質的に過激な内容であるので製作会社である日活に
嫌がらせを受けたとか)、実に頭も"体"もよく使って撮られていてそう簡単
には作れない立派な『プロ』の作品である。

 絡みのシーンも別にいれなくてもいいんじゃないのという"隠し"(真っ黒な
塗りつぶしの帯)が挿入されつつも「別に入れなくてもいいじゃん」と自分達で
吐き捨てているかのごとく適当な位置に無造作にしかし計算されて効果的に
且つ投げやりに配置されていてとても楽しい。

 全くもってどうってことのないロケのシーンもきちんと物語上の緊張感が
漲っているのは主要キャストもまたプロの俳優であり台詞は少なくても(無くても)
それぞれ与えられた役のオーラを出しているからである。追う側のリーダー格の
男は、かつては記憶を無くした男を尊敬し憧れていた。そして、尊敬していながら
説諭された事を心のどこかで"憎悪"にすっかり転嫁してしまっている。こうした
人間の個性が少なくても良いから描かれてこそ、山科ゆりの美しい裸体が
よりエロ度を増して、後半のとんでもない救いがたい展開も単なる低予算作品の
トンデモ映像以上の"何か"を観客に突きつけることになる。

 映画を撮りたくなること必定な作品。若者はこれを観て、誰とでもつるんで、
何でも良いのでヤサグレタ気持ちを映像にぶつけたらよろし。

 「映画」というのは内に向かって"閉じて"作品として成功するか、外に向かって
"開けて"成功するかのどちらかであることが多く、ほとんどはそのどちらかでも
なくて失敗し、消えていく。成功した作品もどっちに向かっているのか、製作者側の
意図通りにはいかずに作品自体に問わなくては判らない。本作は外(世界)に向かっ
"開かれている"成功作ではなかろうか。

 脚本を担当している長谷川和彦は「青春の殺人者」(1976)を監督して若くして
圧倒的な支持を受けたようだが、現在は長い沈黙期間に入ってしまっているようだ。
wikiによれば、長谷川は相米慎二・黒沢清等を業界に引っ張りこんだ人間であり、
昨年12月に惜しくも逝去した池田敏春の超傑作「人魚伝説」(1984)を生んだ
ディレクターズ・カンパニーの設立にも関っている。本作の出来の高さを含めて
邦画史に大いに貢献していると断言できるであろう。復活が待たれるところだ。

 
 

「おじさんも、可哀相」

みんな、みんな可哀相

今日も、明日も、男も女も、老いも若きも、"濡れた荒野"走れ!

  

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コメント

お久しぶりです。正社員の仕事がなかなか見つからないので今でもまだ探しています。

悪い癖を克服するために精神科医に定期的に通い薬を飲んでいます。

医師のアドバイスを受けてHIVの血液検査も受けて今のところは陰性で念のために来年の二月中旬にもう一度検査を受ける予定です。

実らない片思いで悩みある意味精神的にしんどい時があるのは否めません。

でも頑張るのでどうか心配しないでください。

仕事が見つからず挨拶するのを躊躇っていたので本当に失礼いたしました。

投稿: 台湾人 | 2011年12月20日 (火) 18時15分

就職活動お疲れ様です。
色々と大変そうですね。
仕事のあるなしに関らず、
世の中のよしなしについて意見交換
できれば幸いです。
日本も台湾も身近の傍若無人極まりない
馬鹿者達のおかげで散々ですね(ーー;)
とにかく地道にやっていくことですね。
どうか頑張ってください(^-^)

投稿: kuroneko | 2011年12月20日 (火) 23時34分

ありがとうございます。1968年生で既婚で二児の父親であるストレートの男性に片思いするなんて自分でもバカだなと思います。

生まれて28年の人生の中であんなふうに優しくしてくれる男性は本当に初めてです。

最近は連絡が取れず音信不通になりました。彼の肉声が聞こえるだけでもすごく癒されて元気付けられるんです。

ガンズ・アンド・ローゼズの名曲「November Rain」のPVのように最終的には棺おけに葬られる片思いだったのかもしれません。でもPVの二人は本当に付き合っていたので私の片思いなんかとは雲泥の差です。

投稿: 台湾人 | 2011年12月21日 (水) 18時54分

>「November Rain」
 
素敵な詞と曲ですね。
アルバム欲しくなりました。
教えて頂いてありがとうございます(^-^)
 
「思い」を伝えるのは難しいですね。
伝えたところでどうしようもないことも
多々あります。
 
出会えたことに感謝して相手の人生を
尊重して生きていくこともとても大事な
ことですよね。今の社会は世界中が
酷い「簒奪社会」ですから尚更です。
 
"We still can find a way
Cause nothing lasts forever
Even cold November rain"
(November Rain by Guns N' Roses)
(^o^)/

投稿: kuroneko | 2011年12月21日 (水) 23時45分

実は花嫁役のステファニー・シーモアも1968年生まれなので私が今一番苦手で敏感な数字はまさに1968です。

あともう一人私が好きなモデルは1969年生のクリスティー・ターリントンで彼女はステファニー、シンディ・クロフォードやリンダ・エヴァンジェリスタと共に1980年代末期から1990年代に大活躍していました。

私も1960~1969年に日本人として生まれたかったのが本音です。昭和時代も満喫できるし。

人生も恋も難しいですね。トリノ大聖堂に行って土下座してお祈りをして宗教の力で自分を癒したいです。

私の大好きな工藤静香の「雪・月・花」、「千流の雫」、「Ice Rain」の歌詞が私の今の心境かもしれません。

実は私はそもそもロックには興味がないタイプなんですがステファニー・シーモアが「November Rain」のビデオに出演しているのを知ってYouTubeで見ました。

女の子が結婚式や花嫁になるのを憧れる気持ちも何となく分かったような気がします。

すみません。アメリカのライス国務長官みたいに独身で立派で強く生きている人は沢山いるのに。私って何故こんなに弱いんだろうとこんなふがいない自分を反省しています。

投稿: 台湾人 | 2011年12月22日 (木) 01時26分

ガンズ
懐かしいですねー
当時、ロック小僧ご用達やったんで
一時期よく聴いてました
 
でも曲は知らんなーと思ったら
再結成時の曲なんですね
 
PVのアクセルがジジイになってました
 
スネークはこんときかなりのデブになってたはずなんですが、ソロ弾いてるときのギタリスト普通に痩せてますね
替え玉?
 
>アメリカのライス国務長官みたいに
あの人は普通の人じゃないですから・・・
僕は、人間、人生最後まで付き合える連れ合いが必要だなーって最近つくづく思います

投稿: 万物創造房店主 | 2011年12月22日 (木) 17時29分

アクセルは精神的に不安定で暴力も振るうのでステファニー・シーモアも彼のDVに耐えられず分かれたそうです。

ナオミ・キャンベルも度重なる暴力事件で有名なのでアクセルとお似合いで付き合えばいいのにと思います。

万物創造房店主さんもガンズ・アンド・ローゼズが好きなんですね。

フランスの前司法大臣ラシダ・ダティもすごいですよ。父親が不明の状態で女の子を出産されたそうなので自立してるなと思います。

何故サルコジに更迭されたのかは謎ですが。

投稿: 台湾人 | 2011年12月23日 (金) 00時14分

>アメリカのライス国務長官
 
超頭いいらしいですね。この人。
笑顔がなかなかインテリジェンスありそうで
多分、魅力的な人ではなかろうかと自分は思います。
学問的、愛国的見地から国務長官を引き受けて
政治的野心は余りないようですね。
出来すぎて相手が引いちゃうのですかねー
 
>ガンズ・アンド・ローゼズ
 
自分は「ターミネーター2」(1991)
で使用されている「You Could Be Mine」
しか知らないのですが、周囲には
嵌っている人がいましたね。
聴いてみよーかな。
 
>父親が不明の状態で女の子を出産された
>そうなので自立してるなと思います 
 
そ、そうなのですかね。。(^^;)
 
 
>人生最後まで付き合える連れ合いが必要だなー
 
オー、(ノ ̄0 ̄)ノ珍しく?踏み込んだご発言すねー
素敵な展開を願っております!(^-^)

投稿: kuroneko | 2011年12月23日 (金) 12時07分

地井武男ですか。濡れ場もやったことがあるんですね。

ナニコレ珍百景に出演されていたので彼のことを知りました。

渋くていい男だなと思います。

噂なんですが。ラシダ・ダティはサルコジと親密すぎてカーラ・ブルーニの怒りを買ったから更迭されたというゴシップもあります。

でも男たらしで一夫一妻制度はつまらなすぎると公言したカーラがそれほどサルコジのことを愛しているのかも疑問視したくなります。

投稿: 台湾人 | 2011年12月28日 (水) 01時29分

>地井武男
私の記事の文章は間違っていますね。(^^;)
記憶喪失の男と主人公を取り違えている模様。
記憶喪失の男を追う主人公の"原田"が
地井武男ですね。修正しておきます。
  
>渋くていい男だなと思います。
ですね。素敵な年のとりかたをしていると
思います。
 
>サルコジのことを愛しているのかも
権力とお金の渦巻く世界ですからね。
庶民にはちょっと判りかねますな。
まあでもサルコジってやんちゃ坊主の
ようで機転もききそうだし、モテそうな
感じはありますね。

投稿: kuroneko | 2011年12月29日 (木) 10時23分

>万物創造房店主さんもガンズ・アンド・ローゼズが好きなんですね。
昔の全盛期ガンズだけですけど
今のジジイガンズには興味ありません

>父親が不明の状態で女の子を出産された
>そうなので自立してるなと思います
これは「イコール自立」ではないような気が・・・
父親不明の子供って、どうなんでしょう・・・

>一夫一妻制度
は、あくまで現在の男女比がほぼ一対一だからよいとされていますが
急に男が死滅したりして、比率が変わったら
変わるべき、というか必ず変わる価値観ですね
僕は
一夫一妻制はただの貧乏人や不細工な人間にも平等に配偶者が見つかるようにするための独占禁止制度としか思っていません

投稿: 万物創造房店主 | 2012年1月 1日 (日) 17時49分

>一夫一妻制
 
まあでも社会は安定するでせうね。
この制度で(^^;)
夫が女性でスゲー美人で
複数の男を妻に持ち家事・育児を
やらせる。。てのもアリかも
しれないですね。

投稿: kuroneko | 2012年1月 2日 (月) 12時00分

長い間ご無沙汰しておりました。

そちらのブログのアドレスをなくしてしまったので。

本当に申し訳ございません。

再度見つけることが出来て本当に嬉しいです。

投稿: 台湾人 | 2015年12月 1日 (火) 23時19分

台湾人さん
お久しぶりです\(^^)/

何だか
世界中が大変なことになってきてますねー(^^;)
お元気そうで何よりです。

投稿: kuroneko | 2015年12月 2日 (水) 00時10分

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