映画「4匹の蝿」
「4匹の蝿」
原題名: QUATTRO MOSCHE DI VELLOTO GRIGO
(FOUR FIIES ON GRAY VELVET)
監督: ダリオ・アルジェント
脚本: ダリオ・アルジェント
撮影: フランコ・ディ・ジャコモ
音楽: エンニオ・モリコーネ
出演: マイケル・ブランドン,ミムジー・ファーマー,ジャン・ピエール・マリエル
時間: 101分 (1時間31分)
製作年: 1971年/イタリア
2010年 7月鑑賞
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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オープニングの"つかみ"がイカス。暗闇に浮かび上がる心臓と
不気味な鼓動音。"4匹"は4人の心臓を指すのか?期待が高まる出だし。
中盤までの謎に満ちた殺害シーンの連続に妄想が膨らんでいくが、
展開がやや引っ張りすぎの感と、遊び心のあるカメラワークに自分の
考えていた(期待した)方向とは違う予感が強く心をよぎる。で、その
"違う予感"が当たり、後半の急展開では「やられた」感を満喫。ラストは
「サイコ」(1960)を連想させた。
主人公の妻を演じたミムジー・ファーマーはとても美しい女優なのだが、
本作の熱演?の為に彼女のキャリアは微妙なものとなってしまったようだ。
所謂、映画としての文法・作法は余り気にすることなく撮られていて、
その"勢い"が本作の大きな魅力の一つになっていてダリオ・アルジェントの
虜になっていくきっかけにもなっているのではと愚考した。監督のダリオ・
アルジェントと撮影担当のフランコ・ディ・ジャコモは本作がキャリアの
初期の作品で中身よりも撮ること自体を楽しんでいる感がある。学生の頃
に本作を観ていたら、その方法論の自由さに羨ましくなって何か撮って
いたかもしれない。ある意味、高校生辺りの頃に出会いたかった作品。
ダリオ・アルジェントはジョージ・A・ロメロと同い年の1940年生まれで
「ゾンビ」(1978)の製作に携わっている。ロメロの"オデッセイ"であるゾンビ
シリーズの前身とも、姉妹作品とも言える「THE CRAZIES」(1973)も勢いが
魅力の作品で両者には「撮りたい」という同じDNAを作品から感じとること
が出来る。「映画とは"衝動"である」ことが両氏の作品から導き出せる解の
一つであろう。
ダリオ・アルジェントのファンは今までも今後も生まれ続け、その中から
「撮ること」を選択する者が生まれ、この世界を切り取っていくことだろうことを
妙に納得してしまった快(怪)作。
ミムジー・ファーマーについてはダーティ工藤監督のブログで、「ポケットの愛」(1977)
という作品が紹介されていて、15才の少年に恋をする娼婦という役で
出演しているとのこと。機会があれば観てみたい。
ダーティ工藤の映画的生活
「ミムジー・ファーマーの魅力」
[http://blog.livedoor.jp/dkp123/archives/50204516.html]
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コメント
>ダリオ・アルジェントのファン
はーい
わたくしでーす
最新作「ジャーロ」はダメダメでしたけど
短編「愛しのジェニファー」は面白かったです
投稿: 万物創造房店主 | 2012年6月18日 (月) 21時54分
>わたくしでーす
コレ観て判る気がしました。(^^;)
癖になる要素がありますね。
>最新作「ジャーロ」
観に行こーかなーと思いましたが、
何となくイマイチっぽくて止めました。
投稿: kuroneko | 2012年6月19日 (火) 01時45分
>癖になる要素がありますね。
方向性は違いますけどデパルマに近いものがありますね
ヒッチコックに影響を受け
オマージュしつつ越えてやる的な実験精神がとても好きです
>何となくイマイチっぽくて止めました
正解です
時間と金の無駄です
投稿: 万物創造房店主 | 2012年6月19日 (火) 17時46分
>オマージュしつつ越えてやる
ここ20年くらいの80年代以降の
サブカルのサブカルのサブカルの、、
みたいなまるでマトリョーシカ人形みたいな
時代としては息長く映画作っていくには
正しい方法論の一つかもしれないですね。
語呂も何かいいかもですねコレ
「オマージュ(&リスペクト)しつつ越えてやる!!!」
\(^^)/
投稿: kuroneko | 2012年6月20日 (水) 22時43分