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2012年9月 1日 (土)

映画「28 1/2 妄想の巨人」

「28 1/2 妄想の巨人」

原題名:28 1/2 妄想の巨人
監督: 押井守
脚本: 押井守
撮影: 湯浅弘章
音楽: 川井憲次
出演: 奥田恵梨華,田辺桃子
時間: 74分 (1時間14分)
製作年: 2010年/日本 デイズ

(満足度:☆☆)(5個で満点)

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スチールカメラマンの小林(奥田恵梨華)は「鉄人」の舞台化に
向けて悪戦苦闘を続ける"押井"と製作スタッフ周辺の取材を
続ける過程で謎の少年の姿を見る。次第に虚実定かならぬ
世界が現出し、、押井守自身の手掛ける「鉄人28号」の舞台化
の準備から公開に向けてのセミドキュメンタリー+α的な実験的
実写作品。

 

 アニメを作る方法論で実写を撮るとこれほど絵的につまらなく
なり且つおぞましくなるのかという反面教師的な意味での金字塔
的作品。特に主人公の女性を含む食事のシーンの醜悪さはラジー
賞ものだ。

これまで観てきた押井作品としては、期待を最大級に"裏切られた"。
それでも、他の押井作品と同様に最後の最後は期待させられて、
結局裏切られるのも実に押井作品の醍醐味と言えよう

主人公の女性が踊るシーン、謎の少年(金田少年)、「PATLABOR2」
(1993)のセルフパロディのような夜景や車内での会話のシーン、その
全てのシーンを"アニメ"に変換すれば、それだけで普通のアニメ作品
以上の

「何か意味があるような、ないような、実写っぽいような、アニメっ
ぽくないような、謎があるような、ないような」作品

となるが、それを実写でそのままやってしまうと「最低」もいいところ
なのが観ていて不愉快よりも不思議で学術論文作成の為の仮の
実験のような映画鑑賞とは別の奇妙な楽しさあった。この奇妙な
楽しさとがっかり感は意欲作ではあるが絵的に平面的な「ミカドロイド」
(1991)と同質でありデジャブ感がある。「ミカドロイド」は企画内容から
言えばアニメにした上で実写に近づけてこそ本懐を遂げるパワーを
持つ作品となるはずで、本作も同様にアニメから実写に向けて
爆走していれば大ヒットまではいかないが、そこそこの収益は上がった
であろう。

 アニメの場合は、コンテをそのまま絵にすれば、とりあえずは作品の
基本世界が出来上がるが、実写の場合は、大きい物から小さな物まで
全てを"マテリアル"にしなくてはならないので、その大きな制約から初期
案は推敲が重ねられ、時には舞台もキャスティングも物語そのものも
変更を余儀無くされ、それをプラスに変えるのが、脚本家、監督、美術
監督、撮影監督、プロデゥーサーの腕の見せ所となる。本作においては、
押井の手腕に多くを帰させ過ぎで、その事に押井を含む誰もが止める
ことが出来ずに、完成とされて公開されてしまったのではないだろうか。
作品というアウトプットそのものではなく、過程からして、このように出来
上がるしかなかったように思われる。

 それにしても、これほどの作品においても、押井は

『全てを故意にやったのかもしれない』

と思わせる"何か"を持っている実に不思議な人間であり、これほどの
"失敗作"をお金を払って観させられても新作には一応期待してしまう
からよほど稀有な才能を持っているかと思う。こんなクリエイターは自分に
とっては他にはいない。

 観客を置いて行ってしまう不愉快なシーンが多く、70分弱はとてもても
長く感じる退屈な作品であるが、そのラストは悔しいことに印象深い。

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コメント

>『全てを故意にやったのかもしれない』
うーむ

過大評価では・・・(^_^;)

僕は攻殻機動隊がギリ
それ以降は全く評価してません

うる星やつらとかやってる時の方がよかった

アニメがよくわからない外国人に攻殻機動隊過大評価されて
調子に乗ってしまった残念な人
な感じです

投稿: 万物創造房店主 | 2012年9月 2日 (日) 16時03分

>それ以降は全く評価してません
 
「イノセンス」(2004)
「立喰師列伝」(2006)
 
はまあまあだったと思いますが(^^;)
どちらも後半の失速感は否めませんが。
 
「立喰師列伝」
は押井について何も知らない友人を
連れて観にいって凄く申し訳なかった
記憶が(^^)
 
>調子に乗ってしまった残念な人 
 
私は作品よりも"押井守"という人間の方に
より興味があるのかもしれません。
三島由紀夫に対して抱いている感情と似ているかも。
 
「スカイ・クロラ」(2008)で顕著に表れている
ように思うのですが意図的に
"盛り下げてる"ということはやっていると思います。
商業作品としては相当危険な賭けで
なぜそんなことをしているかは、いずれ
明らかになるのでしょうね。
 
自身でも昔から述べていますが
"安保"に完全に乗り遅れた世代
ということとも関係あるのでしょう。
 
同世代の活躍している映画監督は誰に
なるのかな?
漫画家は沢山いますね。
あだち充
いしかわじゅん
いしいひさいち
、、
「内に秘めたる大いなる野望」
とでもいうべき世代か(^^)

投稿: kuroneko | 2012年9月 3日 (月) 00時50分

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