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2012年9月16日 (日)

映画「インセプション」

「インセプション」

原題名: Inception
監督: クリストファー・ノーラン
脚本: クリストファー・ノーラン
撮影: ウォーリー・フィスター
音楽: ハンス・ジマー
編集: リー・スミス
出演: レオナルド・ディカプリオ,渡辺謙,ジョゼフ・ゴードン=レヴィット,エレン・ペイジ
時間: 148分 (2時間28分)
製作年: 2010年/アメリカ・イギリス

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)  
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他人の夢の中に入れる「装置」を使用して、ターゲットの人間の
夢に入り込み、"真意"を知ることや、特定の意志を"植えつける"
ことをビジネスにして生きて来た男コブ(レオナルド・ディカプリオ)は
ある仕事を依頼される。コブは仲間を集め、ミッションを開始するが。。

  

 まずは、今時珍しくも『作品の世界観全て』を脚本と製作の初期
段階において全くのゼロ(無)から映画の為だけに企画を作り出し、
その人間が監督までも務めてメジャー作品として公開されて、しかも
しっかりとヒットしたことにクリストファー・ノーランと、彼を支えた各セク
ションの人々に拍手を送りたい。巨額の資金が必要とされるメジャー
映画作品において、最初の企画段階から最後の肯定まで現場の
スタッフ(監督)が一貫して通して関れるなんてハリウッドにおいてさえも
年々厳しくなるばかりの状態であろう。いわんや日本の映画界をや。

 一つ一つの線が徐々に繋がり、その線が束になり、さらに線同士
の距離が縮まって、後半に向けてしり上がりに盛り上がる展開は、流石
実力と実績十分の当代一流の映画監督の仕事である。セット感丸出しの
冒頭のシーンは"夢の中"が主要な舞台だけにチャチな雰囲気は計算かと
思えるほどの最後にいけばいくほど、映像のクオリティも増していく。多分
「ダークナイト」(2008)で限定的に使用していたアイマックス(IMAX)社の
高解像度のフィルムを本作では後半により多様しているもではと勝手に
推測すのだがどうだろうか。

 本作の公開時の最大の売り物で呼び物である「人の夢(頭)の中の壮大
なる映像化」という点そのものは予想通り?個人的には期待を超える出来
では"なかった"。CGはそれでけでは、人間の『視覚』というシステムを
凌駕するのは無理なのではと思う。出来上がった映像としての出来は「無い物
ねだり」は置いておいて充分に楽しめるハイクオリティであり、作った側のスキル
とセンスには何の問題もなく当然であるが素晴らしい。

 後半の見せ場の一つ敵の車に囲まれた狭い範囲でタクシーをゴツゴツ
当てまくるカーアクションシーンが◎。 クリストファー・ノーランの作品は
「ダークナイト」シリーズでもそうであるが、「物を壊す」見せ方がとても上手く
しかも一つ一つのシーンがカッチリとしていてとても心地よい。お客が喜ぶ
ステーキ肉の"厚さ"を熟知しているとでもいうところか。"マテリアル"全般
や細部のギミックへの捉え方の姿勢においては「ターミネーター」シリーズ
「アバター」でお馴染みののジェームズ・キャメロンととても良く似ていると思う。
ジェームズ・キャメロンは登場人物(主に女性)の視点に物語とカメラが集約
されていくのに対し、クリストファー・ノーランはあくまでも、舞台全体をくまなく
見渡す見せざる神の視点で、特定の人間に入れ込むことはない。

 「夢の中」を厳格に定義しようとすればするほど、「現実」との境界がアヤフヤに
なるという安易なこれまで使い古された(借り物の)定義ではなく、

「現実もまた夢の一つに過ぎない」だが、やはり『現実』の優先順位は
常に高い

とはっきりと謳っている。

 また、安易なお約束事で仲良しやチームワークを感情表現してしまうのでは
なく登場人物達は皆、「この世界」の孤独な住人として人間として誇りを持って
生きるからこそ安易に仲間を裏切らず、安直な恋愛感情を持たず軽はずみな
友情を持ち出さないのもクールだ

 日本人がメインキャストの一人を務めて、日本でのロケシーンも出て
くるけど、何十年前から一向に代わらずに"東京タワー"(手前で大写しの
デカプー君)と"新幹線"(架線と田園風景)かよ。と思わずスクリーンに
突っ込み。それなりに"ロケハン"したのだろうけど、見つからなかったのか

コレとコレ撮っとけば日本になる

という映画撮影マニュアルに乗っ取ったに過ぎないのか。。幾ら時間が経っても、
情報や金が共有化されても、融け合うことを拒否しあう"something"がとても興味
深く、同時にその断層の深さと大きさに脱力感は否めない。

 「ダークナイト ライジング」(2012)で演技的にも役どころとしても縦横無尽の
大活躍をするジョゼフ・ゴードン=レヴィットが本作でも無駄の無い"クール"な
演技をみせている。まだ30才を越えたばかりで、尊敬する俳優はダニエル・
デイ=ルイスとゲイリー・オールドマンとのこと。会社を経営するビジネスマン
でもあるとのことで、抑制の効いた演技も納得のキャリアだ。コメディもシリアスも
自在に演じられるオーラが出まくっていて、映画界を盛り上げていってくれること
間違い無しの将来有望な俳優の一人だ。また、「プラトーン」(1986)での敵役で
大いに気を吐いたトム・ベレンジャーが余り目立たない役だけど出演していて何と
なく嬉しい。もう還暦越え(63歳)!

 日本人と日本を描写した外国映画の暫定一位は個人的には依然として
リドリー・スコット監督の傑作「ブラック・レイン」(1989)であるが、本作及び日本
代表として作品そのものとデカプー君と堂々と渡り合った渡辺謙にも拍手。
そう言えば、渡辺謙は「ブラック・レイン」で高倉健が演じたポジションも
完全に継承出来る実力とキャリアを備えている。これからも作品を良く
選んで、体調管理に気をつけて国内外で縦横に活躍して欲しいものだ。
ラストのスッキリ感と余韻も「ブラック・レイン」と本作は少し似ている。2時間20分
という長い尺も特に気にならなかった。

 クリストファー・ノーランの脳内だけにあったインスピレーションの固まりが、
無数の行程を経て、この作品に結実し、さらに多くの人間の手を経て世に放たれ、
巨額のマネーが動く。本作の企画の瞬間から公開までの過程自体が、
「インセプション」というシステムそのものであるとえるのではなかろうか。

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コメント

これはまだ読まないでおこう・・・
 
いちおー買ってありますDVD
 
例によってまだ見てないですけど・・・

投稿: 万物創造房店主 | 2012年9月16日 (日) 22時39分

クリストファー・ノーランは
進化し続けている最重要人物の一人かと思いますので
この作品はサクサクと観て、次のステージを
どんどん楽しんでいったらいいかと思いますね。
 
「インスソムニア」(2002)
「バットマン ビギンズ」(2005)
「プレステージ」(2006)
まだ観てないんすよねー
  
クリストファー・ノーランの特集上映どこかやってくれー
最新作が楽しみ!
(≧∇≦)
頑張れ! クリストファー・ノーラン!!
スゲー作品をもっと作ってもっと金持ちになって
さらにスゲー作品をもっと作ってもっと金持ちになって
皆(観客)をハッピーにしてくれ!
君ならやれる!!
( ̄ー+ ̄)

投稿: kuroneko | 2012年9月17日 (月) 01時37分

「インソムニア」は
リメイク前よりそれほどよくなった感はありませんでしたね
 
監督より
アルパチーノ
ロビンウィリアムズ
ヒラリースワンク
あたりの力っぽいです
 
僕としては
「メメント」の編集の仕方がめちゃ好きですね
あれはすごい

投稿: 万物創造房店主 | 2012年9月18日 (火) 20時36分

>「インソムニア」
 
そうですかー
観る時、参考にします(^o^)/
 
>「メメント」の編集の仕方がめちゃ好きですね 
 
こちらも観るの楽しみになりました。
面白かった時は大概[編集]が良いと感じますね私は。
 
 
「メメント」の編集はドディ・ドーンという人がやってますね。
 
ドディ・ドーンは「キングダム・オブ・ヘブン」(2005)もやってますね。
リドリー・スコットが斜陽に入りかけた時期でしたが
まあまあだったかな。
出演者は 
オーランド・ブルーム
リーアム・ニーソン
ジェレミー・アイアンズ
 
世界的に"イケメンブーム"の最中だった時期の作品(^^)
そこが鼻につくぜ(←負け犬の遠吠え)
 
「ダークナイト ライジング」は
165分もあるのに最初から最後まで全く飽きずに観れました。
こちらは 
リー・スミスという人がやっていますね。

トゥルーマン・ショー (1998)
戦争のはじめかた (2001)
ダークナイト (2008)
  
まだ50代前半で見事なキャリア。
トゥルーマン・ショー観る機会を何度か逃してしまって
いて是非観たい作品の一つです。

投稿: kuroneko | 2012年9月19日 (水) 00時36分

>「ダークナイト ライジング」
まぁまだ「ダークナイト」さえ見てないんで
そのうちセットで買って
日本語吹替でみたく思います
 
>トゥルーマン・ショー (1998)
昔、ビデオで見ましたけど
設定がありがちなわりに面白かった気がします
何回も見たい感じまでではないですけど

投稿: 万物創造房店主 | 2012年9月19日 (水) 18時28分

「ダークナイト」
「ダークナイト ライジング」
はどちらも、出演俳優さん達の声も芝居も良いので
字幕版も是非!

マイケル・ケイン
ヒース・レジャー
ゲイリー・オールドマン
モーガン・フリーマン
 
「ライジング」では
キャットウーマン役のアン・ハサウェイが
ルックスが"完璧"でやばかった(^^;)
演技も良かったですが
 
私のオールタイムベストにランクインの
戦争映画の秀作
「メンフィス・ベル」(1990)に出演していた
マシュー・モディーン
を久しぶりに観れて嬉しかったですね。
 
「バットマン ビギンズ」も含めて
三部作を劇場で通しで観たいすね( ̄∇ ̄)
 

>設定がありがちなわりに
 
この作品の後に「普通のよくあるプロット」
になったような感じがしますね。
日本で僅かな期間でしたが一世を風靡した
(してねーか^^)ジム・キャリーも、50歳か、、

投稿: kuroneko | 2012年9月20日 (木) 01時03分

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