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2012年12月29日 (土)

映画「めし」

「めし」

原題名: めし
監督: 成瀬巳喜男
脚本: 井手俊郎,田中澄江
撮影: 玉井正夫
音楽: 早坂文雄
美術: 中古智
出演: 上原謙,原節子,島崎雪子,風見章子

時間: 97分 (1時間37分)
製作年: 1951年/日本 東宝

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)  
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倦怠期を向かえた夫婦(上原謙,原節子)の日常を名匠成瀬巳喜男
が描く。原作は戦中・戦後にかけて一時代を築いた林芙美子。

 

 地味な内容の作品であるが、スタッフ・キャスト共に豪華。早坂文雄
は言うまでもなく、撮影の玉井正夫は「ゴジラ」(1954)、「山の音」(1954)、
「武蔵野夫人」(1951)などの名作を手掛けていて50年代が全盛期と
言える活躍をみせている。

 脚本は詰め込み過ぎの感があるが、成瀬はそれを等間隔にきちんと
プロットして上手く破綻の穴に落ち込まないで見せている。上原謙は奥さん
の気持ちを汲めないダメ夫を上手く演じていて後半の僅かな時間の
展開に絶大な効果を発揮している。

 某アニメ映画監督が本作を好きだと述べていたのが鑑賞した大きな
理由だが、その某氏の作品にカメラワークや人物描写の点において
少なからず活かされているように思われ、本作からの影響であるかどうか
興味深い所。

 成瀬作品の中では余りいい出来ではないと思う。全体的に切り込んでい
ない印象、取って付けた感が否めない。。と思ってウィキペディアを読んで
みたら、林芙美子の原作は未完で本作公開年に逝去しており、結末は
成瀬によるものであるとか。実際に"取って付けた"ものだったということで
納得。

 元々未完の原作だけに上原謙と原節子という当時の日本を代表するような
美男美女がごくごく普通の夫婦を演じるというところのギャップの面白さを
演出と脚本でこなしきれていない点を素直に楽しむべきなのかもしれない。

 原節子が思いに耽って何気なく土手を歩き、カメラはパンしていくが、
そのシーンの何気なさに遥か遠くに過ぎ去ってしまった「日本」の、邦画
の断片に内容とは全く別の感動がこみ上げてきた。

 本作の制作スタッフであれば、現代の東京を舞台にしても素晴らしい
作品を作り上げたことだろう。市井の民の一見退屈と思われる日常の中の
非日常を彩り豊かにに切り取ってみせたことだろう。

 成瀬が率いる現場スタッフは何を捨て、何を守ろうとしたのか、是非観て
ほしい一遍。

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