映画「日本橋」
「日本橋」
原題名: 日本橋
監督: 市川崑
脚色: 和田夏十
撮影: 渡辺公夫
美術: 柴田篤二
出演: 淡島千景,山本富士子,若尾文子,品川隆二,船越英二
時間: 111分 (1時間51分) カラー
製作年: 1956年/日本 大映
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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日本橋の界隈を拠点とした二人の女芸者と男達のある情念の物語。
原作は泉鏡花。
芸者達と男達の意地と情念がひたすらぶつかり合い、ある者は命を落とし、
ある者は人生を捨て、ある者は精神を病んでいく、、市川崑の生涯最大の
協力者にして伴侶でもある和田夏十の脚色が素晴らしい。といいつつ原作を
読んだことがないが、映画としての作りこみの完成度が高く、台詞も研ぎ澄ま
されていてシナリオをそのまま読んで楽しみたい完成度。
戦後も10年が過ぎて、何かが狂いだし、何かが暴走し始めていく時代。
あらゆる物が緩みだし、敗戦と一緒に日本的な『何か』が融解し出しているとう
危機感と焦燥感が画面から感じられ、フィルムにその『何か』を焼き付けようと
する製作者側の強い思いも感じられる。
損得勘定ではなく、"情念"のより強い方が勝者であり、相手より自分の情念が
劣ると自分の心が認めた限りは、それを偽ることなく白状しなくてはならない。
それが親の仇であろうと命を賭けた恋の相手だろうと、自分の情念が通じないと
一瞬でも思った限りは負け犬であることを潔く認めるしかなく、認めないのは
犬畜生以下と蔑まれても文句はいえない。『矜持』のようなものか。
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