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2013年7月21日 (日)

映画「裁かるるジャンヌ」

「裁かるるジャンヌ」

原題名: La Passion de Jeanne d'Arc
監督: カール・Th・ドライヤー
脚本: カール・Th・ドライヤー
撮影: ルドルフ・マテ
出演: ルネ・ファルコネッティ

時間: 96分 (1時間36分)
製作年: 1928年/フランス

(満足度:☆☆☆☆☆+)(5個で満点)
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 まるで、当時の本物の、ジャンヌ・ダルクの弾劾裁判を隠しカメラか
監視カメラででも撮影したかのような不気味なまでのリアル感と、効果
的なクローズアップの使用で、ジャンヌと裁判官達の細かな表情を拾い
尽くしていてる。

 神の名の下に、教会の権威と、書物から得たに過ぎない知識をフル
動員してジャンヌに誘導尋問を仕掛け、嘲笑し、屈服させようとする
司祭達に対して、文字すらも読めずに、権威者達の表層に過ぎない
圧迫に屈せずに、正真正銘に"たった一人"己の正当性を主張し
闘い抜くジャンヌの奮闘にただひたすら胸が詰まる。

 ジャンヌを演じた女性も、周囲の悪役側の人間達も"演じている"という
域を超えた自然さ、特にジャンヌを演じているルイーズ・ルネ・ファル
コネッティは、魂を削るかのような熱演で、人々の理念・理想としての
『ジャンヌ・ダルク』を体現している。本作の演技の為に寿命を縮めた
のではなかろうかと思えるような、表情の一つ一つ、目の動き一つ一つに
結果的に"正しい"存在であったかどうか、"神の子"であったのかどうか
ということの一切を超越した「人間の心の発露としての正義」を感じた。

 一瞬たりとも目が離せない一級の密室劇から後半は激しい動きの
あるモブシーンと、ジャンヌを裁く側の動揺なども描かれ、群集劇へと変化
していく。個人的な好みとしては、ジャンヌが一度は教会に屈服して
自分に罪があることを認めて、命を救われる代わりに丸刈りにされるが、
火炙りの刑と引換えに自身が正しいことを敢然と主張するところで
終りでよかった気もする。

 幾ら金を無尽蔵に注ぎこんだところで、世界中からスタッフをかき
集めたところで本作のただの数秒のシーンも撮れない者には撮れない。
大変な傑作。

 "撮れる者"が撮れ。"演れる者"が演れ。"(脚本を)書ける者"が書け。
"衣装を用意できる者"が用意しろ。"美しく適確な光をあてられる者"が
役者とセットに光をあてろ。"セットを作れる者"が作れ。彼らを限られた
予算で適確に集めて配置できる人間がプロデューサーをやれ。
なんて、難しい!なんて、不可能な!そして、何と楽しい。。
 
  
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ジャンヌは次第に近づいてくる。朝の太陽は、壁に高く仕切られた窓を通して、
光芒となって射しこんできた。たちまちジャンヌは、すっかり光をあびて、しばし
立ち止った。彼女は自分にむけられた多くの眼差しに気がつき、いならぶ人々の
冷酷さと、そして恐ろしいまでの権勢に動じたからだ。彼女は、忌わしいこの
雰囲気に圧迫され、二、三秒たじろいで眼をとざした。
   
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(シナリオから)
 
 
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