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2013年8月 3日 (土)

映画「夜の女たち」

「夜の女たち」

原題名: 夜の女たち
監督: 溝口健二
脚本: 依田義賢
撮影: 杉山公平
音楽: 大沢寿人,中沢寿士,M・S・C楽団
出演: 田中絹代,高杉早苗,角田富江

時間: 73分 (1時間13分)
製作年: 1948年/日本 松竹

(満足度:☆☆☆☆+)(5個で満点)  
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 大女優田中絹代の夫を戦争で亡くす未亡人から会社社長の愛人を経て、
「世の中の男という男」に復讐を誓って身も心も娼婦へと堕ちていく様が
最大の見所。中盤以降から、クライマックスまでの、

女達の、女達による、女達同士の"ど突き合い"

が笹くれだった嫌な感じがやたらとリアル。溝口の他作品にも濃厚に
見られる氏特有の冷徹厳正且つ公正なる「神の目」の視点は、本作に
おいても充分に発揮され、服は引き裂かれ、靴は脱がされ、バッグは奪われ、
中身を散乱させられる"同じ女同士ゆえの"凄惨さと、リアルさ、カメラは
ただひたすら彼女たちを捉え続ける。溝口は、登場人物達を「人」としての
「道徳心」や「モラル」を捨てるか否かの崖っぷちまで追い込み、その
境界線上から必死で"戻って"こようとする様を観客と共に見届けようとする。

 脚本の依田義賢(よだ よしかた)は、溝口と組み、これからも後世に
多大な影響を与え続けるであろう傑作・名作を数多く手掛けている。

「愛怨峡」(1937)
「残菊物語」(1939)
「雪夫人絵図」(1950) 
「武蔵野夫人」(1951)
「祇園囃子」(1953)
「新・平家物語」(1955)
他。

また、依田はかの「スターウォーズ」サーガ(Ⅰ~Ⅵ)における超重要人物(?)
ヨーダのモデルと言われていることでも有名。

 撮影監督の杉山 公平(すぎやま こうへい)は、管理人(kuroneko)の
溝口作品ベスト1にして、鑑賞した全映画作品中のオールタイムベストにも
入るであろう偉大なる傑作「元禄忠臣蔵」前・後編(1941,42)を担当している。

 田中絹代は、姿容そのものではなく、その「姿勢」の"凛とした振る舞い"に
母性があり、時にエロスがある。娼婦に堕ちて、咥え煙草で口汚い言葉を
幾ら喋ろうとも、次の瞬間のシーンでは、気品ある女性として成立しており、
それを観ていて何ら矛盾を感じさせない女優なんてそうはいないだろう。
やはり、大女優の名に相応しい

 ラスト、"足抜け"をしようとする者を容赦なくリンチしようとする女達とその
光景を静かに見下ろす壁面に刻まれたマリア像は、彼女達と、大戦終結
まもない混沌とした世相に一体何を見るのか。。

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