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2013年10月27日 (日)

映画「連合艦隊」

「連合艦隊」

監督: 松林宗恵
脚本: 須崎勝彌
撮影: 加藤雄大
音楽: 服部克久,谷村新司
美術: 阿久根巌
編集: 黒岩義民
特殊効果: 渡辺忠昭
特技監督: 中野昭慶
出演: 永島敏行,金田賢一,小林桂樹,高橋幸治,丹波哲郎,佐藤慶,安部徹

時間: 146分 (2時間26分)
公開年: 1981年/日本 東宝

(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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真珠湾攻撃の立案時から、航空母艦「瑞鶴」のエンガノ岬沖海戦における戦没を
ハイライトシーンに迎えて、大和の沖縄特攻作戦菊水一号作戦までを二つの家族に
焦点を当てて描いた大作。

 

 全体のバランスとしての完成度は高い。瑞鶴、大和の特撮シーンと瑞鶴の大規模な
甲板セットのシーン、登場人物達を描くドラマ部門、この手の作品としては各パートの
融合はかなり上手くいっていると感じられ素直に拍手を送りたい。勿論、欠点を挙げれば
幾らでも上げられるがこういった「細部と全体の両方を描いてしまうおう」という最初から
数え切れない難題があると判って製作に挑む作品は観客も"加点法"で観てあげるのが
"礼儀"であり、"作法"であり、何よりも"映画を楽しむ方法"ではなかろうかと思う。

 「主役」の瑞鶴は太平洋戦争における最大級の謎の一つレイテ島への特攻を
敢行する"はず"だった栗田艦隊の所謂「謎の転進(反転)」における一連の作戦の囮役
を果たした航空母艦であり、栗田艦隊が転進してしまうにも関らずあくまでも
囮としての役割を全うし、散華する姿は涙を誘わずにはおれない。傾斜し、沈みゆく
瑞鶴の特撮パートの演出も見事だった。

 終盤での菊一号作戦開始時における中井喜一演じる青年の操縦する特攻機から
見える大和のシーンの合成とカメラワークは、あらゆる制約にがんじがらめの特撮
戦争物としては非常に良い出来であると思う。スタッフに拍手を送りたい。

 役者達の中では実際の戦時中に特攻機の出撃を整備兵として見送ったとされる
伊藤整一を演じた鶴田浩二の引き締まった演技が強い印象を残す。

 監督の松林宗恵と脚本の須崎勝彌は共に戦争体験者であり、このコンビは本作に
おいては「成功している」と言えよう。ウィキペディアによれば製作費10億円に対して、
興行収入換算で約32億円を叩き1981年公開の邦画作品においては興行収入・観客動員
数において共に1位を記録したとのこと。同コンビによる「潜水艦イ-57降伏せず」(1959)
も何度か見逃しているが、是非観たいものだ。

 特撮シーンは過去の作品からの使いまわしが多いそうだが、知らない者には特に
関係なく充分楽しめる作品であると思う。

 以下、三人の主要登場人物の実像と足跡について。

宇垣纏(うがき まとめ)(高橋幸治 演)・・・特攻指導者の一人ということと、玉音放送後に
敢行した複数機を従えての特攻作戦は後世の批判は免れない。劇中では肯定的な
人物として描かれている。

栗田健男(くりたたけお)(安部徹 演)・・・戦前から終戦時まで実戦経験が最も長い
ベテラン指揮官として名を残す。レイテ沖における「謎の反転」の真相については
未だに諸説あり定まっていない模様。劇中では否定的にヒール役として描かれている。

伊藤整一(いとう せいいち)(鶴田浩二 演)・・・"人物である"として当時より評価が高い。
日米開戦に反対した。第2艦隊司令長官として大和と運命を共にした。中井貴一が
演じた特攻出撃する大和を空から護衛する役割を息子の伊藤叡(あきら)中尉が実際に
行っている。 護衛戦闘機の出撃を命じたのは、宇垣纏であった。伊藤叡は父の特攻を
見送り、自身も同年の4月28日に神風特別攻撃隊員として出撃し沖縄海域で戦死した。

 ウィキペディアによれば、真珠湾攻撃に参加した日本の空母6隻のうち、「最後まで
残った」のが瑞鶴であり、作戦に参加できた『最後の』空母でもあった。瑞鶴の沈没は
アメリカにとっては、真珠湾攻撃における最後の仇討ちであり、日本海軍にとっては、
艦隊の組織的運用が『不可能』になったことを意味した。瑞鶴の誕生から消滅
までの軌跡と担った役割は太平洋戦争という広大で深遠なる大河の中で決して小さく
はない。尚、同サイトには傾斜した瑞鶴の総員退艦時における貴重な写真を見ることが
出来る。

 

[連合艦隊]
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連合艦隊(れんごうかんたい、旧字表記聯合艦隊)は、旧日本海軍が二個以上の
常設の艦隊で編成した、非常設の艦隊である。日本海軍が使用した略称はGF
(Grand Fleet または General Fleet から)、本来の英語による連合艦隊は
Combined Fleetとなるため、帝国海軍の思考に則った和製英語を略称にしている。 
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[瑞鶴 (空母)]
================================================================
瑞鶴(ずいかく)は日本海軍の航空母艦。翔鶴型航空母艦の2番艦。太平洋戦争中、
真珠湾攻撃や珊瑚海海戦、第二次ソロモン海戦、南太平洋海戦などで活躍したが
1944年(昭和19年)10月25日エンガノ岬沖海戦で沈没した。瑞鶴はマリアナ沖海戦
まで一発も被弾しなかった幸運艦であった。

起工     1938年5月25日
進水     1939年11月27日
竣工     1941年9月25日
その後     1944年10月25日沈没
位置     北緯19度20分 東経125度51分

全長     257.5m
水線幅     26.0m

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(ウィキペディアより)

 

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コメント

旧日本軍の特撮戦闘シーン萌えますよねー
 
駿ちゃんをはじめ
兵器大好きっ子は世の中にいっぱいいるようで
 
戦闘機アニメ
ストライクウッチーズ
http://s-witch.cute.or.jp/first/
(ヒロインが震電装備するのがアツイ)
 
戦車アニメ
ガールズ&パァンツァー
http://girls-und-panzer.jp/
(八九式中戦車が好き!弱いけど…、上記サイトから八九式のペーパークラフトダウンロードできます)
 
が作られたかと思えば
 
艦隊アニメ
蒼き鋼のアルペジオ
http://www.aokihagane.com/
が放送中
 
日本のアニメ色々考えるなー
 
プラモメーカーが旧金型を使いまわして
外身だけ変え
アニメ仕様にしてプラモを売ってるのもすごい

投稿: 万物創造房店主 | 2013年10月28日 (月) 21時41分

>旧日本軍の特撮戦闘シーン萌えますよねー
 
ですね。d(≧∇≦)b
本作は音楽も渋くて良いです。
 

>駿ちゃんをはじめ
兵器大好きっ子は世の中にいっぱいいるようで
 
「風立ちぬ」
流石、引退作で5年かけただけあって、"っっっぱねーー"
兵器愛と反戦の屈折振りが良かったっすd(≧∇≦;)b
 
>日本のアニメ色々考えるなー
 
フィクションを極力排除した
CGと実写を駆使した
「坂の上の雲」を10倍硬派にしたような作品を観たいすねー
( ̄ー+ ̄)
 
>アニメ仕様にしてプラモを売ってるのもすごい
 
プラモは本来はニッチな世界ですから
あの手この手の手法を失ってほしくないすね。
反グリーバリズムでやってほしいっす
もう買うことも滅多にないだろうけど。。

投稿: kuroneko | 2013年10月29日 (火) 01時15分

>もう買うことも滅多にないだろうけど。。
買いましょうよ…(-_-;)
 
僕はガンプラを応援しているので
(オールメイドインジャパンだし)
50個ぐらい作ってないガンプラが貯まっています
 
さらに
桜花試験飛行カラーも買ったまま…

国立アメリカ空軍博物館に実機あるみたい
http://blogs.yahoo.co.jp/besshohidetoshi/53811091.html
 
ほんとは秋水とか震電も作ってみたいんですけどね…

投稿: 万物創造房店主 | 2013年11月 1日 (金) 20時09分

>買いましょうよ…(-_-;)
 
作らない自分に嫌気が、、(ーー;)
 
>ほんとは秋水とか震電も作ってみたいんですけどね… 
 
戦艦とか空母とかは作りたい気はしますねー
正確に言うと「見たい」んですけどね。
大和ミュージアムに大きくて非常に精巧な戦艦の模型が
沢山あって眼福でした(^o^)
呉はまた行きたいなー本物の潜水艦も近くで見れるし。

投稿: kuroneko | 2013年11月 2日 (土) 01時05分

この記事へのコメントは終了しました。

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