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2013年10月13日 (日)

映画「人魚伝説」

「人魚伝説」

原題名: 人魚伝説
監督: 池田敏春
脚本: 西村琢也
撮影: 前田米造/水中撮影: 村征夫
音楽: 本田俊之
美術: 小川登美夫
照明: 井上幸男
出演: 白都真理,江藤潤,清水健太郎,宮口精二

時間: 110分 (1時間50分)
製作年: 1984年/日本 ディレクターズ・カンパニー

(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)
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 邦画史に燦然と輝く足跡を残した「ディレクターズ・カンパニー」の第一回作品。

作りたい作品(イメージ)を作る

という気概は画面から充分に感じられ、

エロス殺戮「融合度の高さ」

でいうと、自分の中では暫定1位と言える作品かもしれない。

 オープニングがとても美しい。海人の白都真理が海に潜り肢体が画面の縦になった
ところでブルーのタイトル「人魚伝説」が入る。"伝説"という言葉と、水中撮影の幻想的
な雰囲気と白都真理のスタイルの良さが相乗効果を果たしている。

 主演の白都真理の端正な美しさとエロさがこの作品のテーマそのものをガッチリと
支えている。画面構成もとても巧みで上手い。

 主人公の佐伯みぎわのほとんど唯一の協力者となる老人を最晩年の宮口精二
他の出演作品と同様に誠意の感じられる丁寧な芝居が神々しい。出演シーンは短い
ものの作品全体を錨のように安定させて、引き締め、高めている。

 夫を失った美貌の未亡人が田舎で独りとなり、さらに原発という巨大な利権と絡むと
どうなるか、暴力が暴力を生み、壮絶なまでの孤独がエロスをさらに際立たせる。終盤の
大殺戮シーンに向かって『怒り』はただひたすらに蓄積されていく。

 彼女の殺人行為が見ていてあざとく感じないのは、暴力そのものを正当化する シーンが
ただの一つもないことだ。殺戮は悪に対する力の行使ではなくて 侮辱され、凌辱され
続け、余りに一方的に失ったことに対する"報復そのもの"だからだ。

 男達に弄ばれて、現世における何もかも失った彼女は巫女のような超人的な力を
得るようになる。生命エネルギーが怒りにより増幅されて殺戮することだけに純粋に
注がれるようになる。そうでなければ、数人斬り殺したところで取り押さえられるだけだ。
最初から描かれている彼女自身の溢れる生命エネルギーが殺戮にのみ向かっている
から斃されることは決してない。"全て"が終わるまでは。

 「力(Power)」の行使の矛先が何から何まで混沌としているか、あからさまに誤って
おり、人々はその利権をちゃっかりと享受しながら幸せを実感できず、虚しさと荒涼感
だけが広がっている。

 80年代を代表する一本ではなかろうか。

 宮口精二は本作製作の翌年に71歳で他界。監督の池田敏春は2010年に入水自殺
をしている。21世紀のディレクターズ・カンパニーが作られてもよい頃だ。
 
 

[ディレクターズ・カンパニー]
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1982年に、当時新進の映画監督9人が設立した。大手映画会社に頼っていては
自分たちの希望する映画は作れないとの趣旨で、団結することとなった。

1984年封切りの池田敏春監督の『人魚伝説』が、本格的劇映画第一作目となる。
1985年に『台風クラブ』、1986年に『犬死にせしもの』のヒット作が出るものの、
興行成績は芳しいとはいえなかったとの指摘がある。

 
設立メンバー

石井聰亙
井筒和幸
池田敏春
大森一樹
黒沢清
相米慎二
高橋伴明
根岸吉太郎
長谷川和彦

宮坂進 - 社長
長谷川安弘 - 副社長
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(ウィキペディアより)
 
 
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コメント

これ
昔から観たいと思って
観れてない映画ですね

DVDも超レア価格ですしー

投稿: 万物創造房店主 | 2013年10月16日 (水) 16時58分

>DVDも超レア価格ですしー
 
製作元にきちんと売り上げが入って、
観たい人も適正な価格で入手して観れて満足。
そんな風になったらいいすねー本当に。

投稿: kuroneko | 2013年10月17日 (木) 23時35分

放射能がどったらやから出ないなんてことではないのでしょうか?
まー中身観てないんでなんとも言えないですけど…

投稿: 万物創造房店主 | 2013年10月18日 (金) 21時43分

>放射能がどったらやから出ないなんてことではないのでしょうか?
 
原発=利権=暴力=殺人
という割と判り易い描き方だから逆に違うと思いますね。
検索しまくれば判るのだろうけど例によって推測をして
楽しんでいたいすね。
 
思うに
ディレクターズ・カンパニーが完全に消失していて
権利関係を引き継ぎ整理してという組織が無いことで
どこかが販売しようとしても頓挫するというところかと。
 
サラッと再販される気もしますな。
期間限定とかで。
 
なんせ、エロい(゚〇゚;)
なんせ、殺しまくる(゚〇゚;;)
それでいて最後は不思議なくらい清涼感がある。。(・ρ・*)
 
ええ作品です( ̄ー+ ̄)

投稿: kuroneko | 2013年10月19日 (土) 00時14分

>なんせ、エロい(゚〇゚;)
>なんせ、殺しまくる(゚〇゚;;)
>それでいて最後は不思議なくらい清涼感がある。。(・ρ・*)
 
こいつは…
超観たいっ!

投稿: 万物創造房店主 | 2013年10月19日 (土) 18時08分

是非!
d(≧∇≦)b

投稿: kuroneko | 2013年10月19日 (土) 23時52分

ようやく去年
やっとこさのDVD再販
 
デジタルリマスター
しかも85分の白都真理インタビュー付
 
なかなかがんばりましたね
キングレコードさん
 
映画自体も傑作でした
邦画史に残る一本ですね
 
日本産リベンジムービー
いや世界のリベンジムービー中
ベスト1です
 
確実に何かが降りてきています(゜Д゜Uu)

投稿: 万物創造房店主 | 2015年2月15日 (日) 20時35分

>邦画史に残る一本ですね
 
ですねー(^-^)
私は自分映画史としても
数奇な出会いと再会となった一本でした
 
 
>日本産リベンジムービー
いや世界のリベンジムービー中
ベスト1です
 
最大級の賛辞ですねー
何だか自分で撮った作品を褒められた
かのように嬉しいですね(≧∇≦)
 
 
>確実に何かが降りてきています(゜Д゜Uu)
 
製作陣は我々の想像以上に
「何かを変えよう」として撮っていたのかもしれません。
ほとんど全てのショットでの不穏な感じは尋常じゃなく
そして素晴らしいですね。
 
今後再評価され続け賞賛され続けていく
作品に違いないです。

投稿: kuroneko | 2015年2月16日 (月) 00時55分

そういえば
ひとつ気になったのは
ボカシです
今の基準では明らか大丈夫だろうと思われるシーンでも
モシャモシャボカシが出て
うざいことこの上ない

作品がカットされることに腹を立て日活をやめた池田敏春監督にとっては不本意なことだと想像できるので
デジタルリマスターの際に
まわりに調和する感じに修正してもらいたく思いました

投稿: 万物創造房店主 | 2015年2月22日 (日) 21時07分

>まわりに調和する感じに修正してもらいたく思いました
 
推測するに
"ボカシ"というのは作品とは別の規定で入れられてしまう
ものだと思うので、再修正することでよほど利益が見込めない
限り無理でしょうねー。
 
近い将来には、
作品の価値とリバイバルや再販の利益性から
ボカシやフィルムの傷を再度加工するという工程が
きちんとプロの組織により
継続的に計画的にやっていくようになるのでは
と期待します。
 
文化的な側面からアプローチされているのかも
しれませんが、作品全体の量からすると
余りにも僅かすきますね。
  
ところで、
  
池田敏春監督の亡骸の発見された場所って
「人魚伝説」の撮影場所だったのですね。
本人としてはよほど思い入れのあった作品だったって
ことですかね。
 

投稿: kuroneko | 2015年2月23日 (月) 22時36分

>池田敏春監督の亡骸の発見された場所って「人魚伝説」の撮影場所だったのですね。
 
らしいですね
たぶん投身自殺
 
>本人としてはよほど思い入れのあった作品だったってことですかね
 
本人の中でも最高傑作だったんじゃないでしょうか
だからこそ
もしゃもしゃをとってあげたい!

投稿: 万物創造房店主 | 2015年2月28日 (土) 23時22分

>だからこそ
もしゃもしゃをとってあげたい!
 
じゃーアプリ作りますか!
もしゃもしゃ除去アプリ
馬鹿売れ必至d(≧∇≦)b←そりゃそーだ

投稿: kuroneko | 2015年3月 1日 (日) 01時40分

>もしゃもしゃ除去アプリ
VHSの時代からありますよね
モザイク除去装置と言いながら
実はボカスだけのヤツ
 
作りましょうアプリ
性器が出てこなければ
もしゃもしゃ取っても何ら問題ない気がします
 
ただ
多くの人がチャレンジして
今のところできてないソフトらしいですよ
 
モザイクの部分の検出が難しいらしいです

投稿: 万物創造房店主 | 2015年3月 7日 (土) 18時22分

>実はボカスだけのヤツ
 
そういう"ハッタリ"との出会いも
大人になってみれば楽しい(or苦い)思い出
でまあいいんじゃないかと(^^;)

 
>性器が出てこなければ
もしゃもしゃ取っても何ら問題ない気がします
 
名付けて「愛のコリーダ」方式ですねー(≧∇≦)
 
 
>多くの人がチャレンジして
今のところできてないソフトらしいですよ
モザイクの部分の検出が難しいらしいです
  
そうなんすかー(´・ω・`)
 
  
何か語感が気に入りました(^-^)/
「"もしゃもしゃ"がさぁ、、、(ーー;)」

投稿: kuroneko | 2015年3月 8日 (日) 23時35分

>名付けて「愛のコリーダ」方式ですねー(≧∇≦)

「愛のコリーダ」はモロ性器出てきますが…(-_-;)

しかも
キッチリ○が◎に入っている…

投稿: 万物創造房店主 | 2015年3月21日 (土) 17時14分

>キッチリ○が◎に入っている…
 
ブログにも書いた通り
男の方はやたらと立派に撮れておりましたね。
女性の方は思ったよりも遠慮気味だった
というのが自分の印象です。
"大島渚"というキーワードと密接な関連が
あるのでしょうね。

投稿: kuroneko | 2015年3月21日 (土) 20時21分

冒頭
殿山泰司の男性器に子供が雪球ぶつけるシーンからはじまりますしね…
 
まぁでも
現在出てるベティーブルーのDVDから考えると
勃起してない男性器は性器ではなくOKなようです
 
殿山泰司のは勃起してなかったのでOK
 
のはずなんですが
たぶん日本版はモザイクですね
 
女性のほうも
女性器に卵入れる場面もありましたし
そんなに遠慮気味な印象はないですね
僕の中では

投稿: 万物創造房店主 | 2015年4月17日 (金) 19時57分

>勃起してない男性器は性器ではなくOKなようです
 
なんつーか、、
何かがおかすぃと思うすが、、
何も言えねぇ(ーー;;)
 
 
>たぶん日本版はモザイクですね
 

率直な感想としては
劇場で大勢で男女入り混じって
ノーカット版を観る分には
 
勃起してない男性器
 
の方が微妙な迫力でした。
 
そーえば
斜め前の女学生二人は
微動だにせずに最後まで
見入ってたっつー感じでございました。
 

投稿: kuroneko | 2015年4月18日 (土) 01時05分

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