映画「未来への迷宮」
「未来への迷宮」
原題名: STROGIY YUNOSHA/A SEVERE YOUNG MAN
監督: アブラム・ローム
時間: 102分 (1時間52分)
製作年: 1935年/ソ連
(満足度:☆☆☆☆)(5個で満点)
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タイトル通りの長い長い森を抜けていく路のロングショットが印象的。
全体としては、ロシア映画とは思えない非モンタージュ的な手法と状況の推移
通りに展開していくカメラワークに驚き、何よりも(まだ)集団体制という『鎖』に繋が
れていないごく普通の若者達の「未来への無邪気な期待」と若さを謳歌する言動と
躍動感に終始驚く。
これから作られる(恐るべき)『体制』への無邪気な、期待余りにも無邪気で
無防備に屈託無く体制に心身を投じることに議論を費やす肉体的に健全に
発達した男女
= 「未来への迷宮」
存在しないようで、確固として存在する。そして実は極めて重苦しく空気の
ように隙間なく詰められている『体制』の存在が全空間に裏打ちされている
という点において、そして人々がそれらをまるで無いかのように過ごそうと
している点において「バリエラ」(1966)との共通性を感じた。
自分達という「世界」を超越していくには
『全てを"優れた者"(体制)に委ねれば良い』
という反証が難しい、それゆえにほんの少し先の自分達を含めたほぼ全人類が
未曾有の犠牲をもって払っていかねばならなかった「未来」を微塵も想像すること
なく議論に熱中する民生同盟の若者達。
体制という「未知なるものへの期待」という物質的に『存在し得ない』
ものにブラックホールそのままに数百年かけて培われた美意識・文化の何も
かもゴミ箱に入れて、またはタダ同然で交換してしまってなお、何処かへと
進み続けていく悲壮であり、滑稽でもある私達。。
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