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2014年7月21日 (月)

映画「春琴抄 お琴と佐助」

「春琴抄 お琴と佐助」

原題名: 春琴抄 お琴と佐助
原作: 谷崎潤一郎
監督: 島津保次郎
脚本: 島津保次郎
撮影: 桑原昴
美術: 脇田世根一   
出演: 田中絹代,高田浩吉,斎藤達雄,藤野秀夫

時間: 110分 (1時間50分)
製作年: 1935年/日本 松竹

(満足度:☆☆☆☆☆)(5個で満点)
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 お琴に忠義を尽くし、やがて「愛」にまで昇華する様が脚本と撮影・美術と
俳優達が一本のしなやかな線となってラストまで進む様が心地よい秀作。

 主人公の盲目の美少女お琴を演じるは田中絹代でこの時に年譜上では
20代過ぎであるが10代の可憐で且つ毅然と生きるお琴を完璧に演じている。

 田中は目の見えない役に徹する為に本作撮影中の準備中にはじっと目と
閉じていたという逸話があり、彼女の気合いの入った演技を見れば納得の
エピソードである。

 監督の島津保次郎はウィキペディアによれば大正・昭和中期まで活躍した
監督であり、現場をこよなく愛した監督であるとのこと。本作の公開時に
おいては、酷評する批評家と激しくやりあったとか。確かに、本作には終始
良い意味での緊張感がどのシーンにも常に感じられて、「お琴と佐助」の
残酷であり、この上なく美しくもある運命の物語と相乗効果を果たしている。

 島津保次郎門下からは豊田四郎や吉村公三郎を始めとした錚々たる
人材が羽ばたいていて、豊田・吉村両氏の作品に共通するものといえば
ワンショット・ワンショットの途から強さと気迫であり細やかさであり丁寧さ
であるようにも思う。彼らは本作では助監督として携わっている模様。

 「映画」とはフィルム(映像)に映していくだけではなく、
「何か大事なことを伝えていくもの」
だということが本作からも、島津保次郎の足跡と彼からバトンを受け継いだ
後続の人々とその諸作品からも如実に"伝わって"くる。

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映画」カテゴリの記事

コメント

最近
新藤兼人版春琴抄「讃歌」を観たのですが
春琴=女王様のSM関係と描かれてました
 
原作は読んだ事ないのですが
谷崎潤一郎なのでたぶんそれが正解でしょう
 
ゆえに
お琴に忠義を尽くし、やがて「愛」にまで昇華する様
というのは原作からやや外れているのではないかという気がしました
 
最初から虐げられるのも
下の世話をするのも
全てが幸せで仕方なかったのだと思います
 
そして田中絹代に
そういう歪んだ女王愛を演じることができてたのか…が気になるところであります

投稿: 万物創造房店主 | 2015年3月21日 (土) 17時50分

 
>春琴=女王様のSM関係と描かれてました
 
人間関係なんてものは所詮はSとMの関係式に
還元できるからまあいいんじゃないすかね(^^;)
 

>原作からやや外れているのではないか
という気がしました
 
ウィキペディアには批判を浴びたとあるので
外れていたのでしょうね。
  
映画にとって、原作というのはよくも悪くも
素材ですから
谷崎潤一郎の原作から
脚本・監督の島津保次郎は"純愛"を抽出したのでしょう。

大事なのはあくまでも
「『映画』として観てどうよ」
ということで島津保次郎の作りたい世界観は充分に
感じられて自分は良かったと思います(^o^)
 
  
>歪んだ女王愛を演じることができてたのか…
 
かなり良い演技だったと思いますよ。

投稿: kuroneko | 2015年3月21日 (土) 20時47分

>脚本・監督の島津保次郎は"純愛"を抽出したのでしょう
 
観てないから何ともいい難いのですが
*****は
ただの純愛からの流れでは不自然な気がするのですが…

投稿: 万物創造房店主 | 2015年3月23日 (月) 00時26分

>ただの純愛からの流れでは不自然な気がするのですが…
 
この映画はちゃんと理由付けは出来てますよー
「その結論」がいいのかどうかは観る人によってですけど。
監督の島津保次郎の原作を借りて脚本に託した熱い思いと
桑原昴のしっとりとりた落ち着いたモノクロ映像と
溝口健二が惚れただけはある
若かりし頃の田中絹代の気品さと。
 
ええ作品です(^-^)/

投稿: kuroneko | 2015年3月24日 (火) 00時54分

>*****は
 
ネタばれ防止のため
自主検閲させて頂きました。
すみませんがご了承ください。
m(_ _)m

投稿: kuroneko | 2015年3月24日 (火) 22時49分

>ウィキペディアには批判を浴びたとあるので
外れていたのでしょうね。
 
谷崎が批判したならともかく
一般のそこらへんの人だと
ただの多数意見ってだけですよね
 
SM=純愛って公式を認めたくない人、理解できない人もいっぱいいるでしょうし…
 
こればかりは
原作読んでみないとですね…
 
しかし
一緒にトイレに入らして
お尻拭かして
ンコを捨てさせて
佐助はンコを愛でてるんですけど
ただの純愛ですかね…(ーー;)
 
さすがに田中絹代にこのシーンはないですよね

投稿: 万物創造房店主 | 2015年4月17日 (金) 20時25分

>ただの純愛ですかね…(ーー;)
 
 
純愛だと思いますよ…(ーー;;) ←強気

投稿: kuroneko | 2015年4月18日 (土) 01時12分

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