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2014年8月 3日 (日)

kuronekoトラウマ映画館(二)

 
 
 
 

 特段、好きでも嫌いでもないが、ふと気付くと脳が勝手に
ある特定のシーンを思い出し、脳内で再生を始め、音楽が
流れる、、、

 そんな体験を、誰しもきっとお持ちであろう。

 そして、

 なぜ自分は"この作品"をかくも思い出すのではあろうか。

 と自問自答したこともおありだろう。

 自分にとってのそんな作品の一つが大林宣彦の「漂流教室」(1987)だ。

 原作は楳図かずおの同名の漫画であるが、出来上がった映画は
原作と余りに異なった作品となった為、大ブーイングとなったらしい
そのせいなのか、ウィキペディアによれば、ビデオが廃盤になった後は
ソフト化されていないようだ。

 自分は、原作の漫画を未だに読んでいないので、あくまでも映画
自体が『漂流教室』というコンテンツの世界観の全てである。正確に
言うと、映画の鑑賞後のずいぶん後に読もうとしたが、幸か不幸か
(多分、後者)か映画が先だったので漫画の方はすでに気分的に
受け入れられず現在に至る。

  
 

 神戸のインターナショナルスクールの学生達がある日、校舎もろとも
未来の地球にタイム・スリップしてしまう。そこは、果てしなく砂漠の
広がる荒涼とした世界だった。少年・少女達は「生きるための闘い」を
繰り広げていく。。

 
 

 この記事を書くために初めてスタッフ・キャストを確認してみると、
音楽はかの久石譲だった!どうりで長年に渡って脳内で音楽ばかりが
再生されるわけだ。謎が一つあっけなく氷解。

 とりわけ繰り返し思い出す(自分の意思に反し、脳が勝手に再生)
するのは今井美樹の「野生の風」の挿入歌で始まる主人公が自転車で
坂を下りていくオープニングと物悲しいピアノのソロ演奏により繰り返し
奏でられるメイン・テーマ?の曲と、ラストの主人公達が自分たちの生き方
を決意するシーン。

 主人公に抜擢された林泰文(はやし やすふみ)は公開当時は、自分の
記憶では「演技未経験で大抜擢された超大型新人!」という触れ込みで
「確かに演技上手くないなー。どう考えても"主人公顔"でもなーしなー
(失礼!)と思いながら劇場で観ていた記憶がある。調べてみると、子役時代
からきちんと活躍していて現在もキャリアを堅実に積んでおられる俳優さん
だった。

 全く""の無い主人公(重ねて失礼!)と大林マジックによる今井美樹の
美しい曲と歌の絶妙な挿入と思春期の少年・少女達の孤独と久石譲の
郷愁を誘う楽曲、、

 「映画」としての出来がどうあれ、原作無視がどうあれ、脚本がどうあれ、
劇中に登場する子供たち"まんま"ジャストに同世代だった自分にとっては、
世界観が充分に構築できているとは"全くいい難い"妖し過ぎる作りと
大人たちの不在(っつか文明から丸ごと切り離された)の中で

生きていかねばならない

これから判断力を身につけねばならない子供たち

奏でられる楽曲はどこまでも哀しく切なく美しい

 当時の未成年の自分とのシンクロ度が高かったのはこうして見ると
綻びだらけで奇妙な作品だったからこそ寧ろ十分に必然だったと言える。

 主人公が問答無用の強力なリーダーシップを発揮して、彼を中心に
ヒエラルキーが構築されてハッピーエンドという結末であれば記憶の
彼方に埋もれた作品となっていたであろう。

 将にアクシデントの何物でもない未来へのタイム・スリップによる
完全な孤立とチームワークなぞ望むべくもない絶望的な不和協音、
思春期、、考えるまでもなくそれは、『学校』というやっかいな閉鎖空間と
通過儀礼そのもので大林ワールドが遺憾なく発揮された作品だった
言えるのかもしれない。

 不完全な『明日』と次々と起こる想定外の出来事の連続と、本来
自分がするべきではないなんて言ってられねー決断と結末そこから、
さらに発生する『その次の明日という事態』、、

 そして、今日も今井美樹の歌声が脳内で鮮やかに奏でられながら
どこまでもパッとしない主人公の高松翔よろしく自分は坂道を無心で
下りていく。想像を絶する事態が『すぐ先の未来』に待ち受けている
とも知らずに、、、

  
 
 

 野生の風
 歌:今井美樹   
 作詞:川村真澄
 作曲:筒美京平

 ちょうど破り取られたチケットの文字のように
 思い出はもう何も約束はしないけど
 逢うたび変わってた記憶のスケッチ消さない

 最後まで そばにいて守れないの
 めぐり来る悲しみがわかってても
 ほほえんで さよならが言えないから
 いつの日か ひとりきり行くのなら

 野生の風吹く日に 今のすべてを捨てて
 今のすべてを捨てて


 

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コメント

知らないからこそ楽しめるというのはありますよね
それでしかわからない感覚も

ドラマは知りませんが、漫画版漂流教室はいいですよ
小学校が漂流するというのがいい。

投稿: ベジ太 | 2014年8月 8日 (金) 22時09分

>知らないからこそ楽しめるというのはありますよね
それでしかわからない感覚も
 
そうなんだよね。
将に
「それでしかわからない感覚」なんだよね。
この作品は。
原作を知らない、それゆえに
物語上じゃなくて
「作品自体そのもの」が『間違いなく漂流している』
緊迫感がこの作品には隅々まであって、
主人公とヒロインからして
微妙過ぎるミスキャスト振りが当時少年だった自分の琴線に
触れまくったすねー(^^;)
由緒正しいトラウマ映画。
 
>ドラマは知りませんが、漫画版漂流教室はいいですよ
小学校が漂流するというのがいい。 
 
当時、漫画の方は自分の周囲では絶賛されていたね。
もうじき遊京するので、漫画版の感想聞きたいすね。
ネタばれしない程度に(読むかもしれないので)
サミットで会うの楽しみにしています(^-^)/

投稿: kuroneko | 2014年8月 9日 (土) 01時48分

この映画見たはずなんですが
全く記憶にない…
 
今観ると面白いのかなぁ…
 
どっかにビデオあったような…
 
探してみよう…

投稿: 万物創造房店主 | 2014年8月11日 (月) 15時35分

>今観ると面白いのかなぁ…
 
色んな意味で面白いと思いますよー(^o^)/
突っ込み所満載過ぎて。
 
南果歩がちょっとエロかったよーな気がします。
 
  
>どっかにビデオあったような…
探してみよう…
 
サミットの時に見つかったら
サプライズ上映したいっすねー
 
とりあえず私がとても観たいのは
タイムスリップする前後ですね。
その辺は多分演出も緊張感があって
まあまあの出来だと思います。
 
っつかスゲー観たい!ヽ(;´Д`)ノ
状態良ければ結構高価で売れるんじゃないすか。
ネットオークションで。

投稿: kuroneko | 2014年8月12日 (火) 02時09分

>状態良ければ結構高価で売れるんじゃないすか。
Amazonで1800円ぐらいです
VHSではまぁまぁ高いほうですね

投稿: 万物創造房店主 | 2014年8月13日 (水) 16時29分

>VHSではまぁまぁ高いほうですね
 
そうですね。
知名度が高くない(且つレアでもない)
作品としては確かにまあまあですね。
微妙だなーその値段(^^;)
1000円くらいかな「漂流教室」の
「思い出買い適正価格」は(^^;)

店主さん所有の見つかりましたら
1000円なら買いますよー(^o^)/

投稿: kuroneko | 2014年8月14日 (木) 01時40分

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